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第百十八話 打開
「あらあら大変ねぇ。武器もなしにどうやって私と戦うのかしら?」
マーナーは顎を突き出し、見下すような瞳でスィンを見つめた。
「武器? 武器ならあるぜ?」
「まぁ、強がっちゃって」
「クレイス兵法、23条の5! 兵士は得物を選ばず! 23条の6! 得物は現地調達すべし!」
スィンは地面に跪いて石をつかみ取ると、マーナーに向かって投げつけた。
「まぁ、猿みたいな」
その軌道を見切ると首を横に動かすだけでかわした。
「それが、命取り!」
スィンは背中に隠していた刀を抜き放つとマーナーに向かって振り下ろした。
「な?」
「現地調達だからって持っていないと思ったら大間違いだぜ?」
マーナーはあわててシャムシールで防ごうとしたが、間に合わず、胸元に剣閃が走り抜けた。