第21章 レコード大賞は来年で良い
打ち上げの席でグッズ販売が盛況だった事に気を良くした坂内社長が「グッズ売り上げの3%を君らに還元する。」と豪語した。「その代わりレコード大賞は今年じゃなくて来年にしてくれ!」とメンバーに頭を下げた。「ぶっちゃけ!レコード大賞は金さえ払えば誰でも受賞出来る、芸能界の裏話だ。内緒にしとけよ。一億円かかる。来年、君達に稼いでもらって来年受賞させる。約束する。」坂内社長はメンバーに頭を下げた。「社長、そこまでしなくても俺はそんなふざけたレコード大賞なんていらないっす!そのお金貯めて事務所を大きくしましょう?」龍二は社長の目を見つめた。「そうか?そう言ってもらえるねはありがたうのだが、芸能界のしきたりでな、どうしても来年はうちの事務所の番なんだ。避けて通れない。たから来年はお前達がとれ!」社長のメンバー一人一人の顔を見てニヤリ微笑んだ。話が終わると中居がビールを沢山運んで来た。「それでは、今日はご苦労さまでした。どんどん、飲め、食え、ホテルはとってある。」社長は上機嫌でメンバーにお酌をして回った。揃った所で社長が乾杯の音頭をとった。それから2時間の打ち上げが始まった。「ところでお前達、ボヘミアンラブソディー何処で練習した?」いきなり社長がメンバーに聞いて来た。「あれは密かに俺んちでうちのピアノルームが防音になっていて、隣は空き地、隣はうちのお店なんで気を使わず練習出来るんすよ。」龍二はそう言って右手で頭をかいた。母が洋品店をしていた。父親の会社海外の家具や骨董品や洋服を仕入れるバイヤーをしていたので海外の洋服やバック、アクセサリーを仕入れ売っていた。あまり儲かってなかったが地域の常連が利用してくれていた。ほそぼそと暇つぶしでシャッターを開けていた。売り上げを貯めては龍二と妹を外食に連れて行ってくれていた。龍二の英語は家に居る時に父親から教わった。年中海外暮らしであった。学校でも英語の成績は良かった。売り上げの場が落ち着いた。メンバーは酔っぱらっていた。「社長、俺、プロゴルファーの草刈美波と結婚を前提に付き合っています。」龍二から爆弾発言が飛んだ。「龍二、それ、知ってから。僕達全員。驚かないよ。」坂内社長が龍二の目を見て笑った。「なんか、お似合いのカップルだよな!良かったよ。いつ結婚する?」翔平が龍二の目を見て微笑んだ。「まだ、未定だよ。エッチもしてないし!」龍二は照れ笑いを浮かべた。「そんなんで良いのか?お幸せに!」翔平が龍二の目を見つめた。「良いんだよ。余計なお世話だよ。まったく!」龍二は翔平の目を見つめた。「お前らしいな?でも彼女、良い身体しているよ。腕と脚の筋肉とか惚れ惚れするわ。羨ましい。」翔平が龍二の目を見てニヤリ笑った。「この!エロい目で見やがって、たしかに身体抱きしめた時筋肉質だった。」龍二は照れ笑いを浮かべた。「ご馳走様。」翔平は龍二の目を見て微笑んだ。「あんたらエロいんだからやめなさい。」玲奈と美優が同時に怒鳴った。「そう、ゴルフの時、一緒にまわった、渋谷プロと金子プロも良い筋肉してたよな?」翔平が龍二の目を見てニヤリ微笑んだ。「だから、やめなさいって!」玲奈が目をつり上げた。そして、打ち上げはきっかり2時間で終わって解散になった。メンバーは2台のタクシーでホテルまで移動しぐっすり眠りについた。大晦日はまずはTBSでレコード大賞に出たが今年の受賞は勿論なし、そして大急ぎで澁谷のNHKホールに向かう。順番は真ん中辺であった。収録が終わりホテルに戻り全員で年越しそばを食べた。夜があけると朝7時に吉野マネージャーと重盛マネージャーと事務員の三人がおせち料理とお雑煮を持って来てくれた。「明けましておめでとうございます。」全員で挨拶合戦が始まった。昨晩の料亭の物だそうだ。「これ、社長からお年玉預かったわよ。はい。龍二君、翔平君、裕太君、美優さん、玲奈さん、瑠奈さん、恵子さん。少ないけど昨年はご苦労さまでした。」吉野マネージャーが一人一人に渡した。龍二が中身を見ると一万円札が10枚入っていた。「こんなに貰っていいんでしか?」龍二は吉野マネージャーの顔を驚いた表情で見た。「いいのよ。気持ちだって!今日、実家帰るんでしょ。お土産買って帰りなさい。東京駅はやっているから。」重盛マネージャーが皆の顔を見て微笑んだ。「わかりました。ありがとうございます。」メンバーは頭を下げた。その後全員でお屠蘇を飲んで酒をのんでお屠蘇を食べておせち料理を食べた。「ご馳走様でした。」皆、合掌し、箸を置いた。「今年も宜しくね。皆さん。良い年にしましょう。」吉野マネージャーが皆の顔を笑顔で見た。皆ホテルを出て東京駅まで行くとお土産を沢山買った。山手線で上野へ行き常磐線に乗った。常磐線で牛久駅に着くと一ノ瀬瑠奈が降りた。次は荒川沖駅で龍二、翔平、玲奈、美優、恵子、裕太も降りた。龍二が駅前に車を停めておいた。まずは恵子と裕太を乗せた。恵子を降ろして続いて一番遠い裕太を降ろし駅まで戻り、何時もの四人は谷田部町まで、まず、美優を降ろし、玲奈を降ろし翔平を降ろした。龍二が家に着くと珍しく父親も居た。「ただいま帰りました。明けましておめでとうございます。」龍二が三人の顔を見て頭を下げた。「龍二おかえりなさい。ご苦労さまでした。明けましておめでとうございます。」母が龍二の顔を見て頭を下げた。「龍二おかえりなさい。たまには父さんも日本で正月迎えようと思い昨日帰ってきた。明けましておめでとうございます。昨晩、レコード大賞と紅白見たぞ!翔平君、歌上手くなったなあ!」父は龍二の顔を見て優しく微笑んだ。「お兄ちゃん。おかえりなさい。ご苦労さまでした。テレビ見たわよ。カッコよかったね。」妹の裕美が龍二の顔を見て手を出した。高校1年生だった。お年玉を請求してきた。龍二はズボンのポケットから財布をとり中から一万円札を1枚ぬいてそのまま渡した。裕美は満面の笑顔で龍二の顔を見て、はしゃいで「ありがとう!」と言った。龍二が手に袋を沢山持っているのに気付き「それ、もしかしてお土産?」裕美は龍二から袋をとると包みを破り中からお菓子を出して食べ始めた。「裕美、自分ばっかり食べてないでお父さん、お母さんにも剥いてあげなさい。」龍二は裕美の顔を見て優しく微笑んだ。「お兄ちゃんのバンドうちの高校でも大人気だよ。谷田部町出身の歌手でうちの高校の卒業生だって!」裕美は龍二の顔を見てニヤニヤした。口の中のお菓子をこぼしながら言った。裕美も茗渓高校に通っていた。裕美は軽音部ではなくバレー部だった。だから背180センチで龍二より2センチ高かった。「親父もいるから話ておく。俺、今、付き合っている女がいる。」龍二がそこまで言うと母親が「知っているわよ。玲奈ちゃんでしょう!今さらなによ。ワハハハ!」母親は龍二の顔を見て笑った。「違う、玲奈じゃない。有名人だよ。プロゴルファーの草刈美波だよ。賞金女王の草刈美波だよ。」龍二が三人は顔を見てビックリした。三人とも腰を抜かして床に転んでいた。「草刈美波がうちの嫁だと冗談はやすみやすみ言いなさい。」母親は目が飛び出ていた。「コリや驚いた。草刈美波だとわしの義理の娘になるのか?」父親もビックリしていた。「草刈美波がわたしのお姉ちゃんになるの?」裕美も龍二を見てビックリした顔を見せた。「龍二、いつ頃、一緒になるの?お母さん達も準備があるからね。」母は龍二の表情をよく観察した。「そうだな?向こうのお父さんとお母さんにはこの間あったからね。近いうちちやんとした所で会うからその時、結婚の承諾もらうよ。後お互い忙しいし、2〜3年後かな?出来ちゃたら早くなるかも?」龍二は三人の顔を見て笑った。「どこに住むんだい?隣の空き地あなた達に譲るからそこに家建てな?二人ともお金あるだろうから。現金はとっておいて、それで銀行でお金を借りて建てたほうが得だよな税制面とか?一緒に住めるし。楽しみだ、孫でも出来たらもっと楽しみ。」父親が隣の空き地を勧めた。「ありがたい話。後でよく考えるわ。」龍二が両親の顔を見て優しく微笑んだ。「こりゃあ正月早々めでたい話が聞けたわ。たまには帰ってくるもんだな?」父親は母親の顔を見て笑った。
第13章くらいにもうすぐ完結と書きましたがまだまだ続きます。よろしくお願いします。作者。後、投稿したもの中にだいぶ文章を書き直した部分が出てまいりました。当時なかったホールをあたかもあったように書いておりました。気になる方は読み返してください。例えば、つくば市とかノバホールとかです。まずつくば市は1982年当時はありません。ノバホールも1983年6月にならないと出来ていません。




