表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/61

魔法習得訓練と豊漁祭 前編


 俺たちは、豪邸を一度出て豪邸の裏にある外見はただの倉庫のようにみえる建物にやってきた。


「ここが、魔法習得訓練場だよ!」


 天井が高く声がかなり響く。内部は、奥行きは100mほど 横は50mほどもありそうだ。いくつか、的のようなものもある。的によって素材が異なるようだ。また、様々な種類の武器などといったものがあるかと思えば日用品の類もかなりたくさんある。さらに部屋の半分を占めるのが本棚であり、魔法関連の本がたくさん並べられている。


「さて、早速習得訓練を始めよっか」


 いよいよ、魔法の習得訓練が始まるようだ。


「さっき言った通り、魔法は体力を使うものだから適度な休憩をとってね」


「それじゃ、まずは基礎の基礎からいこうか」


 そう言って、リンネさんはただの木の棒を取り出した。


「まずは、こんな風に」


 言いながら、木の棒の先端に光を灯す。


「光を灯してみて」



 そう言い、俺に木の棒を渡してくる。

 いきなり、光を灯せといわれても何をどうすればいいのだろう?


「光を灯すのに、何かコツとかってありますか?」


「イメージするんだよ、木の棒の先に光を灯すのを」


 と言われても、難しい。


「魔法で大事なのは、イメージなんだ。光のことを考えながらやってみて!」


「君の場合はたぶんすぐできると思うから」


「は、はいやってみます」


 光のイメージ………光のイメージ………明るい光………まぶしい光それを木の棒の先に灯す。


 しかしどうも、俺は想像力がそこまであるわけではないらしい。何かが起こる気配すらない。


 そこでリンネさんが一言。


「イメージしながら何か言葉を唱えたらできるかも」


 その言葉に従い俺は、光のことをイメージしながら言葉を唱える。


「光よ灯れ!」


 そう言うと、不思議なことに棒の先端に光が灯る。おお! これが魔法というものか、まだ基礎の基礎のため疲れたという感覚はない。


「よし、次のステップに移ろうか!」


 次は、何がくるのだろう。妙にワクワクしてしまう。


「これもまだ、基礎の魔法だけど指の先に火を灯してみようか」


「火を灯せたら、水 氷 …と言った具合に難易度を上げていってみよう!」


 指の先に火を灯す、熱くないのだろうか。

 そんなことをいちいち気にしていたら魔法なんか使えないだろう。

 今度は、火のことをイメージする。


 火は、熱いものだ。おまけに布や紙、木などといったもののに燃え移ると火事などの原因となってしまう。 恐ろしい存在でありながら、普段の生活に欠かすことのできないものだ。普段の感謝と畏れを胸に抱き言葉を唱える。


「熱き火よ、指先に灯れ!」


 ボッと音を立て指先に火が灯る。

 今回は一度で成功したようだ。ただただ、熱いのだがそれを忘れさせる感動がある。


「おぉ〜見事見事!」


「この調子でどんどん魔法を習得しちゃってこう!」


 リンネさんは、かなりノリノリのようだ。

 そりゃそうだな、念願が叶い魔法を教えることができているのだから。


「次は、水だね指の先から水を出してみてね! 的に当ててくれていいよ」


 次は、水だ。水は、川や海などといった 場所に多く存在している。こちらも火と同じく生活に欠かすことのできないものであり、また場合によっては人の命を消しかねない恐ろしいものとなる。


 水が指から出れば便利になるなと思いながら、指先を25mほど先にある的に向ける。火の魔法と同じように思いついた言葉を唱える。


「水よ、指先から迸れ!」


 この詠唱? に応じるかのように指先から水が的に向かって迸り、パーンと良い音をたて的に当たる。


 迸れ! と言ったためか勢いがなかなか強い。どうやら言葉や、イメージによって威力などを変えることもできるようだ。


「だいぶ、コツを掴めてきたかな?」


「基礎の魔法は、あと4つだから頑張ってね!」


 その後、俺は氷 雷 風 闇といった基礎の魔法といわれるものを習得していった。


「ふぅ、これでやっと基礎の魔法が終わったね」


 どうやらこの6つが基礎の魔法として数えられるようだ。これだけ覚えただけでも便利そうな気がしてしまう。


「この後は、応用編だよ!」


 どうやらまだ応用編があるようだ。まだ体力に余裕はあるが応用編まで習得して大丈夫だろうか?


「応用編とは、どのようなものがあるのですか?」


「例えば、2つの魔法を合体させて強力な魔法にするとか。あとは、魔法でものを作り出したりもできるんだよ」


「他にも色々あるけど、全てを説明するとものすごく長くなっちゃうからね〜」


「本を何冊かあげるからそれで応用編は学んでくれる? 君も暇なわけじゃないんでしょ。このあと連れて行きたい場所もあるしね」


「そうそう、夢中になりすぎて依頼のこと忘れないでね」


 たしかに、その方がいいだろう。応用編など習得しようとしたら時間がかかってしまうだろう。ついでに、少しやってみたいこともできてしまった。


「依頼を受ける前に、ここでもう少し訓練してもいいですか?」


「ん〜? いいよ〜自由に使ってくれて」


 それではお言葉に甘えて自由に使わせてもらうこととしよう。やってみたいこととは、イメージと唱える言葉によって威力などはどれだけ変わるかだ。


 弱い水をイメージしながら唱える。


「水よ、指先から流れでろ!」


 すると、思った通り水はかなり弱い。

 的に届きすらしなかった。


 次は強めの水をイメージしながら先ほどと同じ言葉を唱える。


「水よ、指先から流れでろ!」


 どうせ、先ほどと同じぐらいだろうと思っていたが少し強めの水が流れでた。

 的に届きはしたものの、威力はそれほど強くはないようだ。


 次は、イメージの条件は同じとして唱える言葉だけ変えてみよう。唱える言葉については 、(水よ、指先から迸れ!)にしておくとしよう。


 弱い水をイメージしながら唱える。


「水よ、指先から迸れ!」


 すると僅かながら唱える言葉を変える前より強く水は流れた。先程とは違い、水は的に届いた。


 先ほどと同じく強めの水をイメージしながら唱える。


「水よ、指先から迸れ!」


 やはり唱える言葉を変えたところ水の強さも変わっていた。その威力は、的にヒビを入れるほどだった。


 どうやら、イメージと言葉で魔法の強さなどは変わってくるようだ。魔法、 なかなか面白いじゃないか! とはいえ、こんなことをやっていると本当に時間がなくなってしまうのでそろそろ依頼の方に移らなければいけないだろう。


「これで、訓練は大丈夫です」


 訓練とその後の実験でだいぶ、魔法のことを理解することができた。


「さて、それじゃあ依頼の件に移ろうか」


「はい!」


「切れた、照明があるのは屋敷の中の居間だからそこに向かおうか」


 こうして俺は、無事魔法習得訓練を終え依頼に向き合うこととなった。果たして訓練の成果により依頼を解決することはできるだろうか。

王都編 1は後編で終了予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ