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短編

実験作にして失敗作にしてがらくた

作者: 譚月遊生季

 ゴミのような大人に育ちました。


 まともに自分の世話もできず。

 まともに自分一人食わせることもできず。

 誰かに縋って寄生してどうにか生きている、年齢と肩書きだけが「大人」になったろくでなし。


 それが私です。


 色々と原因はあるし、恨み節を言えばキリがありませんが、事実として私が社会人とはおおよそ形容しがたい、生きていて他者のお荷物にしかなれない人間だという現実は変えようがありません。

 いくら他の誰かに責任を問うてみようが、それは私自身がろくでなしであるということへの免罪符にはなり得ないのです。


 どうにか生きていく方策を考えながら、常に周りからの視線を気にしています。

 気にしなければ苦しまずに済むのに、感じなくていいはずの生き恥に心をすり減らし、聞かなくていいはずの侮辱に涙を流す……

 そういう人間だから、駄目だったのです。


 そういう人間だから、上手く生きられなかったのです。


 きっと社会の中で大多数の「まとも」な大人たちは、私よりも数倍の時間働いて、私よりも数十倍のお金を稼いで、私よりも数百倍の責任を負って、自らの生存の意味や価値など疑う必要もなく生きられていることでしょう。


 私もそうなりたかったけれど、そうなれませんでした。


 せめてゴミはゴミなりに、有害にならないよう、生きることを許されるよう、必死に足掻くしかありません。

 私が私として存在していることすら嫌悪しながら、今日も一日、精一杯人のかたちを取り繕うのです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 太宰治っぽい!
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