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2話 疑問

Q.遊戯王で使うデッキは?

焔「青眼→真紅眼→銀河眼」

汀「希望皇!」

迅「ラーと俺は融合する!」

ゼロ「ヌメロン」

美優「カツキング!」

「それ違う」

「やっぱそのアタッシュケースの中身が目的か?」


焔はアーサーの治療を終え、当然の疑問を抱く。美優が自分自身を狙うことが分かっているが、何が根本の理由が分からない。


焔が分かっているのは少なくとも彼女は魔術師ではないということだけだ。


「はい。でもこんなものに価値があるとは思えないんです。お父さんが調査している遺跡から出てきた石の手袋…みたいな感じ?」


アタッシュケースの中身を開けて見せてくれたものは、確かに何の価値も無さそうな出土品だ。歴史的価値はありそうだが、欲しがるのは博物館や考古学者ぐらいだろう。そいつらがわざわざ妖精を嗾けてくるとは考えにくい。


でも何故か、ひどく目を奪われた。湧き出る興味を抑えて質問を続ける。そこで横やりが入った。


「う~ん。やっぱりお金目的でしょうか。人間大好きですしね。お金。」

「それは偏見が過ぎるぞ。生きるために必要であって、強欲に欲しがるのはほんの一握りの腐った連中だけだ。そいつらが妖精に依頼したっていう線はあるけどな。」

「あ~そういうことになるのか…。」


少し含みのある物言いだった。思わず突っ込む。


「お前、あの黒い騎士の事なんか知ってる?」

「えっっっっ!ななな何も知らないかな~私は少女のピンチに駆けつけた正義の騎士!あの剣士様とは初対面なのだ!」


嘘へっただなこいつ。明らかな動揺を見せるなよ。


しかし黒騎士のグルなら美優を庇う必要はない。焔はアーサーを信用こそあまり出来なかったが、美優を守るという目的のためなら手を組んでもいいと思った。


一方アーサーは焔に全幅の信頼を置いていた。それ故に見せた動揺だった。


「…言いにくいことがあるなら言わなくていい。でももしお前が美優を危険に曝すなら迷いなく斬る。いいな。」

その予想外の返答に目を丸くする。


「……ありがとう。」


一つの優しさに触れた気がした彼女は満面の笑みを浮かべた。


「さて!これからどうするかな~。美優ちゃんの親御さんは大丈夫なのか?」

「わかりません。でも…。」

「でも?」


そう言って口を噤んだ。彼女は泣きそうな目で言った。


「あの黒いのに襲われた時、家にいたお父さんがこれを持って逃げろって。そのままお父さんは…。だから…。」

「……そうか。」



彼女の父は生きているとは考えづらい。美優をそのまま家に帰せば凄惨な死の現場に向かわせることになるかもしれない。それとも大人が警察を呼んでとっくの昔に大事になっているのか。…なにもわからない。


「……分かった。じゃあ二人は俺の家に向かってくれ。住所は…ここだから。」

「待ってください。焔はどうするんですか?」

「俺はあの剣士がそうなったかだけ見てくる。その後美優ちゃんの家に行って様子を見てくる。」

「……。」


分かってる。妖精は死体を残さない。もしもがあったらあの剣士と再戦になる。それでもこの年端もいかない女の子を危険には晒せない。アーサーもこちらの考えを分かってくれたようだ。


「分かりました。ご武運を。」

「…流石に戦いにはならないと思うけど、ありがとう。」



美優から彼女の家の住所を聞き、戦場跡に向かう。と、その前に…。


「もしもし。突然だけど朝飯は二人で食っといてくれ。あと、お客さんがそっちに行くからよろしく頼む。」

『お兄ちゃん!?いきなりすぎない?今まで何してたの?』


今から一から事情を説明するには時間が惜しい…!

「帰ったら説明する!お願い!」

『…わかった。ちゃんと埋め合わせしてよね!』


埋め合わせはなんか違くない…?でも少ない時間で話をつけてくれたのでOKです。速足で現場に向かう。


スマートフォンでSNSを見る。浜のコンテナ広場のことがニュースになっていた。現在警察が原因を捜索中と。杜若家のことはニュースになっていなかった。



数時間ぶりのコンテナ広場兼港に着く。意外にもロープやバリケードが設置されているだけで面白半分で来た野次馬やマスコミはおろか、見張りの警察すらいなかった。…不自然極まりなかったが、おかげで侵入は容易い。


中にも警察はいなかった。周辺を探索するが、瓦礫だらけで何もない。もちろんあの剣士も。


何も収穫はないと諦め、次の目的地へ歩を進めようとすると。


「おい、そこの貴様。何故ここにいる。」


声を掛けられた。声をした方に振り向く。そこにいたのは髪が長い清楚なイメージがするスーツを纏った女と、カッターシャツを羽織った着飾らない服の高校生ぐらいの顔つきの男が瓦礫の上に立っていた。。


「椿!手は出さないで!まだあの人誰か分からないでしょ!」

「警察でもないガキがここにいる時点で怪しいだろ。しかもあいつの魔力量…魔術師だろ。これはクロだろ。一回動けない程度まで痛めつけるだけだ。」


男の方は戦闘態勢を取り、西洋風の剣を構えた。一瞬夏らしからぬ気温になった。どうやら戦闘は避けられないらしい。


「おいおい…。自己紹介は自分からするってママから教わらなかったか?」

次の投稿はいつになるんや節子

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