表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を心から愛せるその日まで。  作者: 磯野洸輝
1/1

第1話「出会いの日。」

初めまして磯野です。今回は、女性嫌いの主人公という事もあって、性差別だの女性蔑視だの意見はあると思いますが、ご理解の上、「君を愛せるその日まで。」をお楽しみください。

 第1話「出会いの日。」

 彼の名前は、水越龍牙(みずこし りゅうが)。水越は、ある出来事をきっかけに、女性を嫌うようになった。今は、普通に女性と話すようにはなったが、未だに女性を毛嫌いしている。当初、水越は女性と関わりたくないので、県内の男子校を受けたが、落ちてしまい、仕方なしに去年まで女子校だった桜谷高校へ、入学する事になった。

 水越は電車に乗り、席を探していると、昔の同級生と出くわした。

「優。久しぶり。」

 国兼川は懐かしい声を聞き、読んでた漫画を閉じた。彼の名前は、国兼川優(くにかねがわ まさる)。水越の中学時代の同級生にして、親交の深い友人でもある。

「おぉ。水越か。久しいな。それにしても、まさか、お前が男子校落ちるとはな。クラスのみんなも驚いてたぜ。成績優秀、スポーツ万能、何をやっても全て賞を取る。オマケに、生徒会もやっていたお前が、男子校()()落ちて、よりによって、受かった高校は元女子高。男子の定員は、10名だけ。はぁ。ハーレムみたいで羨ましいぜ。」

 国兼川は、ため息混じりに言う。

「俺は、優と代わって欲しいぐらいだよ。」

 水越は、ため息混じりに言う。

「お前、そろそろ女嫌い克服しろよ。女性が皆、あんな人とは限らないんだから。実際に被害にあってる人もいる。少しは、女性を信用してみろよ。このままだと、社会的にまずいぞ。」

「それは、分かってる。だけど、女は信用ならん。」

「ったく。お前の女嫌いもそこまで来れば呆れるぜ。とにかく、本性は隠せよ。いずれかは、女性を受け入れることができる日が来る。」

 国兼川は水越の肩を叩き、電車を降りた。国兼川が出ていくと同時に、大勢の学生や社会人が乗り、再び電車が動き出した。水越は、イヤホンを着け、電車に揺られながら、流れる景色を眺めていた。電車が停ると、水越は降り、学校へと向かった。学校近くの通学路は、たくさんの桜が植えてあり、その中でも校内の桜は、他の桜に比べ、一際大きかった。

「綺麗だな。」

 思わず見とれていると、後ろから声が聞こえてきた。その女性は、スタイルは良く、短髪に水色と黄緑が混ざった様な髪の色をしていた。

「その桜は、ソメイヨシノと言って、この学校が設立したと同時に、植えられたの。まさに、桜谷高校のシンボルとも言うべき桜ね。」

 《女。ここは、無視したい所。だが、それは、あまりにも失礼すぎる。ここは無難に対処するか。》

「自己紹介まだだったね。私は、生徒会長を務めている3年、長橋咲良(ながばし さくら)です。よろしくね。」

「初めまして。今年入学した水越龍牙です。よろしくお願いします。」

「確認したい事があるの。水越君って、梅乃中学校の生徒会長やってた?」

「確かに、梅乃中学校の生徒会長を務めていましたが、それがどうかしましたか?」

「私の妹が言ってたの。水越龍牙っていう凄い生徒会長が、いるって。私の事は、ちっとも褒めないのに、水越君の事になると、いつもベタ褒めしてたの。それで、君が同姓同名だったから、もしかしてって思ったから聞いたの。」

「そうでしたか。そう言って貰えると嬉しい限りです。ところで、先程、おっしゃられていた長橋さんの妹さんは、長橋早紀(ながばし さき)さんの事でしょうか?」

「そうだよ。早紀は、私の妹。さすが生徒会長。名前まで覚えているなんて、凄いね。ところで、何で早紀が私の妹って分かったの?」

「早紀さんは、学校で毎日のようにお姉さんの自慢をしていましたし、先輩と、どことなく雰囲気が似ていたので、姉妹なのではないのかなと思っただけです。それに、生徒の名前を覚えるのは、生徒会長として当たり前の事だと思っています。生徒の名前を覚えられないようでは、生徒会長として、失格ですから。」

「へぇ。名前だけでなく、生徒の事もちゃんと見ている。君、すごく真面目なんだね。」

「真面目と言うよりかは、上に立つ者として当たり前のことをしているだけですね。」

「生徒会長って、上に立つ者なの?」

 長橋は、不思議そうに聞く。

「自分はそう思ってます。生徒会長は、皆の手本になる存在であり、学校の代表でもある。その存在がだらしないと示しがつきませんから。」

 長橋は、それを聞いて大きな溜息をついた。

「私、そういう事考えて生徒会長を務めてなかった。皆が楽しく過ごせばそれで良いとばかり思ってた。それだけじゃ、ダメなんだよね。今更だけど、立派な生徒会長になれているのかな。って、気付くの遅いよね。」

 長橋は、自嘲気味に言う。

「そんな事ないですよ。」

「そうかな?私なんて⋯⋯。」

「年下が生意気な事を言ってるようにしか聞こえませんが、生徒の事を大切に思う。それは、生徒会長にとって、1番大切な事だと思います。だから、自信を持ってください。」

「そうだよね。生徒会長がこんな弱気じゃダメだよね。ありがとう。私、皆が楽しく学校生活を過ごせるよう頑張るよ。」

「期待してます。」

 《俺は生まれて初めて、女性を信じようと思った。不思議だ。根拠は無いのに、この学校なら、彼女なら、俺は変われると思った。いつか、俺は女性を信頼し心から愛せる日が来るのだろうか?》

 彼は今の自分に戸惑いながらも、歩み続けるのだ。女性を心から愛せるその日まで。

 第1話「出会いの日。」~完~

中には似たような作品も多くありますので、タイトルが似てるや、ストーリ構成が似ていると思われる箇所もいくつか存在すると思います。しかし、決して、盗作はしておりませんのでご理解の上、次回もお読みいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ