3話 葵いざ、異世界へ
立ち上がって創造神様の方に目を向けたら
出て来た時とは逆で、右手を振ったら持ってたタブレットが消え、次に右手を振ったらちゃぶ台と座布団、お茶が消えた。
そしてもう一度右手を振ったと思ったら
真っ白の大きい狼さんが現れた。
いきなり過ぎて後ろに引きそうになる足を何とか耐えた。
意味はない。耐えなきゃ負けな気がしたもんで。
「此奴がお主と共に行くフェンリルじゃ。従魔として契約するために名をつけてあげなさい」
って言われても私ネーミングセンス無いんだよー!
うーん。
ありきたりだけど、真っ白の毛並み見てからこれしか浮かんでこない。えーい!ままよ!!
「スノー」
声に出した瞬間フェンリルの額と私の右手の甲に魔法陣が光って現れて消えた。
消えるの早いし、いきなりでびっくりするわ!!
ちょっとドキドキが落ち着いてきて、今度は触っても怒られないかびびりながら改めて
「スノー。これから末永くよろしくね」
って言う言葉と共に撫でたら
「よろしく頼む。主」
って返事が返って来てまたびっくりした。
人語、喋れるんだね。
「主従契約を結んだフェンリルだけが誰にでも聞こえる様に人語を話せるのじゃ。他にもドラゴンの中でも高位のものも話せる。他は従魔になる事があってもその時は念話で話せるものの、主人とその仲間の従魔にしか伝わらん」
創造神さま、そう言う事早く教えてぇ?
しなくていいびっくりは心臓に悪いだけだからぁ。
レベルや使える魔法スキルなんかを確認する時はす【ステータス】、固有スキルを使う時は各名称、例えば鑑定なら【鑑定】と頭に思い浮かべれば使えるそう。
魔法は練習してからじゃないと使えない。
習得できる魔法の適性はステータスに記載される。
下ろす馬車はシグルス王国という国にある比較的大きな都市アティス、の近く。
いきなり街中にスノー連れて現れたら大変な事ににしかならんよね。どうせ大変でも少しでも穏便に。うん。
お金も受け取って価値の説明も聞いた。
その世界はすべての国で共通硬貨。
銅貨 10円
小銀貨 100円
大銀貨 1,000円
小金貨 10,000円
大金貨 100,000円
白金貨 1,000,000円
シグルス王国での一般的な平民の月収はほとんどの小金貨1枚にも満たないそうだ。もちろん、自営業の人や商人にはそれ以上に稼いでる人もいる。
その説明の上で頂いたお金は小金貨50枚。
贅沢しなかったら一年どころかずっと暮らせます?
とまぁこんな感じで最後の説明を受け、魔法のトランクも受け取って後は行くだけだ。
ここに来てもう二度と両親や姉達家族に逢えないって事実に急に実感が湧いて涙が溢れて来た。
泣いてもどうしようもないんだけど、もっと親孝行出来る娘になりたかったし、孫も見せたかった。姉達のところのちびっ子達ももっと可愛がりたかった。
色んなやりたかった事見たかった事、後悔と心残りが渦巻いて大泣きしてると、スノーが頭を擦り寄せてくれて慰めてくれた。
まだ涙は止まらないけど
「ありがとう」って伝えて抱きついてたら
創造神様が
「これから先の未来でお主が泣き暮らすよりも自分らしく生き生きと幸せに過ごすことが大事じゃと思う。何の慰めにもならんじゃろうが、儂はたとえ見えず逢える手段がなくとも、しっかりと強く生きておればいつかお互いの存在を感じれるのではと思うておる」
って言葉をかけてくれてジーンと来た。
交わる事のない世界同士だけどいつかもう一度会えたら、私がどんなに充実した人生を送れたから教えるんだ。
って顔から手を離したらいつのまにか服装が中世ヨーロッパの町娘みたいなのに変わってて、さらには足下から魔法陣が光ってた。
びっくりしすぎて涙が完全に引っ込んだ。
顔を上げたらいい笑顔の創造神様が
「さらばじゃっ!」
って手を振ってる途中で目を開けてられないくらい強烈な光に包まれて、心の準備が終わる前に強制的に降ろされた
よね。
そして光が収まったから目を開けたら、
目の前どころか四方が木!木!木!木!
スノーが近寄って来て一言。
「アティスであろう1番近い都市まで我でも2日掛かる」
それって要は全然近くないんじゃん?
「創造神様の馬鹿やろーっ!」