脱出
※この小説はフィクションです
実際の人物団体とは関係ありません
-正体不明の怒号から、一瞬の静寂の後、0時を回った鐘が鳴る-
-ゴーンゴーンゴーンゴーン-
???「##%#°」
意味不明な言葉で喋りながらゆっくり上の階の階段から降りてくるのが分かる。
-コツコツ-
自分は焦りと緊張から足が動かない、心臓の鼓動のリズムに合わせてゆっくりとこの階段を歩いてくる、
「それ」から逃れようと自分に言い聞かせるが、体が動かない。
-その時-
-バッ-
その時、山岸が自分の手を引き無理やり階段を降りさせた、訳もわからず、とにかく自分は山岸の手をしっかり離さず掴んだ。
山「あれ、まだ追ってきてるか?」
一「あっ…うっうん」
不安と恐怖からか、声が詰まって上手く出ない、今はとにかく階段を駆け下り、逃れたい気持ちが優先していた。
山「ここを、降って出口に…!あっ…出口…」
一「ダメだ…最初に入ってきたところは危険だよ…エントランスにはあのフロントマンがいる…」
山「うっ…何か別の出口はないのか…」
………
一「あっ、そうだ!ここは非常用階段、だから一階に行けば、非常用の出口があるはず!」
山「本当か!よし、このまま一階まで行けば…!」
ダッダッダッダ
───────────EXIT──────────
山「はぁはぁ…おい!これか?」
一「あっ!そっ…それだ!」
自分達は非常階段を降り一階の非常口まで到達することができた、自分は階段を全力で降りた疲労と不安で息ができない、呼吸を整え、山岸が非常口の取手に手をかけた瞬間……
……
バンッ!
バンッ!
…
一「えっ…」
甲高い音と共に、山岸が膝をついて倒れた…、自分は何が起きたのかわからず、周りを見回す、その直後
-ゴソゴソ-
階段から、物音がした、だがそんなことより今は山岸の方が優先、視線を山岸に移した、その瞬間、体が固まった。
一「う…そ…山岸がいない…?」
今、倒れたはずの山岸が視線を戻した後、最初から何もなかったかのように消えていた、そして一瞬で自分は階段へと視線を移す。
一「はっ…?」
視線を向けた先には…「山岸」と「自分」が階段に倒れている光景を目にした…
その時、自分の中にある何かが切れ、視界がゆっくりと暗くなってくる、体の力が抜け、今にも「倒れる」そう思った瞬間…
………
……
山「…っから……テル行くんだろ?」
山「…い、聞い…んのか?」
山「お…おい」
山「おい!」
今、何が起きているのか…さっきまで見ていた光景が嘘のように消え、月明かりの下に居る、ぼんやりと聞こえていた声が少しずつ鮮明になっていく…
山「おい、一貴お前大丈夫か?」
一「…えっ」
一「こっここは?」
山「お前、寝ぼけてんのか?今は-ホテルに向かってる最中だったろ?-」
一「意味がわからない…意味がわからない…意味がわからない、そんなはずない、さっきまで、ホテルにいて…そして、階段を降りて、それで…」
山「一旦落ち着けよ、どうしたんだよ?」
一「お前、山岸だよな…?」
山「お前マジでどうした?さっきまで普通に会話してただろ」
一「ご、ごめん」
一(なんなんだよ…本当になんなんだよ!この状況はよ!自分がおかしくなったのか?それともさっきのは夢?いやいやそんな訳ない…ありえない…)
山「おい、今はホテルにとりあえず向かおうぜ、それから話、聞くぞ?」
一「おっおい!山岸今の時間って何時だ!?」
山「えっ…今の時間はえーと…23時半だけど」
一(やっぱりおかしい、さっき0時を越えた鐘が鳴ったはず)
山「早く、ホテルいこうぜ一貴」
一「いやっ!待ってくれ!」
山「えっ?」
一「ダメだ、ホテルに行っちゃ」
山「どういうことだよ?」
山「行っちゃダメって」
一「今、夢かどうかもわからないけど、さっきまで、自分は-ホテル-に居た」
山「は?」
山「ホテル?今向かってるとこだろ?」
一「違う!違うんだよ!自分と山岸はホテルで…」
山「おい、待て…」
…………
山「お ま え の う し ろ に い る の は だ れ だ ?」
それを聞いた瞬間背筋が凍った、後ろから聞こえる鼻息、自分の足元に重なるように見える2人分の影、そして、違和感の正体、今すぐ逃げ出そうとしたその時
???「ナゼ、ココニイル?」
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第四話 脱出 完
今回も読んでくださりありがとうございました。自分が書いている話はその時その時に考えて作っているので多少、間違いなどがあると思います。そこを踏まえて楽しんで頂きたいです。