学園もしくは戦場
躊躇わずに教室に入り、黒板に名前を書き入れる。
「あー、、、どうも、今日から君達の担任を務めさせてもらうエルだ。宜しく」
教室は静まり返っていた。
自主的に静か、と言うよりは何かに強迫されたように静かだった。
序に人数も5人で、それも教室の静かさに拍車をかけていた。
「あーっと、、、そこの君」
「私ですか?」
真ん中に座っていた女子生徒に声をかけた。
「そうだ―――なんでこんなに静かなんだ?」
「、、、先生はご存知ないかもしれませんが、この自治区には長い事貴族がいなかったんです―――先生はこの自治区唯一の貴族です」
「、、、そうか」
畜生、重要なところを隠されていた。
「それで、、、先生、今日の授業は―――」
「あー、、、一先ず校庭で授業をしたいんだが―――君、案内頼めるか?」
「了解しました!」
✧✧✧✧✧
生徒達に案内されながら校庭に出ると、冷え切った空気が肌を刺した。
「あーっと、、、そこの君、名前は?」
先程声をかけた生徒に再び声をかけた。
すると少女は驚いたように肩を震わせながら、自己紹介を始める。
「エトワールです」
「それじゃあエトワール、、、あそこの的を適当な魔法で打ち抜いてみろ」
校庭には魔法専門大学らしく、訓練標的が設置されていた。
「あれを、、、わかりました———【我、火の主也———夏炉】」
放たれた魔術はゆったりと飛んでいき、、、10メートル程の場所で消失した。
訓練標的までの距離は凡そ20メートルある為、半分程までしか魔術が飛ばなかったことになる。
「、、、本気でやったか?」
「すみません、、、」
「いや別に、、、責めてはいないんだが、、、」
項垂れてしまった。
「あーっと、、、今の魔法はどうやって使った?」
「え、、、それは———魔力波を、空気中に流して、、、」
「他の生徒も同じ意見か?」
返答を促すように目線をやると、ほとんどの生徒が首を縦に振る。
「そこの君、、、フードをかぶってるそこの君、、、名前は?」
「私はシルヴィア。貴方に拾われたばかりだから魔法のことなんてわからない———ほら、名乗れと言われたから名乗った。次は何をすればいい?」
「、、、はぁ、、、」
サプライズが多すぎるぞ、ルドガーさん。