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第八十五話 入場
開いた門から槍を斜めに構えて武装した兵士2名を先頭に、アレックスにはめられた首輪につながる綱を引く兵士、脱走を防止するために両脇に2名ずつ、そして後方にもまた1人。
歩くのを拒否するアレックスの背中を強く押し、よろけるたびに観衆は下品な笑いをあげていた。
一歩一歩処刑台へと近づくたびにアレックスは首を大きく横に振り、あるいは脱走を試みようとしては両脇の兵士に取り押さえられることを繰り返した。
衆目にさらされたまま、死へと続く道を歩み、ついには処刑台のもとへとたどり着いた。