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言い渡された言葉

ようやく2000文字を超える話が書けました、誤字などあったらご指摘ください!

 学園長室の扉を開くと、そこは想像以上に広い部屋だった。


 中央に丸い大きな机が置いてあり、その周りに8個ほど椅子が並べられている。


 部屋の両壁際には、賞状やらトロフィーやらがたくさん入ったガラスケースが置いてある。この中にはきっとものすごく貴重なものがたくさん入っているのだろう。


「学園長室って、こんなに広いのかよ!」


 部屋全体を見回しまずそう思った俺は、思わずトロフィーを1つくらい持っていってもバレないのではないだろうかと思ってしまうのだった。


 いやいや、流石にダメだろうとその考えを頭の中から捨て去りふと思う。そういえば、学園長はどこに? まさか、この先にまだ廊下が続くのか?


「ゴホン」


 何処からか咳払いが聞こえてきた。そこで部屋の奥を見るともう一つ扉がある。


「学園長は、あの奥にいるのか?」


「たぶん、そうだろうな」


 しかし、シナンも学園長が扉の向こうにいるとは言い切れないようだ。


「それにしても前1度訪れた時はこの部屋が学園長の部屋だったはずだったがな。いったいいつこの部屋を増築したんだ?」


 そんなシナンを見て、俺はこの部屋をもう一度見回す。しかしここは、どう見ても応接間にしか見えない。


「とりあえず扉開けてみるか?」


 このままだとずっと迷い続けることになりそうなのでシナンに聞いてみる。


「あぁ、そうだなとりあえず開けてみよう」


 ドアノブに手をかけ扉を開けてみると、扉の先は学園長が仕事をするための学園長室だった。


 応接間のような部屋とはうってかわりそこはここが学園長室だ。と言われれば誰もが納得する、そんな部屋だった。しかし、狭い。学園長室にしてはどこか狭すぎるのだ。


 そんなことを考えていたが、ふと我に返り、いきなり扉を開けるという無礼なことをしたと思った俺は思わず学園長に謝る。


「すみませんでした!いきなりノックもせずに入ってしまって」


 と言うが、学園長はそのようなことなどまったく気にしていないかの様子だ。


「なんじゃ、そんなことを謝ってどうする。気にすることはない」


「そもそも、ノックはしたじゃろう 最初に」


 どうやら学園長は見た目によらず温厚な性格らしい。見た目はいかにも無礼なことをしたりすれば怒鳴られそうだが。


 どうせ退学だろうと察しはついているが念のためになぜ俺が呼び出されたのか聞いてみることにする。


「俺が、学園長から呼び出されたということですがどんな用でしょうか?」


「それはな、ラナー 君は学力面で成績最下位じゃろ?」


 やはりそうだ。俺は退学することになりそうだ。分かってましたよそれぐらい。


「はい」


「しかし、実技では一番じゃろ?」


 なぜ、今そのことが出てくるんだ?退学にするのなら関係ないことだろう。


「それがどうかしましたか?たしかにそうですけど」


「君を失うのは学園にとって、国にとって大きな損失だ、しかししかたないことなのじゃ」


 退学と言うだけなのになぜこんなに言うことを渋るんだ、もしかして別件なのか?


「学園規則で決まっておるからのぉ」


 その言葉の次に言われた言葉は、俺を凍りつけさせるとともに安心させた。


「ラナー・グレンテルに命ず、君にはこれから一年間アレー地方を旅してもらう」


 俺は、そのとき学園長がなんと言っているのかを理解することができなかった。旅? なぜ旅をしなければいけない。いや、それよりもだ。


「俺、1人でですか?」


「君を一人で旅させるのは心配だからな、横にちょうどいい同行者がいるだろう」


 シナンのことを言っているのか? でもシナンは頭いいじゃないか。


「シナン、君は実技系科目最下位じゃろう?」


「は、はい確かにそうですけど…………」


 シナンもこの先の言葉を察したのだろう。学園長の言葉に答える声が弱々しい。


「シナン・レセストリーに命ず、君をラナー・グレンテルと共に一年間アレー地方を旅してもらう」


 シナンはまるで、絶望の淵に立たされたのかのような表情をしていたがすぐに気分を切り替えたようだ。


「分かりました、私がラナーに同行します」


 そうシナンはきっぱりと言い張った。


 正直に言ってもしシナンと旅を出来ると言うのなら心強い。俺ひとりだと不安しかない。


「うむ、よろしい。では旅について説明をしよう」


 そう言うと学園長は俺とシナンに1枚ずつ文字が書かれた紙を渡す。


「まず、この旅の目的は世界を見て回り知識をつけること そして自分がやりたいことを見つけることじゃ」


 先程渡された紙を見てみると旅についての説明が詳しく書かれているようだ。


「詳しいことは今渡した紙に書いてある楽しむだけではなくしっかり国を回るんじゃぞ」


 学園長は俺たち2人の顔を見て、ふと思い出したように机の引き出しの中を漁り出す。


「忘れるとこじゃった!2人にこれを渡しておかなければ!」


 そう言って渡されたのは黒色の小さい箱のようなものだ、先端にボタンと歯車のようなものがついている。


「それは、遠距離小型多機能通信機といって通信することができるものじゃ。使い方についてもその紙に書いてあるからの」


 学園長は、腕に巻いた腕時計を見て時間を確認して、俺たちの方に向き直った。


「現時刻が、星歴1314年13時12分じゃから、旅は一年後の星歴1315年13時12分までじゃ。一年後戻ってきた時には君たちに卒業資格を与えよう。卒業資格を与えるとは言っても、その後一年間は授業受けてもらうからの」


「それでは、気をつけるのじゃぞ。いってらっしゃい!」


 こうして、俺の強制的な冒険譚は始まろうとしていた。果たして、どうなるのやら。

これでひとまず本編に入る前の話が終了です。次の話から第1章の本編に入る予定です。

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