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Part8:仲間、敵

登場人物紹介(その二)


シータ

赤い短い髪が特徴の女の子。

賢時達と同じ年だが、それほど体は大きくない。

常に後ろ向きの考えで、無表情。


デルタ

シータの友達。同じ第3の世界から来た。

透視能力をもっており、それは物事の本質を見抜いたり、遠くを見たりする。

シータとは違い、明るい性格だが、臆病。


アルファ

2人と同じ年だが、身長が半端なく大きい。

能力は瞬間移動と身体能力の増加。


「………そんな馬鹿なっ!そんなことが………」

九一は絶叫した。

賢時は地面をこぶしで何度も叩く。

青色と茶色と血の赤が地で混じる。

「そう、だから私たちは―――」


―――仲間を作るの。















遡る事20分前――

「じゃあまずこの世界からね。」

そう赤髪の少女は言った。

「話す前に二つ、私の名前はシータ。第3の世界からのプレーヤーよ。さっきの二人は女の方がデルタ、男のほうがアルファよ。後々また顔を合わせることになるわ。それと、これから話すことはまだ私たちのグループと貴方達だけの秘密となるけれどもそれでいいわね?」

淡々と『説明』を行った後、確認をとった。

賢時と九一は顔を合わせ、うなずいた。

「いいわ、じゃあ話すわね。」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




「つまり、話をまとめると………」

この世界はすべての世界とリンクしていて、何かしらの法則にしたがって向こうとこっちを繋いでいる。そして、その情報はシータの仲間の一人、ガンマの能力であること。この世界での死、は向こうの世界の死を意味すること。シータ達の能力は超能力と呼ばれる代物であること。そして―――――――――――



第2の世界からのプレーヤーの能力が、『想像の創造(ヨハネのひみつばこ)』であること。

その『想像の創造』はこの世のすべての法則を無視した絶対の無敵であること。

そう、それは……………・・・・・・


―――無から有を作り出す。












「でも、それは、その第2の世界からのプレーヤーがそんな絶望的な能力の持ち主だったとしても、仲間になれば…」

「無理よ。彼はまだ8歳の子供だもの。」

「まだ話してもいないのにか?!」

「話したわ。」

え?、と九一は思わず聞き返した。

「だったら…」

「消された。」

「え…」

「彼に会った4thplayer5人がまとめて消された。それも私たちの仲間の能力でわかったこと。」


―4thplayer………


「おいそれって………」

賢時は身を乗り出す。

「そうだ、俺たちの方の…だ。」

九一は顔を歪めた。









「名前とかは分からないのか?」

賢時はシータに向かって言った。できれば、わからないと言って欲しかった。

「私のその仲間に会えばわかるはずよ。」

そんな賢時の心境も知らず、シータは答えた。

「そうか………」

賢時は僅かに頭を垂れる。

「で?」


―で?


「で?って何が?」

賢時は何が?と言った風で答える。

「仲間になるか、ならないか。さっき言っていた二人も来ているぞ?」

九一は心底付いていけない、と言った様子で言った。よく見ると、さっき賢時を追いかけていた二人が九一の後ろに立っていた。

大柄の男がアルファ、身長180台を越える賢時よりも遥かに大きい。その横に立っているのがデルタ、身長はアルファの肩にも満たない。手の中では小さな黒い球体を弄んでいる。

「二つ聞いていい?アルファの身長と、その黒い導火線がついてて爆弾ですと自己主張している物体なんですが?」

賢時はおそるおそる、と言った調子で聞く。

アルファは腕を組んだ。

「206だった。一ヶ月前の話だ。」

「にひゃく………」

「元の世界で成長促進実験のモルモットやってたからな。この身長だ。」

アルファは淡々と答える。その顔には僅かに笑みが浮かんでいる。

「初対面で聞かれているのには慣れているが、それほどまで驚く奴は初めてだ。」

「いや、モルモットって………」

「実験動物。俺は試作品の成長促進の薬を打たれた。おかげで元の寿命が半分以上縮んだ。」

それでも表情を崩さないアルファはむしろ不気味だった。

話が区切れた、と思ったのかデルタが続いて答える。

「で、あたしのコレね。コレはうん。爆弾。特製の。」

またしても賢時は聞かなければ良かった、と思った。

「ああ。大丈夫。火ぃつけなければコレ爆発しないから。」


―それでも怖いんだけど。


賢時の中で今会った3人の印象が確定した。















「で?仲間になる?ならない?答え次第で私たちは直に他の人をさがすんだけど。まだ3thplayerを全員集めたわけじゃないし。」

シータは切り株から立ち上がり、服の襟を整えながら言った。制服なのか、3人は3人とも同じような服を着ている。

「どうする?ラク。」

賢時は振り返る。

「後、まだ問題が一個あるのよ。」

答える前にシータは言う。

「何があっ…」

賢時の言葉は途中で呑まれた。





ドゴォォォオオオオオオオオオオオオン




賢時の後方―港町ルバニで爆撃音が起こった。僅かに残る反響音にその場にいた5人は耳を塞ぐ。


「これが、その問題。この世界に入った時からなぜか狙われているのよ。」

首を竦めたシータのその言葉が終わった後、5人のいる場所は黒い影に覆われた。

「離れて!」

その言葉が言い終わるか終わらないかのところで、5人共に4方に跳んでいた。

少し離れたところに着地すると、元々5人がいたところに巨大な人とは言いがたい肉の塊が落ちてきた。

体中に銀色の鎖が巻かれ、上半身は剥き出しになり、ところどころに切り傷があった。中でも印象的なのは、その左腕にあたるだろう場所にその腕が無かった。

その巨体が僅かに動いたか、と思うと右腕が九一と賢時のいる場所に向かって伸びる。

それを2人はまたしても横に跳んでかわす。

「なあ、ラク…」

賢時が呟く。

「俺とお前同じ事を考えていると思うんだが。」

ああ、と九一は答えた。

『俺たち運動神経めちゃくちゃいい!』

賢時と九一は同時に叫んだ。

影から逃れたことといい、この謎の巨人のパンチをかわした事といい、地球にいたときよりも身体能力が格段に上がっていた。

「逆地!月裏!」

シータが巨人を挟んだ反対側で叫ぶ。巨人の攻撃がシータに集中しているのか、少し息切れ気味だ。

「何だ!」

「こいつを攻撃しろ!今の私たちじゃあ止められない!」

よく見ると、アルファが巨人の攻撃を必死で受け流していた。後ろでシータが肩を抑えている。

「合点!『huderヒューダー』!」

九一が素早く出した片手銃は早くも赤みを持つ氷気に覆われる。

「賢時はアルファのサポート!俺がメインで殺る!」

そう言うと、九一は巨人のわき腹に向けて、銃を構えた。

「『breedブリード』!」

巨人のわき腹からは逸れたが、その大きな背中に尖った紅い氷の塊が突き刺さる。

その痛みに反応して、巨人は九一の方向を向いた。正面から見るのは初めてだが、その顔は肉に埋まっており、よく見えなかったが目だけは妖しく血走っているのが見て取れた。

ゆらり、と体を動かしながら、拳を九一に突き出してくる。それを、銃を持った右手で受け流すと、もう一方の左手の銃でその手を打ち抜く。

「グオォォォォオオオオオオオオオオ!!!」

巨人は痛みに耐えられなくなったのか、耳を劈くような声で叫んだ。その声に隠れて、シータとアルファが何かしらの言葉をぶつぶつと呟きだした。

「空を司る神エデナよ、今その力を持ちて邪を遠ざけん…」

「速を司る神ヴィオウよ、今その身を借りて神速を尊ばん…」

シータの持っているのは先ほどの瓶とは違い、小さな輪を持っていた。

アルファは長めの鞄から取り出したのか、現代ではあまり見ることの無いトンファーと持っていた。

「邪を討つべく、この身にその力を宿さん…」

「その身を持ちて、この身で討たん…」

シータとアルファはそれほど苦戦しているわけでもない九一を見て、頷いた。

その瞬間、2人が何をしているのかわかったのか、巨人は振り向き、その手を2人の上から叩き落そうとした。

肉でできたその右腕が持ち上がり、振り下ろされ…

「『redisenレディセン』!」

その振り下ろされる拳を止めたのは、他ならぬ賢時だった。荒れ狂う風を全身に纏い、同様に右腕を天に向かって突き出していた。

広げられたその掌は、巨人の右腕を止めるまでか、弾き飛ばし、巨人は仰向けに倒れた。その様子を見た2人は、また詠唱を再開した。

「限り無い冥界の世を開け、『無限世界グラ・ドラ!』」

「虚に包まれた空を翔け翼にて促をせん、『空虚促翼ル・ラミ!』」

瞬間、シータの両手に収まっていた輪から黒い光線が延びた。それは一瞬にして巨人の下半身にあたる部分をなぎ払う。

それは光の速さ。誰もがしっかりと見届けられるわけが無い。黒い影が出たかと思うと、巨人の右足が消えた、とにしか見えなかった。

巨人もまた、いきなり消えた自らの足があった場所を見て、やっとそれを悟ったのか、

「ガァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

と図太い悲鳴を上げた。

その後、すぐさま自分の足を消した相手を見るが、そこには誰もいない。

巨人は慌てて後ろを振り向くが、遅かった。

そこに、その巨人が見たものはアルファ以外の全員が集まってこっちを見ていたというもの。もはや、それに向かう時間は巨人には残っていなかった。その集団にいないアルファ、それに気づくことすらできずに地に沈んだ。真後ろではトンファーを前に突き出したアルファが首を回していた。

「話にもならんな。」

そういい残すと、アルファはとどめの一撃を巨人の頭蓋に叩き込んだ。















「終わった。」

アルファはぼそり、と言った。視線の先では自分以外の全員が待っている。

「アルファ!これから詳しい説明するからこっちきなさい!」

シータは笑いながら言った。本日3度目の笑顔。

「ああ、今行く…」

トンファーを背負っていたバットケースに入れると、仲間が待つ場所へと足を踏み出す。そこに違和感を感じた。


足が無い。


「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

アルファの足は右足のひざ部分から下がまるで刃物で切りつけたかのように消えていた。

体がバランスをとれず、下に倒れこむ。頭から草の絨毯に落ちるように倒れる。

その瞬間、その体はまるでゴムではじいたかのように後ろへと反り返る。額からゴキ、と言ういやな音が響いた。

アルファはその時初めて、


―敵…


と気づいた。九一と賢時が走ってくるが間に合わない。

反り返り天を向いたその顔が捉えたものは、

「『双剣の狩り人(サイコ・キラー)』…」

それが最後の言葉だった。

反り返り、剥き出しになった首に交わった2本の刀が振り下ろされる。詠唱も間に合わない、足も動かない。九一と賢時も間に合わない。

アルファは…

「嫌ぁアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」



死んだ。




本当に読んでくれてる人がいるのか心配になってくるこのごろ。

早速死んでしまったアルファ…

ごめんなさい。

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