第8章 新曲が完成した。
第3作目のシングルが完成した。タイトル【君への贈り物】龍二と玲奈の別れを歌う失恋の歌であった。デビッドフォスターの曲を参考にしたバラードであった。ハードトゥセイアイムソーリーを作った作曲家である。龍二はデビッドフォスターに想いを寄せて尊敬していた、彼の作った曲はすべて物語があるとメンバーに話くらいであった。だから龍二の作った曲はデビッドフォスターの曲に類似していた。まずは美優と玲奈と翔平に聴いてもらうため自宅に招待した。自宅のピアノ部屋に三人を座らせた。「ちょっと聴いて、失恋の歌になる。」龍二はピアノをポロンと鳴らすとすぐに歌い始めた。皆、静かに聴いていたが玲奈が突然、涙を流し立って「私達の別れの歌じゃない!」玲奈は龍二を睨みつけて涙を拭いた。「龍二これ、私、演奏出来ないわ!却下、アルバム曲にしましょう?」玲奈はまくし立てた。「私は好きよ。良いと思うわ。アースのアフターザラブハズゴーンに少し似てるけど最高。翔平の声に合うわ。翔平はどうよ。」美優が翔平に話を振った。「ぼくも良いと思う。歌い易そうだし。」翔平は美優の顔を見て微笑んだ。「今回は俺、トランペット吹くよ。リードギターは恵子に任せる。玲奈、原曲知ってるか?最後にサックスのソロのアドリブがはいるんだ。君にもアドリブ頼む。」龍二は玲奈の顔を見て微笑んだ。「うん。わかった。私も賛成するわ。」玲奈はニヤリ笑った。「後、今回は全員でコーラスも頼む!来週、リハやろう!本社で皆に聴かせてやろう。一発オッケーもらわんと頼んだぞ。」龍二は曲の構成のアドバイスも何時もの如く細かく指示した。「龍二いきなり、別れの歌なんて、あんた新しい女出来たでしょう。先日、宜しくゴルフやった姉ちゃんとかに恋しちゃたでしょう。オンエア見ればわかるオンエアは何時なの?教えなさい!」玲奈は女の感でピンと来た。「ないよ!オンエアは来週の日曜日の午後7時テレビ朝日だよ。」龍二は玲奈の顔を見てニヤリ笑った。「やっぱりそうか!もう、やったんちゃうか!チェ!」玲奈は龍二の目を睨みつけて口を鳴らした。「それはない!この曲で良いかな?」龍二は誤魔化した。全員手をあげた。玲奈は渋々だった。「玲奈文句があるならお前が書けば良い。社長には俺が説明するから。」龍二も玲奈の目を睨みつけた。「そんな事言ってないよ。龍二のが良いわ。」玲奈は龍二の目を見て苦笑いを浮かべた。「明日、音合わせの後に事務所の社長にお披露目するか!良いかな?オッケー!」龍二は皆の顔を見た。龍二の母が昼ごはんを作ってくれた。「お昼ご飯出来たわよ。」母が大きな声でリビングから怒鳴った。チャーハンと餃子だった。「おばさん。いつもすいません。」玲奈が母の顔を見た。「何!冷凍物だけど、食べて食べて。」母は皆の顔を見て微笑んだ。「いただきます。」全員が言ってレンゲがお皿にあたる音がカチカチ鳴った。「おばさん。これ、味の素食品ですか?間違いなく美味しい。家も味の素食品なんです。特にチャーハンと餃子は。」美優が母の顔を見た。「そうよ。家も味の素食品だけ、たまに業務スーパーのやつ!餃子の王将。アハハ!」母は大きな声で笑った。「みんな足りる?足りなかったらまた作るから遠慮なく言って頂戴。」母は皆の顔を見た。「ご馳走様でした。美味しかった。」玲奈と美優と瑠奈と裕太が箸を置いてお水を飲んだ。「かあちゃん。ご馳走様でした。腹いっぱいになったよ。」龍二も母の顔を見た。「皆おかわりはいらないの?お粗末様でした。」母は皆の顔を見て微笑んだ。「皆、有名になったね。おばさん、鼻が高いよ。さっき歌っていたの新曲かい?良い曲だね。」母は皆の顔を見て笑顔で微笑んだ。「龍二君が作った曲ですよ。おばさん。」玲奈が母の顔を見て優しく微笑んだ。「あら!そうなの?私と龍二の別れの歌なんだ!」玲奈は母の顔を上目遣いで見た。「なんで別れちゃうんだい?中学生の時から付き合っていたのに!おばさん、玲奈ちゃんの事娘のように思っていたのよ。よく龍二の部屋でイチャイチャしてたじゃない!二人とも初めての人だったんじゃない?龍二の浮気か?ちょっと人気が出たからと言って調子こいてんだよ。」母は龍二と玲奈の顔をキョロキョロと見た。「母さん、玲奈とは愛とか恋じゃなかった事に気付いた。このまま友達でいいかなって!身体の相性が悪いとか嫌いになった理由じゃない。俺と一緒に居ても幸せにならないと悟った。だったらどこかの金持ちと一緒になって幸せになってもらいたくて、けして玲奈から逃げるんじゃないんだ。」龍二は母の顔を見て涙を見せた。「龍二、私の幸せはあなたが決めるもんじゃないから勘弁してお願いだから!あなたといて楽しかったらそれはそれで幸せなんだから。私は龍二の事、いまでも好きよ。別れたくないから。」玲奈も涙をぬぐった。「そうなの!龍二が良い人出来たんだわね。ごめんなさい玲奈ちゃん。バカ息子で」母も涙を流して泣いた。鼻水でティッシュボックスを抱えていた。




