表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七人の追跡者  作者: 柊椿
64/127

第六十一話 闇と影

11日の更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした


 逃げる女を追う忍び。月明かりが黒い雲に隠れた。人では見えぬ道を駆け抜ける。

 村から離れた田園地帯で、二人は立ち止った。

「ここら辺にするかね」

 マーナーが振り向き、忍びと相対する。

「オンナ、ナニガ……モクテキダ?」

 これは質問ではない。答えを得ようが得まいが、結果は一つだと右手に持つ白刃が伝えていた。

「いやだね、私が彼に何かをしようと企んでいるとでも思っているのかい? 私は落ちこんでいる彼を慰めようとしただけさ」

「ヤミ……フゼイガ……ザレゴトヲ」

 突然強まった風が実る麦の穂を波打たせながら二人の体を吹き抜けて行った。

 マーナーの銀色の髪が風にもてあそばれ、その下に隠れた褐色のとがった耳が露わになった。

「気づいていたのかい。まぁ、だからどうしたって感じだけどね。勘違いしてもらっては困るけど、私はゴレアスステップで彼らの道案内を買って出て以来の協力者なんだよ」

 細く切れ長の瞳が忍びを見下すようにして吐き捨てた。

 風は一瞬だけだったのか、雲を払うと月は輝きを取り戻し、風は穏やかなに麦穂を揺らしていた。

「だいたいあんたも私と似たようなもんじゃないかい」

「サニアラズ。ワレハカゲ、ナンジハヤミ」

 言葉を遮るように忍びは強く言い放つが、却ってマーナーはため息をつくように苦笑いをした。

「やはり、似たようなものじゃないか」

「カゲハ、ヒカリノソバデ、ハベルモノ……。ヤミハ、ヒカリニ、アイタイスルモノ」

 再び風が強まる。

「オンナ、ツギニ、ヒカリヲオオワントスルナラ……」

 左腕が弧を描いた。

 と、同時、マーナーは首をひょいっと横にかしげると、その横を刃が通り過ぎていき、忍びの姿は消えうせていた。

「今のは警告かい? やれやれ、チョイっとつまみ食いしようと思っただけなんだけどねえ」

 マーナーもまた闇に溶けて行った。

 





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ