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強制的な冒険譚 魔法が消えつつある世界にて  作者: 川理 大利
第1章 3部 セントラへの旅編
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解読待ちの時間で

 シナンが資料を解読し終えるのを待つ間、俺はこの建物をちょっと探索してみようという気になりシナンに声をかける。


「ちょっと探索行ってくるな」


「気をつけてな。あまり遠く行くなよ」


 シナンは解読に夢中のようで、適当な返事が返ってきた。それにしても遠くに行くなよってお前は母親かよ。


 まずは一階に降りてそこから探索していこう。とりあえず現時点でのこの建物で気になる点は他の建物に比べ少し大きくきれいだということだ。病院らしき建物も大きいといえば大きかったがそれ以上の大きさだ。この建物には地下室とかもあるのではないだろうか。探してみよう。


 1つずつ部屋を回っていって隅々まで見るが、他の建物と違う点は書物に使われている文字がかなり最近のものであることぐらいだろう。150年ほど前まで使われていた文字だと思われる。そうえば、昔は紙の素材が今と違うようだ。昔の紙は今使われている紙よりサラサラしている。


 これらのことから、この建物は少なくとも150年前までは使われていたのではないだろうかと予想することができる。


「さすがに頭が痛くなってきたな」


 いかんいかん、難しいことを考えていたら頭が痛くなってきた。あとの考察はシナンに任せておこう。俺はこのようなことを考えるのが好きじゃないんだ。こういうことを考えていると頭が痛くなってきて頭をかち割りたくなってしまう。もちろん実際に頭をかち割るなんてことはないが、これは一種の表現だぞ表現な。


 建物が広いだけに部屋数も他の建物より多く隅々まで調べているとかなり時間がかかってしまいそうだ。とりあえず大雑把に調べとけばいいだろう。


 大雑把に調べてみるも、やはり特に変わったようなことはなかった。大雑把に調べたとはいえさすがに疲れた。


 さて、何も無かったことだし二階に戻ろうか! と思った俺は、部屋から廊下に出て真っ直ぐ二階に行こうとしたのだがなんだか廊下に違和感を感じた。違和感を感じたものは本棚だ。少し調べてみることにしよう。見た感じはなんともないどこにでもあるような本棚だが…………いや、待てよ普通に考えて本棚は部屋にあるものじゃないのか?


「まさかなぁ」


 ものは試しと考えた俺は本棚を動かせるかな? と側面から本棚を押してみる。押してみたところ本棚は見た目に反して軽く少し押しただけで動かすことができた。本がかなりたくさん並んでいるんだけどな。


 本棚を動かすと、本棚の後ろの壁だと思っていた部分には地下室への入り口が口を開けていた。明かりがなく暗いため少し不気味だが降りてみないと、どうにもならないためとりあえず降りてみることにした。


 石でできた階段を降りると、どうやらそこは物置きのようだったが目が暗さに慣れていないため詳しいところまでは分からない。燭台などはないかと探してみると地下室の隅に4つほど燭台のようなものが置かれているようだ。


 そうとなれば火の魔法を起こし燭台に火を灯すことにするか。火の魔法使うと熱いんだよな、指先が。それは仕方がないことか、火を扱うんだしな。


「火よ、指先に灯れ!」


 ボッと音を立て指先に火がつくが、やはり熱い。早く燭台に火を灯してしまおう。


 部屋の隅にある燭台1つ1つに火を灯していく。火を燭台に灯すごとにだんだん部屋が明るくなるのを身をもって実感することができる。最後の燭台に火を灯し、指先の火を消してから部屋を見回す。やはりこの部屋は物置きとして使われていたようだ。


 ロープやはしご、手押し車などといったものが置かれている。中にはかなりの長さがある縄はしごなんてものもあるようだ。とりあえず使えそうなものを持っていこう。とはいってもほとんどのものが使えそうなので手押し車にのせて持っていく。


 なかなか重さがあるが、俺は体力だけは自信があるので、そこまで苦労することなく全てのものを地上へ持っていくことができた。とりあえず手押し車は一階に置いておくことにしてシナンの元へ向かう。


 ちょっと探索するつもりがちょっとじゃなくなったなと思いながら、シナンのいる部屋の扉を開ける。


 部屋の中では、シナンは未だ資料を解読中のようであり、部屋に置かれていた机にペンや紙を広げて何かを書いたり消したりしている。まだ解読は完了していないだろうと思いつつもシナンに聞いてみる。


「どうだ、何か分かったか?」


「かなり重要なことが分かった、やはりここは採石場で合っているようだ」


「採石場で合ってるか。それはよかった」


「でもまだ全ての解読が終わったわけじゃないんだ。悪いがもう少しだけ待ってくれないか?」


「そうか、分かった」


 とりあえず、ここが採石場だと判明したのは嬉しいことだが、それによる様々な疑問も残っている。


 なぜここが使われなくなったのか。物置きの入り口はなぜ閉ざされていたのか。採石場自体がいつから使われ始めたのか。シナンに渡した資料はなんの資料なのか。様々な疑問があるのだがきっとこれらは必ず解決することだろう。


 まずはシナンの解読が終わるのを待つとしよう。全てはそれからだ。

読んでくださりありがとうございます。

ついにこの話で20日連続投稿。

そして、累計50000文字突破です。

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