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第百九話 死者の声
「覚えているか、スィン。ヘルマンが最後に遺した剣閃の痕を」
「あ、ああ。だがあれはW、つまりウィードのことじゃないのか」
「Wをひっくり返してみな……」
「M……。マーナーか!」「あらあら、たったそれだけで犯人にされてしまうなんて悲しいわね」
「だったらアリバイを証明してみせろよ。あの時、どこに居たのかを」
「あら、私のような一般市民は戦が始まれば恐怖で縮こまっているしかありませんわ」
「スィン、やれ! 本当に一般市民かどうか証明してみせな!」
「ああ、ヘルマンをやったとしたらゆるさねえ!」