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第百十一話 救援
「戦いが始まったわ」
クルラはすっと立ち上がると、窓の外を眺めた。
「私は行くけど、あなたはどうする?」
「もちろん行くさ。印璽を前にして人に任せてなんていられないから」
「その意気は良いねぇ。でも残念ね。一人で行ってもらうことになるわ!」
クルラは何かを感じ取ったように素早く扉から出ていくと文字通り飛んで行った。
「ちょ、待ってよ!連れていってくれないのか?」
アレックスはクルラの背中を追ったが、その姿は豆粒のように小さくなっていった。
「何なんだよ、全く……。武器も持たず、傷も癒えてないのに、一人で行くのかよ。行くって、どこで戦ってんだ?」
アレックスは一人途方にくれていた。