表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コキュートス  作者: 朧塚
26/33

『他人の死と匿名性』

 死はいつだって、他人の死でしかなく“自分の死”を人間は知覚出来るのだろうか?

 そして、ある物語が展開された場合、それが小説にしろ、歴史にしろ、名前の存在する人間の死や生存以外にも、匿名性の者達の死が確実に存在する。


 名も無き者は“物体”として、現しているのではあるまいか。


 死は多くの匿名性によって、存在しているといってもいいのかもしれない。

一人の死は物語だが、数万名の死は匿名性によって覆い隠されている。

 かくして、物語における幸福と不幸とは何なのだろうか。

 一人の死は物語だが、多くの人間の死は統計の数字でしかない。

 たとえ、物語が一見、ハッピー・エンドを迎えているように思えても、匿名性を帯びた人間の側からは、悲惨な終わり方を迎えているという事実も存在する。

 たとえば、戦勝国だとか。たとえば、国家における幸福の絶対数だとか、そのように積み上げられた勝利や幸福の下には、大いなる犠牲が存在するといっても、過言ではない。


 死はいつだって、他人の死でしかない。

 他人の死は、何処までも、自分の死には無関係でしかないのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ