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第百十九話 遺産
「な、なぜ剣が?」
胸元を切り裂かれて、はだけた服を抑えながら、マーナーはスィンをにらみつけた。
「へん。相手のことはもっと知るべきだったな」
「なんですって……? はっ」
「その様子だと気付いたみたいだな」
「ヘルマンの……」
「そうさ! てめえが殺したヘルマンの剣で死にな!」
スィンは剣を振り下ろしたが、マーナーはシャムシールで受け止めた。
「おお、良い眺めだねぇ。その胸でアレックスを誘惑したのかい?」
「お代はあんたの命で払ってもらうよ!」
「そうはいかねえぜ」
二撃、三撃と攻撃を繰り返すが、すべてマーナーに受け止められた。