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第百十三話 危機
「てめえごとき、俺一人で十分なんだよ!」
両手から繰り出される鉤爪の攻勢も、マーナーの柳のようなしなやかなシャムシールの動きに流されていった。
「リラと同じだと思っていると甘いですよ」
つぶやきと同時にマーナーは樹の影に溶け込むように姿を消してしまった。
「な!」
あやうく木の幹に爪が刺さりそうになり、寸前で動きを止めるがその一瞬の隙にマーナーの姿が再びスネイプの目の前に、現れた。
「今度こそ、死んでもらいます」
マーナーのシャムシールがスネイプの銅を真っ二つにせんと横薙ぎに払われたが、それを後ろに飛んでかわす。
「ば……!」
始終を見ていたスィンが叫ぶ。
「切られることを恐れて、地勢を把握できていないとは……」
スネイプの姿は宙に浮き、断崖絶壁から飛ぶように落下していった。