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87話、続*葵と御一行のダンジョン3日目




壊された壁の向こうにはゴーレムどころか他の魔物も居なかった。身構えて行ったのに…。

「だから気配はないと言っただろう」

呆れを盛大に含んだスノーの言葉がグサッと刺さったわ。

「スノーの凄さを信じてない訳じゃなかったけど、今の言葉で俺の心が抉られた気がする」

ジルの言葉に激しく同意します。


てってけてーっ!って一杯魔物を倒してテンション高めのノアが一目散に部屋のど真ん中に鎮座してる宝箱に近づいてった。

「えー。隠し部屋にあるあるな感じでめっちゃ怪しくない?ノアー?触っちゃダメだよー!?」

「ノア、その宝箱は開ければ毒が撒き散る。我か主が行くまで触るな」

毒!?急いで鑑定してみたら

《宝箱》

開くと同時に毒(遅効性の麻痺毒)が散布される。

死にはしないが結構苦しい。

って出て来たー!遅効性がどのくらいの早さかはわからないけど、出て魔物と戦ってる時とかだと危険があぶない。

『やだー!ノアがあけたいーっ!!』

「やだって、えぇー。なんでここで我儘になるの?大体は素直に言う事聞いてくれるのに…」

スノーもそんな感じなのか思ったのか

「待たんかっ!!開けさせんとは言っておらんだろう!」

珍しくノアに対して怒り口調だった。

そんですっ飛んでった。いいお兄ちゃんですね。いやお父さんか??

「アオイ、一応ポーション手に持ってた方が良くないか?って、スノーでも間に合わなかったかっ!」

ジルが言うのが早いか、スノーがすっ飛んでって止めるのが早いかってぐらいだったけど、止める前に『えーい!』って掛け声をあげながら開けちゃったノアちゃん。

「マジかっ!ノアちゃん何してんのよ!!!」

私もジルも慌てて駆け寄る。

ノアを抱え上げて隅々まで見て、見ても意味ないから鑑定しようか?いやポーション飲ませる?ってアタフタ。

今んとこ異常ない?あれ?って思ってスノー見たら

憤怒の顔してた。スノーパパ怖い。

「毒があるから待てと言っただろう!我は開けさせんとは言っておらんぞ!!なぜたった少しが待てんのだ!!」

地の底から響く怒声的な?私に怒ってる訳じゃないのに、怖すぎて涙出て来た。

視界の端に見えるジルも「ヒェッ」って変な声出して、首窄めてたよ。

言われたノアちゃんも泣くかと思ったら、ケホケホしながらプイッとしてた。

怒られて拗ねてる感じ?大物ですな……。

「これが即効性の違う毒であればノア、お主は死んでおったのだ!そうなっては主が大層悲しんだだろう。我も悲しいし、もちろんジルも悲しむ!わかっておるのか!?…主、解毒ポーションの上級を飲ませてやってくれ」

最後の一文だけ抑えた声だったけど、お顔は憤怒のまま。

ノアの事、スノーも可愛がってるもんね。

私も怒りたかったけど、スノーが怖すぎたからやめとく。

アイテムボックスから解毒ポーション上級を取り出して

「毒浴びてるんだから、ノアはこれ飲んでね?次に宝箱出て来てもスノーが良いって言うまで開けちゃダメだよ?」

一応舐めて飲んでくれてるけど、まだツーンとしてる。

て言うか、舐めてるフリか?これ。全然減らない。振動も来ない。

あ、やだ。スノーの方から冷気が…

「ちゃんと舐めんかァ!!!」ドカーンって雷魔法まで発動したよ!?

「「ヒェッ!」」思わずジルと同じタイミングで変な声出しちゃった。ついでに私はまた涙が…

それでもツーンとしたまま今度は堂々とポーションから口を離したノアちゃん。なんでだよ!?

「ガルルル。…舐めんと言うのなら後からその毒の苦しさを味わっても知らんからな!」

って言ったら私の手からポーション瓶を叩き落として割りやがった!痛いわ!!

「痛いっ!そして高かったポーションがぁー!!」

「む?主、の手まで叩いたか?すまぬ。…ノアの事は放っておけ!宝箱の中に何かあるぞ」

いきなり通常テンションに戻ったスノーに、ビビりながらジルと目を合わせる。ノアは心配だけど、死にはしないから症状出始めたらまた飲ませよう。

『………』ぷぅー!って感じで拗ね続けてるノアちゃんから一旦視線を宝箱に。


農業コンテナくらいのサイズの宝箱の中にはどっさり、宝石とアクセサリーが入ってた。

鑑定で見ながら出してみたら、宝石はただの宝石だったけど、アクセサリーの中に守護のネックレス、守護の指輪、解毒の指輪、解毒のバングルってのがあった。

全部一回ぽっきりしか使えないけど、解毒はジルとノアに良いのでは??

「ジル、バングルの装飾的に女性ものですけど付けときませんか?指輪でもいいですけど…」

サイズ的に指輪はノアの腕…は無理っぽいけど尻尾ならいけそうだなぁ。バングルは頭入らなかったら困るし。

「バングルなら女性的なのでも袖で隠せるから貰っとくよ。今みたいな宝箱のトラップの時俺、どうにも出来ないし」

うん!って頷き合って渡す。さっと腕にはめてた。

ノアの尻尾に指輪をはめようと思ったら、逃げられた挙句

「さっきの毒の効果が出るまで放っておけ。経験せねばわからんのだろう」

ってスノーに止められました。

怒られるの怖いから従っときます。

立場逆じゃね?って今回はスルーしてください。


宝箱は回収できなかったので、中身だけアイテムボックスに入れて11階層を後にして、ずーっと拗ねてたノアちゃんは、12階層の途中で毒の効果が出て来た弱々しく『ごめんなさい』って言ってました。

ポーション飲ませて、1番近くの待避所で今日はおしまい。

作っておいたカレーライスをたらふく食べて寝た。

不思議な事に他の冒険者を入り口付近で見たっきり、全く見かけない。なんでだろ??





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