決意
少女sideの話になります。
少し時系列が戻ります。
少女side
「どこに行くんですか!!」
私を受け止めてくれた少年は走っていった。
彼は必至の様子でオークたちに向かっていこうとしてるのだと分かった。
「無理です。あの人は勝てない」
あの量のオーク相手に一人で向かうなんて無謀すぎます。
私はふっとお兄様の言葉を思い出しました。
「早く行けっ」
「生きて帰るぞ二人で」
きっとあの言葉は私を残して死ぬつもりなのでしょう。
わかっていて私は逃げたのです。
そして今⋯
関係のない人たちまで殺してしまいます。
「行か⋯ないと⋯」
正直怖いです。でも私は⋯
私は走りました。彼が行った方角へ。
見たことのない建物、同じ服を着た人たち。
ここがどこかは分からないですけど、
階段を下り下まで走りました。
そして、
「青井さっさと行け!はやく」
さっきの人の声が聞こえました。
私は声のするほうに走りました。すると⋯
オークは少年のほうを一斉に見ていました。
そして、一匹のオークが少年に向かって突進したのです。
「あっ」
私は声も出せませんでした。
怖い
こわいこわいこわい
恐怖が私の心を支配しました。
お兄様もおらず、逃げることすらもできない。
少年は突き飛ばされ横転し、オークに足を刺され動けなくなっていました。
そして、弄ぶかのように、少しずつ彼を痛みつけていたのです。
私は目をそらしました。
何もできないから、戦えないから。
それは私だけではありませんでした。
オークから命からがら逃げてきた人も、何か棒状の物を抱え呆然としている人も。
私はもう一度彼を見ました。
逃げている様子は痛々しく、体を引きずり少しずつ前に進んでいる姿。
でも一番心が痛んだのは、彼の顔を見たからでした。
はじめは、オークに切られ絶望しているのだと思いました。
でも違ったのです、彼の顔を見ると⋯
孤独であること、この世のすべてを絶望しているのだと物語っていました。
なぜ彼が死ななくてはいけないの、どうして?
私は自分を呪いました。生きるために他人を巻き込んだことを。
彼を助けないと、怖くて動けない、動いてお願い。
徐々に彼の動きが弱弱しくなっていきました。
うごか⋯ないと⋯
わかっていました。自分が弱いことぐらい。でも⋯
「あはっ、あはは、あはははははは」
彼の声が聞こえた。その顔を見ると彼は⋯
泣いていた。すべてに裏切られたかのように。
その途端私は走りました。
あの人は私が守らないといけない。
私よりも弱く、悲しみをはらんでいる彼を。
抱きしめてあげないと。
オークが剣を振りかぶりました。
「だめーーーーーーー」
だから私は彼を抱きしめるかのように、押し倒しました。
いたい⋯焼けるように⋯
「なんでっ」
「なんでたすけた!」
私は笑顔を向けるように彼に言いました。
「うぐっ⋯だって、あなたが寂しそうにしていたから」
「あなたが傷ついてるのを見ていられなかった」
「あなたが泣いていたから」
「ごめんなさい⋯あなたを巻き込んで」
彼は泣いていました。でも先ほどまでの泣き方とは違って見えました。
だから私は最後の魔力を振り絞り⋯
「いきて⋯生きてください」
彼の傷を癒しました。
「そんな⋯何で⋯」
彼は泣き続けました。逃げてくれませんでした。
だから私は最初で最後のキスを彼にしました。
とても暖かな気持ちで、守れたことにほっとして⋯
最後に言葉を紡ぎました。
「いきて⋯」
よかった守ることができて。
さようならお兄様。
「BUGAAAAA」
オークの叫び声が聞こえます。
私は最後を受け入れようと目を閉じました。けれども⋯
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
彼の叫び声で目をあけました。
そこで私は気づきました、
先ほどまで尽きていた魔力が回復していること、
そして守ろうとしている彼が、
笑ていることを。
主人公はドMではないので最後の笑いは、痛めつけられて喜んでいるわけではありません。
次回は戦闘です。描写ができていなかったらごめんなさい。




