金髪碧眼+ケモミミ+つるぺた+ツンデレ=?
「ははは。ミリーって可愛くてイイヤツだよな」
「ハ、ハァ~~~~~~っ!? いいいいきなり何言ってんのよバカ!」
ちょっと褒めたらざばぁとお湯を上がって耳と尻尾を立てるミリ-。
つるぺったんなお胸や可愛らしいおへそ、その下まで全部丸見えになってしまったが、一応すぐn視線は逸らしておく。秘湯紳士の嗜みだぜ。
「そ、そそそそうやってあたしを油断させて手込めにしようってんでしょ! この色情魔!」
「ぶふっ!? こ、子どもが手込めとか言うな! つーかお前そういう知識あんの!?」
いきなりの返しに驚いてふきだす俺。まさかミリーがそういうことを知っているとは思わなかったため、思わずそちらを見てしまった。
ミリーは手で胸元を、器用にも尻尾で下半身を隠しながら真っ赤になって叫ぶ。
「バババカにしないでよッ! あたしはユイたちとちがって外から来たアルトメリアだから、人間の汚いやり口はわかってんのよ! お、男が女を襲うやらしい生き物だって知ってるんだから! じろじろ裸見て、このヘンタイ! ケダモノー!」
「こ、こらミリー! カナタに失礼よっ!」
「ケモミミ娘にケダモノ扱いされた!? ていうか子どもがそんな言葉口にするなって! お前にはまだそういうの早いだろ! 教育に悪いぞ!」
「むっかー! 子どもじゃないわよッ! これでも十五! ユイより年上なんだからっ!」
「は? ――は?」
すぐさまユイとミリーとを何度も見比べる俺。
一目瞭然。
「おい、ミリー。ウソはよくないぞ。子どもが年上をからかうもんじゃない」
「ウ、ウソなんてついてないもん! ホントだもん! どこ見比べて言ってんのよバカッ!」
「ユイの大きなおっぱいとお前の年相応おっぱいだ!」
「ハッキリ言ったあああああああ! バカバカバカあああああ!」
「ぎゃあああ!? ちょ、飛びかかってくるな! 爪で引っ掻くな噛みつくなあああ!」
「うっさいうっさいうっさい! あんたは乙女を傷つけたのよッッ!」
涙目になって膨れたミリーが襲いかかってきて、さすがに抵抗出来ずなすがままになる俺。くんずほずれつな状態になって、意外にも柔らかいミリーの小ぶりなおっぱいやら何やらがいろんなところに当たって実はちょっと嬉しかったが、しかしマジで痛いから噛むのやめてくれえええええ!
なんて困り果ててユイの方を見ると、ユイはなんとも複雑そうに苦笑しながら、
「あ、あの、カナタ。ミリーはウソはついていないですよ。ミリーは本当に十五歳で、私の一つ上なんです。アルトメリアのエルフは、長寿ゆえに成長が遅くて……」
「!? ……なん、だと?」
「ほらみなさいホントじゃない! ユイが特別なだけであたしはちょっと成長遅いだけだもん! そのうちみんなみたいになるもん! あ、あたしウソなんてついてないんだから! 謝って! 謝ってよーーーっ!」
もう一度見比べる。
ぺたーん。
ぼいーん。
「……ええええマジで!? マジなの!? マジでミリーそうなの!?」
「だからそう言ってるじゃない! うう、いっつもそうなのよ! す、少し成長が遅いくらいでそうやって子どもにみられて……こ、これでもアルトメリアの中では大人なほうなんだから! 掟では大人になるまではしちゃイケナイけど、もう子作りだって出来る身体なんだから! な、なのに……うわぁ~ん!」
「ミリーちゃんも、すぐ大きくなるよ~」
「年下に励まされたぁ~!」
アイのよしよしがミリーのダメージを深刻化させていく。
ええええ……つーかマジの話なのか……。
ミリーみたいな子と、その、子作り的なことをするとしたら絶対ヤバイ絵になるだろ。少なくとも俺の世界じゃ確実にアウトだ。アウトの中のアウトだ。こんな狐耳ロリ娘がもうすぐ大人とか、異世界すげぇな……色んな意味で……。
「え、えっと、なんか……ごめんな? 俺が悪かったよ。人を見た目で判断するなんて最低だよな……」
「可哀想な人を見る目しないでバカ! どうせあたしは子どもよ! 一生こんな体型でバカにされるのよ! 真っ平らで赤ちゃんにおっぱいもあげられないのよ! そうしたらユイに預けるから代わりにユイがおっぱいあげて!」
「わ、私が? ええっと、あの、ミリー? 落ち着いて?」
「いやいやそんな目してないって。まさかユイの年上だとは思わなかっただけで俺はバカにもしてないし、されないって。それにほら、すぐユイみたいに成長するよ。俺の世界では女の子は男より成長が早いって言うしな」
「……それホント?」
「ほんとほんと」
確かそうだったはずだし、実際男の方がいつまで立ってもガキっぽいことは多いからな。かくいう俺も秘湯めぐりなんてやってるガキだし。ていうか女の子は妊娠したら赤ちゃんのためにおっぱい大きくなるんじゃないのか? よくしらんけど。
「……カナタ」
「ん?」
ミリーはなぜかほんのりと頬を赤らめ、もじもじと落ち着かない様子で言った。
「じゃ、じゃあさ。あんた……ユイとあたし、どっちが女の子として魅力的だと思う?」
「ユイ」
即決した俺にミリーはぽかんと口を開け、俺の隣でユイが「え……?」と小さな声をあげていた。
「うう~!! なによほら即決じゃないっ! やっぱり男なんて胸があればいいんでしょ! おっぱいが大きければそれでいいんでしょバカ!」
「バカ言うな! ユイはおっぱいも大きいけど可愛くて優しくて甲斐甲斐しくて性格も良くてパーフェクト美少女だろ! 俺比で嫁にしたいエルフナンバーワンだ!」
「え、あ、あの? カナタ? よ、嫁? 私、が?」
「どうせそうなのよ! 男なんてみんなそんなもんなんでしょ! あたしパパに聞いて知ってるんだから! どうせあたしみたいなのは子どもっぽくてキレイでもないしカワイくもないわよバカ! バカバカバーカ!」
「だーかーら! バカはお前だろ! なんで気付かないんだよ! そりゃユイとは違うけど、ミリーだって十分すぎるほど可愛い美少女だっつの!」
「……え?」
「しかも金髪碧眼で八重歯! ケモミミもふもふ! ツンデレの素質アリ! お前出るとこ出たらスーパーアイドルになれんぞ! 少なくとも俺の世界だったらSNSで大注目されてテレビに引っ張りだこにされてもおかしくねぇ! CMもバリバリくんだろ!」
「な、何言ってるよくわかんないけど……あ、あたし、カワイイ……?」
「当たり前だ! つーかこの里のエルフみんながみんな可愛すぎ&美しすぎなの! ちょっとハーレムみたいで嬉しいんだぞ俺は!」
つい本音で熱く語ってしまった。
けどそれも仕方ない。ユイたちはみんなホント信じられないくらいの美少女ばかりだし、その点については異世界に来て最もラッキーだったことではないかと思ってるほどだ!
なのに当人がそれに気付いていないとは!
ああ! 男がいない里の弊害がこんなところにあるとはな!
「……へ、へぇ~? そうなんだ? あ、あたしカワイイんだ…………って、ち、違う違う危ない! ふんだ! あ、あたしはユイと違ってころっと騙されたりしないんだから!」
「あはは、ミリーちゃんおもしろーい!」
「私も別に騙されては……もう、ミリーったら……。あの、ごめんなさいカナタ」
「いやいいよ。だってほら」
俺はミリーの方を指差す。
その方向を見て、ユイはくす、と笑いを漏らした。
ミリーの尻尾はひときわフリフリと揺れていた。
そして。
「………………でも、私が……カナタの…………」
「ん? ユイ?」
「――あ、な、なんでもないですっ! そ、それよりそろそろ上がりましょうか! 朝ご飯、用意しますね!」
ユイは慌てて手を振って誤魔化し、俺たちは朝の温泉を終えることになるのだった。




