106/127
第百二話 手当
スィンとスネイプの目的地は、土の民が住む洞窟。
あらかじめ、王子を救出したクルラには先行して向かうよう言いつけておいた。
事実、クルラは既に先着して2人の到着を待っていた。
「あちゃぁ。王子様ってばキュウリまで突っ込まれちゃって♪」
クルラはキュウリをつついてみた。
気を失っているうなされている王子はキュウリをつつかれるたびに身体をピクンピクンと反応させていた。
「このまま死刑されていたら、クレイス史上最大の汚点だったわ。まぁ、過ぎたことを言っても仕方ないから、2人が来るまで手当してようかしら」
クルラは言うや否や、キュウリを引っこ抜く。
「うぐ!」
王子が悲鳴を上げたが、別に目を覚ましたわけではなく。再びうなされ始めた。
「ちょっと面白いわね。もう一度突っ込んで抜いてみようかしら」
クルラは変な感情が目覚めようとしている自分に戸惑いを隠しきれなかった。