第14章 美波も知る事にJLPGAともめる
その晩、龍二から美波に電話で本日の経緯を話した。二人の事が週刊誌にすっぱ抜かれ、うちの事務所で揉み消す事になり、JLPGAから抗議があった事などを話た。暫くは君に合う事は控える電話だけで勘弁してもらった。「大事な次期だから試合に集中して賞金女王になってくれ！愛してる」と電話口で龍二の気持ちをさらけ出した。「私も愛してる。」美波から返事を貰った。龍二は初恋であった。玲奈とは身体の関係と信頼出来るバンド仲間だけで愛はなかった。JLPGAから抗議があった事に対して美波は憤慨していた。次の日、JLPGA事務所に乗り込んで会長に抗議をしたのであった。美波の言い分は、協会の選手ではあるが恋愛までガタガタ言われたくないと面と向かって抗議し、協会の立場もわかるから今回は自粛すると伝え、お付き合いは変わる事はないとはっきり言った。週刊誌の件はあちらの事務所が揉み消すと言っていた事を話すと会長は安堵した表情を見せた。会長も賞金女王の草刈プロに男が出来るとなると女子プロゴルフの人気低迷を招く恐れがあると心配しての行動だった事に美波は説明を聴いて大事にされている事にも気付いたし、龍二も同じ事だとも言ってくれた。「田中会長、心配おかけしました。自身の行動を慎みます。が愛している事に間違いはありません。電話で愛育みます。いずれは結婚したいと思っております。」美波は会長の目を真っすぐに見た。「あなた、3Bって言葉知っていますか？付き合うのやめた方がいい男を指す言葉なのよ。ます、1つ目のBはバンドマン、2つ目のBはバーテンダー、3つ目のBは美容師ね。女として応援するわよ。その中に入っているわよ。バンドマンが！よく考えなさい。ゴルフは疎かにしないでね。今年の賞金女王とりなさい。私もセブンカラーズの歌好きよ。聴いているわ。遠藤龍二君カッコいいし。ギターの子よね。ギター3人いるからな？あのグループ！皆イケメンだし！女の子達も可愛いしね。皆モテるだろうな？」田中会長が美波の目を見て優しく微笑んだ。「会長も知っているんですね。」美波は笑顔で会長の目を見てニヤリ笑った。「そりゃぁ！流行りは抑えとかないとね。この商売してると大事だから。」会長も美波の目を見てニヤリ笑った。「来週から北海道ね。8勝目狙いなさい。オフになったら一緒にゴルフでも堂々とやりさない。週刊誌には気をつけてね。でも、愛に溺れて練習さぼっちゃ駄目よ。あなたならわかっていると思うけどね。あなた、恋愛初めて？」田中会長は美波の目を見て優しく微笑んだ。ツアーは11月まで続く。「学生の頃、先輩と1年だけ付き合った。それだけ、だから初めても同様です。龍二さんとは結ばれたい。そう思っています。」美波は田中会長の目を見つめてニッコリ微笑んだ。「頑張んなさい。応援するわよ。」田中会長も美波を見て笑顔で微笑んだ。怒鳴りこんだが上手くかわされ丸め込まれた形で会長との話し合いは終わった。美波もバカじゃない。すべて納得して帰りの電車に揺られた。家に着いてから龍二に電話した。会長と話し合った内容を話した。龍二と愛している自分に気付けて、今回は、二人とも週刊誌に感謝しお互いを思い合うことがわかっただけでも心に思う人がいる事で電話が今以上に楽しく感じた。「来週からまたツアーに出ます。北海道です。頑張るね！龍二さんは相変わらず五線譜とニラメッコですか？尊敬しちゃう、歌を自分で作るなんて、良い曲、書いてね。」美波は龍二に伝えると「今回は美波さんとの恋の曲にしますよ。良い曲に仕上げます。やっぱりバラードです。ロックはNGなんで！美波さんも全国転戦してしんどくないですか？そっちの方が大変だと思いますが作詞作曲なんて机の前で座っていれば誰でも出来ますよ。ワハハハ！」龍二は謙遜し、てれながら笑って電話を切った。まだ、携帯、メールなんて品物は此の世になかった時代の連絡手段が固定電話であった。話を家族に聞かれてしまうので際どい会話は御法度だった。
