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第九十七話 殺戮
ウィード軍の見張り台はさんさんたるものだった。
音もなく行われた殺戮によって生きているウィード兵はなく、ただ返り血にまみれ、短剣を握り締めた女が薄ら笑いを浮かべていた。 背中の折り畳まれていた赤い翼は、ゆっくりひろがりその動きとともに彼女の体を持ち上げる。
上から見下ろす死体の数々に悦に入っているところへ踏み入れる影があった。「あらかた片付けておいたわよ」
「あらかた? 全滅の間違いだろ?」
「そうとも言うわね」
「まぁいい。ご苦労。もう一仕事頼むぜ」
「はいな〜♪」