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第百十二話 犠牲
「覚悟決めな!」
スィンが渾身の力で鈎爪をマーナーに振り下ろす。
「あなた達の戦い方は分かってるわ」
マーナーは受け止めるでもなくヒラリと避けると同時にスネイプに駆け出す。
「スィンが抑えている間にスネイプが必殺の一撃を加える、そうでしょう?」
最適な射撃場所を求めていたスネイプにマーナーが懐から取り出したシャムシールが光を放つ。
乾いた金属音が山々の間にこだまする。
「さっきのリラとの戦いを見てなかったのか?
てめえ一人くらい俺だけで十分何だよ!」
スネイプとマーナーの間に割り込んだスィンの鈎爪がシャムシールとぶつかり合っていた。
吹き抜ける風が3人の体を冷やす。
「沢が近いのか? 冷えるねえ」
スネイプはスィンを信頼しきったように関係のないことを呟いた。