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ループ

※この小説はフィクションです

実際の人物団体とは関係ありません

-一瞬の静寂の後、山岸が口を開いた-


山「なんなんだよ…ここ…」


 自分達が見たのは間違いなくエントランスに居た、フロントマンと同じ見た目、同じ顔、同じ声、全くの同一人物だ。


 今いるホテルの階層は8階、同時にエレベーターに乗ったとしても、自分達の目の前から来ることは絶対にありえない、「幽霊?」などの考えもよぎったがそれはない。


 ここに居ては、絶対にダメだと、本能的に察知していた、自分は山岸の腕を引っ張り、ドアを開け、全力でエレベーターに乗り込んだ。


山「お!おい!」

一「ここのホテル…確実におかしい」

一「というより…さっきから、同じ見た目の人しか見ていないまるで、-同じ人物が複数存在している-……」

山「…」

一「山岸、このエレベーターが一階に着いたら、全速力で空港まで走るぞ」

山「分かった」


 エレベーターは徐々に下の階へと降っていく…

5.

4.

3.

………

チーン

-エレベーターが開く-


二人「えっ….」


 普段なら、エレベーターで下の階に行く時、人が乗り込んでくるのは普通の事、だが今回は状況が違う、今自分達は見てはいけないものから逃れている最中、恐怖の中、少し顔を見上げた、次の瞬間


???「ゴユックリ、ドウゾ」


 考えたくはなかった、今目の前にいる人物がさっき8階のエレベーターが開いた時に居た「人」だとは思いたくなかったからだ。

 自分達は声が出なかった、そして、今エレベーターから降り、この怪異から逃れなくてはいけないと、一瞬で分かった。

 扉が閉じる前にすぐにエレベーターから出て、右奥にもう一つ用意されている、「従業員専用エレベーター」と記載された場所まで走った。


山「なんなんだよ、マジでここ…」

一「本当に理解ができない」

一「さっきから同じ人しか見ていない…」

山「おい!早くエレベーター乗るぞ!」

一「ちょっと待ってくれ…」

山「おいどうした?」

一「今いる階層は2階のはずだろ…?」

山「ああ、そうだよ、それがどうしたんだよ?」

一「エレベーターの上についてるパネルの数字見てくれよ…」

山「上の数字って………えっ?」


──────────floor8──────────


一「今いる場所、8階だぞ…」

山「はっ?俺らはエレベーターに乗って下の階に降ったはずだろ?」

一「自分達がエレベーターに乗って下の階に行っていたのは確かなはず…」

山「じゃあなんでだよ!」

一「さっき、エレベーターが開いた時に居た人は自分らが最初にエレベーターに乗って、扉が開いた時に居た人と同じ、つまり自分らは-戻ってきた-というより、-ループ-しているってことかもしれない」

山「なんだよそれ…意味がわかんねぇ…」


 今、自分は色々思考を巡らせてるが、この状況から推測しても、ループしている、つまり同じ状況に何度も繰り返し遭遇しているという結論になってしまっている。

 そんなことは考えたくないが、そう仮定するしか今の状況を説明する手段がない、だが、今本当に結論をつけるべきなのは…


【ここから脱出する方法】

 

山「これって現実なのかよ…?」

一「一旦、落ち着いて…」

プルルルルル

-ここで自分の携帯から電話が鳴った-


2人「えっ」


-恐る恐る電話相手の名前を確認すると-

【佐花】


山「おっおい!佐花から電話だぞ!」

一「どうする…!今の状況を話すか?」

山「馬鹿!そんなん通じる訳ねぇだろ、この状況で!」

山「とりあえず、電話出ろ!」

一「わ、分かった…」

ポチッ

………

一「もしもし…?」

佐「あー、もしもし?一貴?」

一「う、うんそうだよ」

佐「ふっ、なんでそんなに怯えた声してるの?そっちはどう?今、どっかで泊まってる?」


山「おい!一貴電話変われ」

バシッ

山「もしもし?佐花聞こえてるか?」

佐「うん、聞こえてるけど、どうかした?」

山「今から言うことは絶対に信じてもらえないと思うがよく聞けよ?」

佐「え?うん」

山「俺らが今泊まってる、ホテルは…」

プツ


山「えっ?おい!佐花?」

一「電話切れた?なんで…?」

山「もう一回掛け直せよ!」

一「しっ、ちょっと待て、静かに…」

ウィーン


一「やばい!ここのエレベーターに誰か乗ってるぞ!」

一「ここの階で降りられるとまずいかもしれない」

山「分かった、一旦どこかに隠れるぞ!」

一「あそこの非常用階段の横にある物置に隠れよう」

ガチャ

バタン

 

 咄嗟に入った物置は、当分使われていないのか、埃が舞い、無造作に物が置かれている、天井には蜘蛛の巣が無数にあり、壁の壁紙は破れかけ、さっきまでいたホテルの廊下とは比べ物にならないくらいの汚さに自分達は「このホテルは着飾られた廃墟」なのだと気づいた。


一「あまり、物音を立てずに話そう」

山「ああ、分かった…」


一「今の状況は、複数の同一人物で溢れている事、そして、エレベーターに乗ってもまた8階に戻される事の二つ」

山「ああ、そうだな…どうやってここから抜け出す?」

一「一つ、考えがある、今自分達はエレベーターに乗ってループした、つまり、この物置を出て横にある、非常用階段で降りれば、それが起きずに出られるかもしれない」

山「確かに、階段を使えば確実に下の階にいけるな」

一「よし!自分が3.2.1の合図を出すから一気に階段まで行こう」

山「了解」

一「3…2…1、行け!」

ダッダッダッダ

ガチャ

パタン


一「ふ、ふぅ」

一「ここまで行けたら、あとは降るだけ…」

……







???「オイ!」

───────────────────────

第三話 ループ 完










今回の話、読んでいただきありがとうございました、第三話まで書けたことに自分でも驚いてます。まだまだ続けたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします。

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