記憶
※この小説はフィクションです
実際の人物団体とは関係ありません
吐き気がする…体が重い…頭が痛い…もう終わりにしたい…あれは幻覚だ…あれは幻聴だ…何も見ていない…何も聞いてない…何も感じたくない…何も起きていない…
-今、自分は何をしているんだ…?-
自分は錯乱状態、なるべく背後の存在を否定し続けていた、だが、否定すればするほど、その恐怖は大きくなる、目に見えない物ではない、「幽霊」よりも恐ろしい、「ナニカ」がいる…
???「オマエハ、コノクニノ…」
……
グッ!
バッ!
山「おい!逃げるぞ!」
一「…?」
突然、酩酊していた自分に釘を刺すかのように自分の服を掴みそのまま力ずくで引っ張られ、山岸の背中に背負わされた。
山「今は何も話さなくていい!とにかく気を保て!」
一「…」
山「お前が突然おかしくなったのもアイツのせいなんだろ!」
一「すまん、自分…」
山「なんでもいいから、とにかく人気の無い場所まで行くぞ」
一「…」
申し訳ない気持ちと、逃れたい気持ちが交差し、やるせない感覚に陥っている、今は忘れよう、忘れようといい聞かせている内にどんどん頭の中に、「アレ」の顔が浮かびさらに何もできなくなる。
出来るだけ、考えないようにしながら山岸の背中にしがみついていた時…
一(なんだ…?この感覚…?アイツから離れてるはずなのに全く遠ざかってるように思えない…まるで自分の背中に張り付いているような感覚…)
山「あっ!あれは…この街の広場か?今は深夜だから、誰もいないはず!」
この広場の景色は、さっきまでの雰囲気と違い、灯りが灯った街灯、中央に設置された噴水、その噴水の水の上に浮かぶ睡蓮の花、周りの空気が透き通った、花の香りで満ちている。
一「もう、降ろしていい…」
スッ
山「大丈夫か?一旦座れよ」
一「はぁ…」
一「なんなんだ…分からない」
山「…」
………
山「状況を説明してほしい、一貴」
山「なぜ、あんな奴に追われてるんだ?」
一「……」
一「信じられない話かもしれない…けど聞いてくれるか?」
山「あぁ、もちろん聞く」
……
一「俺らはホテルに行って、エントランスに入った所にいた…」
プルルルルル
山「あっ」
山「電話だぞ、誰からだ?」
一(待てよ、この電話の相手は佐花だ、山岸に電話の相手を見る前に言い当てられたら、これから話す事も信用して聞いてくれるかもしれない。)
一「あっ!山岸この電話の相手は…!」
山「おい、その電話相手、お前の兄貴からじゃないか…?」
一「えっ…?」
サッ
スマホを自分の方に向けて、見るとそこには自分のお兄ちゃん、智樹嶢の名が映し出されていた。
一(なんで…?さっきホテルに行った時にかかってきた電話相手は佐花だったはず)
山「電話取らないのか?」
一「あっ…!そうだった」
ピッ
一(久しぶりにお兄ちゃんの声聞けるな、最後に聞いたのは確か…)
……
???「#こに%#一°」
一「?、なんだ?聞こえずらいぞ?電波が弱いのか?」
ピッ
一「あっ、切れた」
山「どうだ?何か言ってたか?」
一「いや、喋っているのはわかったけど、電波が悪いのかノイズが混じってるように聞こえる」
山「なんかそれ、飛行機に乗ってる時も言ってたよな、何か関係があんのか?」
自分達は考え込むが一向に答えは出ない、刻一刻と時間が過ぎていく、そして少し経った後、二人は顔を見合わせ同時にこう言った。
一「お兄ちゃんを」山「お前の兄貴を」
2人「探しに行こう」
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第五話 記憶 完
すいません!今回の話急ぎで書いたので少し短くなってしまいました!あと、今回で合計10000字突破しました!