第17章 美波との再会
美波のツアーが終わった11月の後半、二人は久しぶりに会う約束をして美波御用達の個室のあるレストランを予約していた。人目を避けたいのが理由。龍二は着慣れないスーツを着てドレスコードはバッチリにお洒落して行った。龍二がレストランに着くと美波が居た。若い女性とカウンターでワインを飲みながら談笑していた。龍二は薔薇の花束を胸に抱いていた。「美波さん。こんばんは。お待たせいたしました。賞金女王おめでとうございます。」龍二は満面の笑みで美波の目を見て頭を下げると花束を渡した。「わっ!綺麗!ありがとう。ツアー疲れたわ。暫く温泉で療養するわ、龍二さんもいかがご一緒に。」美波は満面笑顔で龍二の目を見つめた。「美波さん。百万本のバラと思っておりましが寄った花屋に百万本のバラは置いてないと断られまして、あるだけ買って来ました。」龍二は美波の目を見て笑った。「あら!おかしい。まあ、そんなに置いてある花屋はたぶんないわよ。これでじゅうぶん。有り難う。ウフフ!」美波は目をキラキラさせながら龍二を見て笑った。「お部屋に行きましょう。個室とってあるから。どうぞ!」美波は手慣れた感じで龍二をエスコートし、個室を案内した。「どうぞ、龍二さん、こちらにお座り下さい。ここね。ゴルフ仲間とよく来るお店なの?女子プロゴルファーってお酒好き多いから一般人とあまり接しないのよ。恥ずかしいから。ウフフ!」美波は龍二の目を見てニヤリ笑った。「龍二さん。ワイン飲めますか?それと料理もコースでたのじゃたから。食べられないものなかったですよね。ウフフ!」美波は上機嫌で今日はよく笑った。「苦手な物はレバーだけです。」龍二は美波の目を見て微笑んだ。「今日の料理にはレバーはありません。安心してください。ウフフ!」美波は龍二の目を見て笑顔で笑った。美波も今日は紺スーツを着ていた。スタイルが凄く良いから似合っていた。しばらくすると料理とワインが運ばれて来た。スタッフがワインのコルクをぬいてワイングラスに半分だけ注いでくれた。二人はグラスを重ね乾杯をした。二人は少しだけワインを口に含むんだ。「美波さん。先程の温泉の話、嬉しいのでしが俺達これからが本番なんです。コンサートやテレビ収録とか紅白やレコード大賞とか、美波さんとゴルフ番組ありますよね。うちのメンバーも渋谷プロと金子プロと一緒に出ますよ。もう、来週の話です。そういう事で残念ですが行けません。また、誘って下さい。」龍二は苦笑いを浮かべ右手で頭をかいた。二人は料理とワインとおしゃべりを楽しんだ。二人は今日の洋服についての話が始まり席を立った。龍二は酔った勢いのせいか美波の身体を抱き寄せキスをした。美波は拒みはしなかった。スッと目を閉じて受け入れてくれて初キスが成功した。美波は少し照れていたが笑って誤魔化していた。堂々としているよりは可愛い。もう一度美波を抱きしめた。やっぱり筋肉質だった。パワーの源はこの身体なんだと悟った。「私の身体、筋肉質でしょう?脱ぐと凄いのよ。お楽しみに!龍二さん。ウフフ!」美波は龍二の目を見て照れながら笑った。「俺なんかふだん運動してないからガリガリだ。アハハ!」龍二は美波の目を見て笑った。「私、ゴルフ5歳からやっているのよ。やっぱり、小さい頃から沢山の人と勝負してきたから身体は鍛えたわ。よく鶏のササミを食べさせられた。安いしね。今みたいにプロテインなんて物なかった。後、ジムなんかもなかった。だから裏の公園でウンテイとか鉄棒で鍛えた。カイテントウなんかもあった。楽しくてね。縄跳びもやったわね。今ではその公園なくなっちゃった。この間、ツアーの途中でなつかしくて見に行ったらなかった。元々私も茨城なのよ。水戸だけど。茨大の近く。今、東京の新宿のマンションに親と住んでいるから後、栄養士さんもいるし。健康には気を使っています。ウフフ!」美波は龍二の目を見てニコリ笑った。「健康優良児だったんだね。俺なんか勉強はサッパリだった。音楽が好きで幼稚園の頃ヤマハ音楽教室にピアノを習いに行ったキッカケでギター、サックス、トランペット、声楽をやらせてもらった。父親が衣料品会社の社長だったから金は少しあった。だから運動は苦手なんだがこの間ゴルフ上手くいったな?俺は谷田部町台町って田舎。先日、ゴルフやった霞ヶ浦国際カントリー倶楽部から車で15分だよ。」龍二は優しく微笑んだ。「あの!ゴルフは運動神経関係ないからね。生まれもった感覚が必要。上手くなりたかったら練習すれば良いって事だけ!ウフフ!」美波は龍二の目を見て優しく微笑んで笑った。「音楽も一緒だよ。練習練習また練習と才能、歌を作るのは才能ないと駄目だね。絶対に。歌は耳が良ければ誰でも上手くなれる。俺は絶対音感持っている。ゴルフも才能が必要なんじゃない?」龍二は美波の目を見つめた。「そうね。練習しても駄目な子は駄目だものね。ウフフ!」美波は首を縦に振って納得しながら龍二の目を見て優しく微笑んだ。「話はかわるけど新しいアルバム買ったわよ。新しい曲が多かった。カバー曲もクィーンを入れたのね。ロックも良いじゃない!私は好きよ。コンサートも近いんでしょ!私、伺うわ。」美波は龍二の目を見た。「ワザワザ買ってくれたんだ?俺がプレゼントするのにサインを入れて!クィーン良かったか?紆余曲折あったから社長とプロデューサーと路線じゃないって、手をとりあってと伝説のチャンピオンはいいのだけどボヘミアンラブソディーとウィウィルロックユーなんかは反対された。本当はそっちをやりたかった。俺的には!」龍二は微妙な顔で美波を見た。「どっちかと言うとバラードの方が大衆うけするか?」美波は龍二の顔を見た。「それでデビューしたからね。路線変更はギャンブルなんだ?社長は!てもうちのボーカルは良い味出しているからね。それぞれ!」龍二は自画自賛して照れ笑いを浮かべた。「うん。そう、翔平さんもあなたも美優さんも玲奈なんも素敵。他の3人は歌わないの?」美波が龍二の顔を覗いた。「他の3人も上手いだけど俺達の後輩だから遠慮しているんだよ。霞ヶ浦国際カントリー倶楽部の前にある茗渓高校の卒業生だからね。俺達全員。」龍二は美波の顔を見た。「そうなんだ?あんな所に高校あったんだ!」美波が龍二の顔をビックリした表情で見た。「それごあるんだな!真ん前じゃなくちょっと正面を向いて左手にある。茗渓高校と中学が。」龍二が説明した。「茗渓高校って意外と偏差値高いんだよね。私が中学の時にはなかった高校。」美波が龍二に聞いた。「そう、俺達4人が初の卒業生だから。偏差値は67だ。俺達もなかやかだな?金があれば入れた時代。俺達は札付きだったから学校としては嫌だったろうな?皆、東大だ、京大だ、慶応だなんて言ってたからな?」龍二は照れ笑いを浮かべた。「私は水城高校ゴルフ部出身よ。大学はいかなかった。すぐプロテスト合格したからプロになったの!」美波は龍二の目を見た。「そうなんだ!水城なんだ?」龍二は美波の目を見た。ワインに酔っていた。たぶん、目は死んでいた。美波がそれに気付いてウーロン茶を頼んだ。「ご馳走様でした。もうそろそろ終わろうか?二人とも酔ったしね。今日は有り難う。またね。」美波は龍二の目を見つめキスもリクエストする仕草を見せた。「ご馳走様でした。美味しかった。また来ましょう?お代は俺が払うから。」龍二は美波の目を見つめて美波の唇を見た。龍二は美波を抱き寄せ目を閉じて先程より長いキスを交わした。キスが終わると「お代は済んでいるわ。私、賞金女王なのよ。ウフフ!」美波は龍二の目を見て冗談を言って笑った。今晩はやけに笑うなと思った。龍二がそこに立っていた。二人は手をつないで部屋を出て、週刊誌記者が居ない事を確認し、玄関を出てタクシーを拾った。龍二は美波のマンションに寄りお父さんとお母さんに軽い挨拶をして家路に着いた。「最後にもう一言、賞金女王おめでとう御座いました。1年間ご苦労さまでした。」龍二は美波の目を見て優しく微笑んで頭を下げた。。




