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セントラ名物を食べる

完全に食事回になりました。

 セントラ名物を扱っているという店に入り店内を見回す。店内はちょうどお昼どきということもありそれなりに混み合っているようだ。カウンターで注文をしてから席に着く形式のようなのでとりあえずセントラ名物を注文しようとしたが……。そもそもセントラ名ってなんなんだ? それすらも分からない。まぁ、とりあえずセントラ名物をお願いしますとでも言っておこうか。


 注文の順番がまわってきたのでメニュー表を見てみる。だが、やはりセントラ名物がどれかは分からなかった。まぁいいや、とりあえず。


「セントラ名物1つでお願いします」


「セントラ名物1つですね?」


 セントラ名物と言うだけで店員さんには通じたようだ。それならそれでいいな。


「はい」


「でしたら、値段は1700Eとなります」


 1700Eだと……。これまた値段高いな。


「は……はい」


 1700Eを財布から取り出して店員さんに手渡す。まぁ、とりあえずはこれだけの出費で済んでよかった。うん……よかった。


 席に着き料理が運ばれてくるのを楽しみにしながら待っている間はシナンとこれからの予定についての話し合いだ。これからというよりかは午後何をするかだ。まあもうすでに12時は過ぎているから午後だが。


「そういや午後はなにするんだ?」


「そういうラナーはなにかやりたいことでもあるのか?」


「いや……特にないかな。そう言うお前はどうなんだ?」


「私も午後はやりたいことないな」


「俺としては観光とかもしたいけどな。するならするで丸一日使ってセントラの観光名所を回りたいんだ」


「それもそうだな……それなら金稼ぎでもしてみないか?」


「金稼ぎ?」


「ああ、金稼ぎだ」


「金稼ぎっていったいなん……」


 金稼ぎの内容を聞こうとしたところで、料理が運ばれてきてしまった。話し合いはここまでだな。聞くのは後にしておこう。


 それにしてもこの料理は初めて見るな。大きめの皿の上には二枚のパンの間に分厚いハンバーグと野菜が挟まれてる物が1つと、二枚のクラッカーにクリームが挟まれているのが4つほど置かれている。飲み物もセットに入っているようだ。


「セントラ名物のセントラバーガー&サンドです」


「ありがとうございます」


 これがセントラ名物か……。シナンを見てみると早速食べようとしている。ちなみに頼んだ料理は俺と同じくセントラ名物のセントラバーガー&サンドだ。


「これは……なかなか美味しそうだな」


「そうだな」


 まずは、サンドよりバーガーのほうを食べてみよう。サンドはあとで食べた方がいいだろう。クリームだしな。デザートだろ。


 まずは、セントラバーガーの方からだな。セントラバーガーを手で掴み口に運ぶ。これは手で掴んで食べていいんだよな? そう思った俺は一旦手を止めて周りを見回す。そんな俺の様子に気づいたシナンが食べないのかと聞いてくる。


「どうしたんだ、食べないのか?」


「いや食べるけど……。これって手で掴んで食べていいんだよな?」


 ナイフやフォーク、スプーンは無くどう食べれば良いのかが分からない。


「さあな。でも別に美味しければいいじゃないか。たとえどんな食べ方だとしてもな」


「そうだな」


 シナンの言葉のおかげで食べ方など、どうでも良くなった俺は、今度こそ口にセントラバーガーを運ぶ。まず一口。パンのふわっとした感触とサラダのザクっとした感触そしてハンバーグのザラっとした感触が口の中に同時に押し寄せてくる。


 これは……美味しい。まずそんなシンプルな感想が出てきた。なぜハンバーグとサラダとパンを一緒にしたんだと最初見たときは思ったのだがそれがむしろ良い。


 ハンバーグのソースがハンバーグと一緒に挟まれたサラダに絡み合い良い味を出している。控えめに言って最高だ。


 セントラバーガーそのものはかなり大きいのだがすぐ食べ終わってしまいそうだ。夢中になってセントラバーガーにかぶりつく。ソースが口の周りについたりハンバーグが隅からはみ出してくるがそんなのに構っている暇などない。今はこれを食べることだけが至福なんだ。


 しかしそんななんとも言えない至福な時間は長く続く事などなく。


「げ……もうバーガーの方は食べ終わっちゃったよ」


 かなり大きく見えたセントラバーガーをものの数分で食べ終わってしまった。食べ終えるまでに5分もかかっていないだろう。


「もっと味わって食べればよかったものを」


 シナンがセントラバーガーをゆっくりと食べながらそんなことを言ってくる。物凄く羨ましい。食べ足りない。でもまだだ。まだセントラサンドが4つもある。これは味わって食べてやろうじゃないか。


「ふん、それぐらい構わんな。まだサンドのほうが4つもある」


「それだったらサンドのほうはゆっくり食べることだな」


「もちろん最初からそうするつもりだ!」


「ふっ、それはどうだか……」


 今シナンに嘲笑いされたな。まあいい。セントラサンドのほうはしっかりと味わって食べよう。


 そう思いセントラサンドを手で掴み口に運ぶ。セントラサンドはセントラバーガーよりは小さいものの、4つ合わせればセントラバーガー1つほどの大きさにはなるだろう。それぐらいの大きさだ。そんなセントラサンドの隅の方を少しかじる。


 クリームを挟んでいるクラッカーは思っていたよりも柔らかい。しかしそんな柔らかさとは相対的に噛んだ瞬間にサクッといういい音を立てて口の中でとろけていく。クリームもそんなクラッカーに対応するかのように甘さを残してとろけていく。


 美味しい。こんなのをゆっくりと食べることなんてできると思うか? 少なくとも俺にはできるわけない。もうどうにでもなれ! そんな気分で1つまた1つとセントラサンドを食べていった。


 そして気づけば皿の上からはすべての料理が消えていた。またやってしまった。美味しすぎるあまりゆっくりと味わうことなくたべてしまったのだ。


「また…….やっちまった」


「そんな落ち込むことはないだろ」


 シナンから見た俺はそんなに落ち込んでいるように見えるのだろうか。


「だって……」


「しかたないな……」


 ……ん? しかたないって何がなんだ?


「セントラサンド残りやるよ」


「いいのか?」


 本当にセントラバーガーをもらっていいのだろうか。2つもだぞ。シナンも食べたいんじゃないのか?


「私はもうセントラバーガー1つとセントラサンド2つで満足だ」


「そうか。それならありがたくもらうよ」


「なに、気にするな」


 そうシナンは言うと、グラスに入った麦茶を飲み始める。

 シナンの皿からサントラサンドを2つもらい俺の皿に置く。これだけ食べれれば俺も満足だ。この2枚のセントラサンドを食べ終えたら金稼ぎとやらについて聞くとするか。

読んでくださりありがとうございます。

かなり久しぶりの投稿となりました。

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