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8精の王  作者: ryou
森の民たち
14/16

居場所

レナSide

リュウ様は静かにたたずみました。

「近寄るな化け物」

やめてください。そんな風に彼を言わないでください。彼はこんなことを望んでいない、私たちが生きているのがその証拠。だからお願い⋯。

「化け物、消えろ、俺たちの前から、俺の仲間たちを殺させはしない。だから、消えろ」


動けない私を叱咤しました。お兄様にあの言葉を言わせたことを。また、彼が傷つくのを見ているしかなかった私を。


生き残った騎士たちが

「今の内ださっさと撤退するぞ」

「ひっ、ははい」

と逃げるのを、彼は見送った。


私は、少しずつ、リュウ様が戻っているように感じました。黒さが少しずつ霧散し、少しだけ表情が見えた気がしました。その表情は、ひどく悲しげで、ちょっとだけ皮肉気に苦笑している、リュウ様でした。

「消えろと言っている」

お兄様はなおも彼に対して罵倒を浴びせます。


「あは、あはははははは」

笑い声が聞こえました。でもその笑い声には聞き覚えがありました。

「もう、俺には居場所なんてない。いや最初からなかったんだ」

何かをあきらめた、そんな声が小さく私の胸に届きました。その言葉を聞いて、ようやく立ち上がれました。


「ごめんなさい」

自分の弱さを、彼についていく強さもなかったことを謝りました。

「ごめんなさい」

彼を守ろうとして、逆に守られた私を恨みました。


「何をしている早く逃げろ、レナ」

お兄様が叫びますが、私にはもう、一人しか意識を向けていませんでした。

私が今できること、私にしかできないこと。彼が私を守ってくれたように、私は彼のすべてを受け入れ、何からも守って見せる。

いつの間にか彼のそばにいました、彼は私をじっと見つめます。

「リュウ」

彼の名を呼びました。しっかりと彼に届くように。

「ありがとう」


「生きていてくれて、守ってくれて、それから、それから、」

彼の目から涙が見えました。私は伝えたいことがたくさんあるはずなのに、言い表せなくなりそれでも、

「知っているから、あなたがたくさん傷ついて、でも前に進んでいることも。もう戦うなとは言いません。一緒に、これからは一緒に私も戦います。あなたの居場所を作ります。だから、そんな悲しい顔はしないでリュウ」


リュウSide

暗い闇の中で悲鳴が聞こえてくる。眠い、怠い、疲れた。

もうどうでもいい、どうでも。これに身を任せてゆっくりしたいもんだ。

うるさい黙れ黙れ黙れ。しばらくするとようやく静かになった。

これで眠れる。ぱきっ何の音だ

「ごめんなしゃい」

なんだ子供の音か、どうでもいい、あれ子供のほうに体が勝手に近づいていく。

たくさんの謝ってくる声に困惑する。誰かが目の前に来た。確かレナの兄だったか。

「⋯この化け物め」

何を言っている。どういうことだ。そして思い出していく、確か俺は死んだはずじゃあ。

はっとして思い出す、あの騎士たちを自分がいつの間にか、邪魔だと言って殺していたことを。

今自分がどんな立ち位置であるのかを。

ああ、確かに化け物だと納得せざるを得ない。レナの兄に罵倒されようやく、理解した。

自分はいらない存在だと、この世界には居場所などないことを、仕方がないそう思い苦笑するしかなかった。


「あは、あはははははは」

「もう、俺には居場所なんてない。いや最初からなかったんだ」


もう世界に認められるとは思っていない、レナを今回守れただけでも奇跡に等しい。だから、おれは静かに去ろう。


「ごめんなさい」

小さな声が聞こえた。

「ごめんなさい」

聞きたかった声が聞こえる。でも自分は化け物だ、レナも認めてはくれないだろう。静かに去ろうそう思ったが、彼女はこちらに近づいてくる。


「リュウ」

自分を呼ぶ声がする。敬称などなく家族かのように。

「ありがとう」

何もできなかった、怖がらせた自分に、

「生きていてくれて、守ってくれて、それから、それから、」

心配し、存在していい、そんな気持ちにさせる、

「知っているから、あなたがたくさん傷ついて、でも前に進んでいることも。もう戦うなとは言いません。一緒に、これからは一緒に私も戦います。あなたの居場所を作ります。だから、そんな悲しい顔はしないでリュウ」

自分は一人ではないことが、このときはじめてわかった。


俺はレナを抱きしめた。

「俺は君の隣にいていいのか」

「私はあなたといたいです」

「弱いよ、俺は」

「くすくす、知っています、体力は私よりないですもんね」

「そうだよ、こうして今も泣きそうなの我慢してるし」

「泣いてもいいんですよ」

「いいの?」

「私があなたのそばにいたいんです」

「ありがとう。ありが⋯ぐす」

そのあと俺は涙が枯れるまで泣きつくした。


この後は展開を広げていきますが、筆者の文才がないため、不明な点がいくつも出ると思います。

楽しくするつもりなので、よろしければ見ていってください。

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