59話、葵と御一行は新たな街に到着する
夜更かししながら食べまくり飲んだくれたお陰で、全員起きたのは太陽がかなり高くまで登った時間だった。
従魔コンビにはオークのスライス豚丼を作ってあげて、私とジルは、作っておいた鶏そぼろを3色丼にして出した。
刻み海苔は買いました。
「うぅー。飲みすぎて頭いてぇー……」
「アレだけ飲めばそうでしょうね。はははッ」
冷蔵庫からペットボトルの水を持ってきて差し出すと、勢いよく飲んでいくジル。
「スノー、出発はすぐするのか?」
「すぐでも多少待ってもどちらでも構わん」
「なら俺、ちょっと身体動かしてくるわ!」
よろっと立ち上がってダイニングを出たったジル。
「練習場で鍛錬か。どれ我が見てやろう!」
ってスノーが付いてったら、ノアちゃんまで一緒に付いてった。
私もランニングしよう。練習場は使ってるから建物の外周を走ろうかな。
30分走ってダイニングに戻っても誰も居なかった。
軽くシャワーで汗を流して、暇だったからレシピ本読みながらコーラを片手にポテチをパリパリ。
こっち来て初めてスナック菓子食べたな。
食べ終わってゴミを捨てて証拠隠滅。
パタパタ足音がして来たから、戻って来たっぽい。
「ん?主この匂いはなんだ??」
「んー?確かになんだろう。芋の匂い??」
『あるじからおいしそうなにおいする!』
換気してなかったーっ!!秘密にしようと思ってたのに。
仕方ないからポテチを追加で買って出す。
「アオイ、これは何??」
「ポテトをスライスして揚げた?お菓子です」
「ふむふむ。パリッとした食感と塩味が美味いな!」
「本当だ!これ芋と塩だけだからお店で出せそう」
「ジルはすぐに商売にしたがりますね?油であげてるんですけどこの世界揚げ物無いですよね??油高いんじゃないですか?」
「確かに油は高いね。自国生産ではあるんだけど…」
「では諦めましょう!」
「はぁい」
この世界の庶民の主食スープ系以外で串焼きとか網焼きとかしか無い。
いやでも、いつか異世界料理で食堂開くのありかもしれない。まぁ、調味料とかレシピとか全部マル秘になるけど。
ポテチを食べ終わってから、やっと移動を開始した。
もちろんスノーが昨日と変わらない走りしたから、私はずっと叫んでたけどね!!
ジルは身体を動かして二日酔いが綺麗さっぱり無くなって、元気いっぱい楽しんでた。ノアちゃんも。
ジルさんの身体はなんで出来てるの?
二日酔いって水分いっぱい取って休んだかなきゃいけないんじゃなかったっけ??違う???
そんなこんなで予定通り5日間の旅路を経て、新たな街"ヴァンガ"へ到着した。
ここはアティスより小さいけど、繊維業が盛んな街らしい。森が途中で途切れてだだけど、ここにも森はあった。規模はだいぶ小さいが。
入領手続きのために列に並ぶと、ちょっとだけ避けられた。がっつり避けられるより心に来るのはなんで??
「ヴァンガの街の領主はヴァルテルデ伯爵様だ。アティガルド侯爵閣下とお隣さん同士、同い年で昔から仲がいい。もしかしたら呼ばれる事もあるかもね!」
「怖いフラグ立てないでくださいよ!ここでは道中狩りをした魔物を解体してもらって、街をちょっと観光してってそれだけしたら出るつもりなんですからね!」
「アオイが貴族に出来るだけ会いたく無いのはわかるんだけど、あそこ見て?」
ジルに言われて指差された方を見たら、明らかに身なりの良い服着た老紳士。あれどう見ても執事服だよね??
アティガルド侯爵のとこでも執事さん似たの着てたし。
「あれ、伯爵家の家令だと思う」
「家令って事は執事さん。……はぁぁぁ」
「そう。執事さん!だから会うの確定だと思うな!」
「ひょっとしたらジルに用事があるのかも!!」
「んな訳ないだろ?どこの貴族に人ん家の元騎士に用事ある人がいるんだよ。」
うぅ…。お貴族様が私に?いやスノーにかな?ここによるの止めようかなぁ。
私たちの番が来て、おっかなびっくりな感じはあったけど門衛さんはスムーズに手続きしてくれた。
終わってすぐに執事服の紳士が
「ようこそヴァンガの街へ。お待ちしておりました。私、この街の領主ロイド・アーサー・ヴァルテルデに仕えております家令のジョンと申します。」
綺麗な所作で礼をして挨拶をして来た。
「初めまして。冒険者をしていますアオイです。こっちのフェンリルがスノー、ケット・シーがノアと言いまして私の従魔です。そして彼は冒険者仲間のジルです」
パーティー組んだ訳じゃないからこれで良いよね?
「ご紹介頂きありがとうございます。早速で申し訳ございませんが、伯爵様がお会いになりたいとお待ちです。領主館までご一緒に来て頂けますか?」
行きたくなさすぎてチラッとジルを見ると小さく首振った後、頷かれた。行けって事ですね。
「わかりました。伺わせて頂きます!」
用意されてた馬車に私とジルと乗り込んでいざ領主館へ。
ノアちゃんはスノーの頭に乗ってた。
行きたくないのに行くんだから、せめて癒しが欲しかった!




