第三十五話 別行動
「悪いが俺はシュバインバルトの中には入れない。こんな鉛玉と火薬なんざ持って入ったら森の民に殺されてしまう。なに心配する必要もない。俺は傭兵だ。クレイスとウィードの小競り合いを避けてグラーリー峡谷にたどり着くことくらいお茶の子さいさいだ」
「悪いけど、私もスネイプについていくから」
シュバインバルトの森の手前にある交差路で2人は脇に逸れる道を歩み出す。
「2人に抜けられるのは手痛いんだが……」
しかめっ面をしているアレックスの肩をスィンが叩く。
「森の民と争い事をしている訳じゃない。ただ通過させて貰うだけなら戦いにはならない。それとも俺やヘルマンが信頼できないのか?」
「そ、そういう意味じゃないが……」
「シュバインバルトの道を提案しておきながら申し訳ないけど……。私もスネイプさん達と共にして良いかしら」
マーナーの言葉に注目が集まる。
「ほう……それは何故?」
「なんとなく……では納得しませんよね。まぁ、私にもスネイプさんと同じく森の民に嫌われる理由がある……今はここまでしか言えませんわ」
「嫌われると分かっていてシュバインバルトの道のりを提案したのか?」
「正直……採用されるとは思っても見ませんでしたわ。よほど、あなた方は戦場を避けたいのでしょうね」
「たった6人だからな……。まぁ、ちょうど良い3人ずつの班分けだ。グラーリー峡谷との境目にブラン村というところがある。そこで合流しよう」
それぞれの道を歩き始める6人を見まもる目が木陰にあった。その目はアレックス率いるシュバインバルトへの道へと歩み始めた。