表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七人の追跡者  作者: 柊椿
17/127

幕間

 街から離れた山間部の冬は雪が降り積もり、夜になると寒さが一層厳しい。

 暖炉で薪のはぜる音が冷たい空気を切り裂く。

「おい、スネイプ知っているか? 昔よっつのたみってのに分かれたんだってよ」

 子供達は昼間元気に走り回っていたはずなのに、夜は夜でおしゃべりに余念がない。

「もちろんだ。この前シスターメリーから習っただろ」

「え……? そうだったっけ……」

「シスターの話を聞いていないのか? 昔人々は争いが絶えなかった。そこで神様が怒ってすみかを四つに分けた。即ち、俺達人間である草の民、ドワーフと呼ばれる土の民、エルフと呼ばれる森の民……そしてクルラのような空の民だ」

「な、なんだよ。それくらい俺にだって言えるよ! 自分ばっかり何でも知っているみたいな顔するなよ!」

「へぇ。それじゃぁ。さらに二つの民が現れたのは知っているか?」

「なんだって? え、ええと……」

「ちょっと、スィン! あなたまたクルラをいじめたのね?」

 薪が暖炉の中でがたんと言う音を立てて崩れる。

「シ、シスターメリー……」

 スィンが振り返るとそこには仁王立ちする法衣をまとった女性の姿とその背後でしがみつく小さなクルラの姿があった。

「い、いじめじゃないですよ。シスター」

「スィンがまたぶった」

「クルラちゃんはこう言っているけど?」

「ぶってなんかいないですよ! ちょっと当たっただけですよ」

「痛かったもん! スィンはぶった!」

「ぶってないよ!」

「う~。ぶってないって言い張るのね……それじゃぁさっきスネイプが言ってたことを答えられたら許して上げる!」

 クルラが笑みを浮かべる一方、スィンは汗が止まらない。

「スネイプが言っていたこと……」

「二つの民の話だな」

「あらスィン君。この前授業で教えたはずだけど覚えていないのかしら?」

「シ、シスターまで……ちょっと待ってよ……」

 スィンは腕組みして頭をかしげるが、ふったところで答えは出てこない。

「答えられなかったら、ぶったことを認めてちゃんと謝ってよ」

「だから待てって言っているだろ! 今思い出しているんだから」

「幾ら考えたって授業を聞いてないんだから思い出せるわけ無いじゃない!」

「バカにするなよ……ええと確かだな。そう、森の民だ」

 スィンの言葉に他の三人が息を呑む。

「森の民は純粋だから光に触れていれば光に染まるが、闇に触れて闇に染まった者達が現れた。そう、即ち闇の民・ダークエルフと呼ばれる者達だ」

「へ、へぇ、凄いじゃない……だけどもう一つは分からないでしょ?」

「だからバカにするなって……草の民は忠実な下僕が欲しくなった。今までは犬を飼っていたが、より働くように手を加えた、即ちだな……」

 今度はスィンが笑みを浮かべる番。対照的にクルラは目を丸くして息を呑んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ