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第九十四話 死への……
沸き上がる喚声に二人の動きは止まった。
「処刑は順調なようだな。諦めろ。何をあがいても、貴様らに王子は救えん」
不適な笑みを浮かべるリラは続けて言い放つ。
「そして二人とも私に殺されろ」
同時レイピアの突きを繰り出すが、スィンは容易にこれを捌いた。
「諦める? 悪いけど孤児院育ちの俺達は意地汚いんでね。欲しいと思ったものは手に入れるまで諦めないのさ。そしてあんたの命もな!」
次の瞬間、銃声が青空に響き渡った。
「な!」
自分が撃たれた。そう錯覚したリラに隙が生じる。
「あばよ!」
スィンの爪がリラの胸に迫った。
「あっ……」