世界を渡り
やっと時間ができました。久しぶりに投稿することができます。
ここからは異世界編です魔法と剣の世界観になります。
目の前に闇が襲った。冷たく、痛く、苦しい。
(どこ、ここは⋯)
アイツさえ居なければ⋯
なんで私ばかり⋯
憎い、全てが憎い⋯
返してよ、私のわたしの⋯
聞こえる、闇の中が蠢いている。憎くて、悲しくて、痛くて、羨んでいる。この声を知っている。物心つく頃から聞こえていたと思う。だからこそ自分は、生きていることが苦痛だったのかもしれない。
(また夢を見るのか、今度はどんな夢なんだろ。苦しくないといいんだが⋯)
闇の中をさまよいながら、ぼんやりと考える。
(目が覚めたら、何も覚えてないんだけど)
いつものことに苦笑しながら竜也は嗤った。自分の醜いところを⋯。
(ん、あれは)
突然光が見えた気がした。小さくて普通なら見つからないような小さな光を。
(初めてだ、あれは何だろう)
竜也は、そっと手を伸ばした。徐々に光に手が近づく。
(もう少し⋯)
その光が徐々に強くなっていく。そして聞こえる、誰かが自分を呼ぶ声が。さらに手を伸ばしその光に触れようとして⋯。
「大丈夫ですか」
目が覚めた。
(誰だこの子は)
「よかった、目が覚めたのですね」
少女がゆっくりとほほ笑む。竜也が周りを見渡すと知らない景色が浮かんでいた。
「ここは⋯」
「ここは、ファルムの集落です。あなたに助けられ気づいたらここに⋯」
(思い出した、確か豚に襲われて⋯)
「あなたのおかげで、集落のみんなと合流することができました。本当にありがとうございます」
「あ⋯いや⋯こちらこそ?」
「あのあなたの名前を、聞いてもよろしいでしょうか?」
「え⋯ああ、俺の名前は坂森竜也だ」
「サカモリリュウヤ様ですか?」
「竜也が名前だ」
「リュートァさま?」
「⋯リュウでいい」
「えっと、リュウ様ですね。このたびは本当にありがとうございました。私はレナ・ファルム。レナとお呼びください。」
レナと名乗る少女。その少女にいろいろな質問をぶつけた。ここがどこなのか、あの豚が何なのか、何で襲われていたのか、などなど。
レナは一つ一つ丁寧に教えてくれた。
・ここはユグドラ大陸にある、パレス国の南にある森の小さな集落であること。
・最近パレス国の貴族が次々に別の集落を襲っていること。
・そのため、力が必要であり、父の形見であり、封印されていた武器を取りに、兄と二人で行っていたこと
・その際にオーク(二足歩行の豚)に見つかり逃げていたこと
・逃げているときにレナの魔法の転移を使い逃げようとして、力の制御を誤り暴走してしまったこと
そこからは俺も知っている。豚を倒して、それから⋯
「あっ」
思い出した、少女が切られ死にかけていたこと。それを助けられないと知りながら、自分が何かをしたこと。落ち着いたためかいろんなことが頭を巡った。
「ああ、生きてる⋯いきてる。間に合ったんだ。」
俺の目から熱いものがとめどなく、溢れてきた。
レナは少しびっくりした顔になったが、微笑みながら。
「はい、あなたのおかげです」
にっこりとほほ笑んだ。二人の間が徐々に近づきもう少しで触れ合う距離になって。
「俺の妹に何をしている」
急に横から殴られた。
seka
キャラに名前を付けるのが難しいです。