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プロローグ

西暦2942年国会議事堂

日本政府は長年抱えてきた問題を解決する為にある政策を実行する事に決めた



東京都某区

どこにでもある住宅街のとある一軒家

その家の二階

カーテンで締め切られた暗い部屋

唯一の明かりはパソコン

彼の宝物である

そのパソコンと一日中......正確には引きこもりになってからずっとパソコンを操作している一人の男

彼は今年、成人した

成人引きこもりニートだ

髪は生まれつきサラサラしている

その髪は肩まで伸びている

もう何ヶ月も髪を切っていないからだ

黒縁メガネをかけ、やせ細ってる顔と体


(クソ!こいつ!強いな!)


ネットゲーム

他のアバターと一緒に旅をするオンラインネットゲームの真っ最中

ヘッドホンの中から流れるBGM

BGMが切れ、ボスを倒した時に鳴る音楽が鳴った


「みんな、乙」


ボソッ!っと言いながら伸びをする

一旦パソコンの画面を切り替えチャットができるサイトを開く


(お!ライダー入ってる)


[ボスさんが入室しました]


『こん^^あ!ボスだ!』

『ライダーこん^^お久!って言っても昨日もチャットしたよね!w』

『ワロタ てか、なにしてたの?』

『ネトゲ ライダーわ?』

『ウチはネトゲじゃないけどゲーム!w』

『何ゲー?』

『RPG』


カタカタとキーボードの音だけが響く部屋


(腹減ったな)


『腹減った なにか食った?』

『カップ麺食った また床ドンするのボス?ww』

『するよ!www』


思いっきり下に向かって足を振り落とした

彼はなにも思わない

親の気持ち、家族の気持ちなんてもう考える事はなかった

もう彼の心はからっぽになっていた



コンコン!ノックの後に食事が地面に置かれる音が聞こえた


『ちょっと落ちる』

『メシ?』

『そうwwまた後で』

『はいよ~www』


[ボスさんが退室しました]



立ち上がりドアへと向かう

ドアをゆっくり開け、食事が乗ってるトレーを手に取ってまた暗い部屋に戻る


(生姜焼きか)


母親が作ってくれたご飯

もう何日も母親の顔なんて見ていない、父親の顔をも妹の顔もだ



飯を食い終わる

いつもの用にトレーを部屋の外の廊下に出す


(なんか眠くなってきたな)


食っちゃ寝、ネットして寝、の繰り返し

ベッドに横になる

静かに目を閉じた




夢を見ていた

多分これは小さい頃の記憶だろう

家族四人で近くの川にBBQをしに行った時の記憶

妹と一緒に川で遊ぶ俺

小さい頃、妹は俺から離れようとしなかった

しかし、今は多分俺の事を死ねばいいのにと思ってるに違いない


「優ちゃん!優ちゃん!」


母親が叫んでいる

久々に母親の声を聞いた気がする


「優ちゃん!優ちゃん!」


(わかったよ、母さん、わかったから)


「優ちゃん!」


目を開ける

母親が血相を変えて俺を覗き込んでいた


(え?なに?なにが起こってるの?)


「優ちゃん!逃げて!早く!」

「ちょっ!え?な、なに?てか、勝手に部屋に入るなよ!」

「早く!優ちゃん!ね!逃げて!お願い!」


母親は自分の息子の腕を掴む


「な、なに、す、するんだよ!」

「いいから!ね!来て!早く!」

「ちょっ!離せよ!」


無理やり握られた手を放す


「あまり時間がないわ、よく聞いて優ちゃん!」

「な、なんだよ」

「あなた、全国指名手配になったの」

「え......」


田中優治たなかゆうじはただ呆然とする事しかできなかった




西暦2942年日本政府は長年抱えてきた問題を終わらせる為、ニート殲滅政策を実行する事に決めたのだった








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