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File 3.殺人調査

「ただいまー」

 帰宅する裕一。

「お帰りなさい!」

 出迎えたのは、榊原さかきばら はるか。裕一の恋人だ。

 長髪で端正な顔立ちをした彼女は、裕一と同棲どうせいをしている。

「さっきの警察からの電話で飛び出して行ったけど、どんな話だったの?」

「捜査協力だよ」

「あら、また探偵ごっこ? 程々ほどほどにしておきなさいね」

「分かってるよ」

「で? 今はどんな事件追ってるの?」

「それは言えないな」

「そんなこと言わずに教えてよ。私も力になるからさ」

 裕一は学校帰りに事件に遭遇したことを事細かに説明した。

「なるほどね。じゃあ、今日はもう遅いから、明日一緒に捜査しましょう」

「分かった」

 裕一は階段を上り、自分の部屋へと入ってベッドに横たわった。



 翌朝、遥が裕一を起こしに部屋へやって来た。

「裕一くん、起きて。朝よ」

 カーテンを開ける遥。

「う……うん……?」

 朝日が部屋に差し込む。

 目を開けて起き上がる裕一。

(あのまま寝ちゃったのか……)

「ご飯出来てるから、食べたら捜査開始よ!」

 メラメラと燃える遥。

(遥が燃えてる……)

 裕一は部屋を出ると、一階に下りてリビングへ。

 食卓には遥が作った料理がある。

「いただきます」

 席に着いてご飯を食べる裕一。

「ごちそうさまでした」

 食べ終わり、遥と共に出掛ける準備をする裕一。

「よし、行こうか」

 裕一は遥と共に家を出た。

「どこから行くの?」

「被害者の足取り追いましょう?」

「それは警察がやってる」

「じゃあ、どこで殺人が起きたか突き止めようよ」

「取り敢えず、斉藤 琢磨が勤めていた帝国保安保障へ行こうか」

 裕一と遥は帝国保安保障へ向かい、斉藤についての有力な情報を入手した。

 事件前日、斉藤を訪ねてきた中年の男がいた。

 男は生き別れの兄で、母親が亡くなったため、それを伝えようと斉藤を捜していたという。

 男の名は黒沢くろさわ さとしという。

「黒沢 聡?」

「裕一くん、知ってるの?」

「黒沢 聡って言ったら、警察関係者の中では有名だよ。警視庁で警視長まで上り詰めた私立探偵だからね」

「そうなんだ」

「取り敢えず、その黒沢さんにお目にかかりますか」

 二人は警備会社を離れ、黒沢探偵事務所を訪れた。

「いらっしゃい。ご依頼?」

「いいえ」

「じゃあ何?」

「斉藤 琢磨について教えてくれませんか?」

「……!?」

「斉藤 琢磨が昨夜殺されました」

「マジか!?」

「マジです。僕たちは今、その事件を調査しています。なぜ斉藤 琢磨を捜索していたか、教えていただくことは出来ますか?」

「探偵には守秘義務があるんだが……」

「人一人が殺されてるんです!」

「分かったよ。稲垣と名乗る女だ。彼女に斉藤を捜してくれって頼まれてな」

「その稲垣さんってのは、貴方のお知り合いですか?」

「いや、初めて会う客だったね。何でも、彼女にとって斉藤は初恋の相手で、会いたくなったから捜すよう依頼に来たんだ」

「そうですか。稲垣さんの連絡先は分かりますか?」

 私立探偵の黒沢は稲垣の名刺を裕一に渡した。

「てか君たち高校生だろ? こういうことは危ないから警察に任せたら?」

 裕一は懐から携帯電話を取り出して、恵子にコールした。

「はい、三島です」

「三島さん、僕です、河野 裕一です」

「ああ、河野くんか。何か分かったの?」

「今、黒沢探偵事務所というところにいるんですが、稲垣と名乗る女が犯人かも知れません。捜索していただけませんか?」

「分かったわ。ありがとうね」

 電話を切って懐へしまう。

「河野くん、三島さんっていうのは、警視庁の三島 恵子さん?」

「ええ、そうですけど」

「その人、警察学校時代の同期だよ」

「そうなんですか。それじゃ、ありがとうございました」

 裕一と遥は事務所を出た。

「稲垣……。恐らく、偽名だろうな」

 稲垣の名刺を懐にしまう裕一。

「取り敢えず、俺らに出来ることはこれでしまいかな?」

「そうね。帰りましょうか」

 裕一と遥は帰路に就いた。


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