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学園内の廊下迷宮

この話で、3話目となりますが、誤字や修正などしてほしいことがある場合はなんなりとお申し付けください。

 ここ第一王立学園は、廊下が入り組みどこにどの部屋があるのか部外者には分からない構造になっている。


 おまけに館内図などの類はどこにもない、生徒にも配られていない。なので、新入生恒例となっているのが、授業への大幅遅刻だ。侵入者対策らしいがいい迷惑だ。


 そんな、入り組み入り組んだ廊下の先本館の廊下の奥に学園長室はある。


 本館に正面玄関はあるのだが、教師や教授、講師、客などといった学園関係者(生徒以外)にしか使用が認められていないのである。


 学園関係者(生徒以外)のみ本館の玄関が使用可能な理由は本館に教師関連の施設しかないからだ。


 必然的に生徒が本館を訪れることは教員に用があるときのみになるわけだが。職員室などといったものも東館と西館のどちらにもあるので、どちらかの棟で用は済んでしまうのだ。そのため、めったに生徒が本館を訪れることはない。普段通り慣れていない俺たちは迷うわけで…………。


 本館の中を10分程迷ったのちに他の部屋と比べて豪奢な飾り付けがされた扉を見つけた。


 そこの部屋を学園長室だと思った俺は、扉の前に立ちノックをしようとした。しかしそれは、シナンの少し面白がる感情が含まれたような声に止められることとなった。


「ラナー、そこの扉は副学園長室だぞ。こっちだ、私についてこい。」


 危ないところだったと思いながら、思わず抗議する。


「早く、教えてくれればよかったのによ」


 抗議に対し、シナンの口から出た言葉は俺を小馬鹿にするようなものだった。


「悪い悪い、つい面白くてな」


 なんだそれはと思ったが、ほぼ初対面だというのにわざわざ言う必要はないだろう。



 副学園長室を離れて数分後……今度はシナンが迷子になっていた。


「何で、偉そうについてこいって言ったお前が迷子になってんだ」


 これにはさすがに先程わざわざいう必要もないと思った俺もイラついた、ついさっきまで俺を小馬鹿にしてたくせに。


「仕方ないでしょ、館内図ないんだから」


 と、反論できないようなことを言い出した。しかしここで食い下がるわけにはいかない。俺の気持ち思い知れ!


「じゃあ、館内図があればなんとかなるのかよ。ふっ所詮7組だな」


 まぁ、所詮俺も7組だがな。しかしそんなことを考えているこの時。俺は知らなかったのだ、これが彼女が一番気にしていることだということを。


 先程とは打って変わった様子でシナンは言った。


「ラナー、私はお前が羨ましいよ。ラナーのその力があれば私は1組に上がれるのにな」


「それは、どういう………」


 残念ながらシナンのことはほとんど知らないのだ。学力最上位の反面実技最下位だということを除いて。


「まぁ、いいさこれが才能というものの醜さだ。才能がないものは努力しても意味がないんだよ………」


 俺は、その言葉に何も言い返せなくなった。俺にも当てはまるような気がしてしまったのだ。



 その後何度か迷いながらようやく副学園長室以上に豪奢な扉にたどり着いた、扉の上に書かれているプレートを見てみると学園長室と書かれている。


 どうやらここが学園長室で合っているようだ、今度こそ扉の前に立ちノックをする。守るべきマナーである。


「失礼します、3年7組 ラナー・グレンテルです」


 俺に、続きシナンも同じように言う。


「失礼します、3年7組 シナン・レセストリーです」


 この学園ではクラスが7組まであり、成績順にクラスが決まっていく。


 つまり、1組は優等生を表す称号であり、7組は劣等生を表す称号である。クラスの人数はバラバラだ。


 さて、そんな学園長室に呼び出された俺は一体どうなるのだろう。


「うむ、入るがよい」


 扉の横の壁の中から学園長の声が聞こえたような…………。気のせいだろうか……。


 いや 、きっと気のせいじゃないだろう、その声がどのような仕組みで出たのかは分からないが。


 それはさておき、俺ラナーついでにシナンは今扉を開き学園長室に入ろうとしている。たとえ、どんな運命が待ち受けていようと俺は、決して諦めはしない。退学処分になったとしたらこの学園を去るのみだ。

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