やっぱりお前は残念だ
「うん、やっぱりお前は残念だよ」
僕の主張を聞いた友人の最初の感想がそんな非情な言葉だった。
「そんな! 友人である君には僕の苦しみが分かってくれると思っていたのに! ていうかタイトル回収早いね!?」
まさか友人にすら理解してもらえないなんて……ショックだ。
友人―鳥江は僕の数少ない友人で小学校からの幼なじみである。そのためお互いのことを理解し合えている……と思ったんだけどな?
「タイトルってなんだよ。なんか触れちゃいけない所な気がしたぞ……まぁいいや、後藤って自分の努力が空回りしていることを理解してる?」
鳥江は呆れたようにそんな質問をしてきた。
「うーん。空回りしてる点がなにも思い当たらないねぇ。僕は常に理想的な恋をするために努力してきたからね。勉強、スポーツが完璧な僕だよ? そんな素晴らしい僕に非があると思わないね」
鳥江はため息をついて、茶色に染めた髪を掻いた。余談だが、ウチの高校は成績や素行の悪さは県内でトップ争いをするほどの学校である。そのため髪を染めようが、特に何も言われない。これでいいのか僕の学校。
「お前みたいな自意識過剰なヤツは絶対に理想的な恋なんてできないんだよなぁ」
カッチーン。仗助で言うところのプッツーンだ。もう許さないぞ。
「あーあ、僕も理想からかけ離れた恋をしちゃってる鳥江にアドバイスを聞こうとしたのが間違いだったよ。やはり彼女がいればいいってわけじゃなかったんだね。よくわかったよ」
「お前からアドバイスを求めたんだろうが!」
ぐっ正論……でも、ここで折れてたまるか!!
「君の彼女の友江ちゃんだっけ? 付き合った理由が名前に同じ漢字があったから運命感じた……くだらないなぁ! きっと、その子は彼氏欲しいからって無理にきっかけを作ったんだろうねぇ。君の彼女はいわゆるビッチってやつだよ! ビッチと付き合えて嬉しいか? 僕はごめんだね!」
言い終えた刹那、僕の目の前には拳が!!
ドスッ!
僕は少しの間、空を飛んだ。そういえば幼稚園の時に空を飛べるようになりたくて、亀仙流の修行を真似したりしてたなぁ。牛乳配達とか山登りやってた覚えがある。楽しかったな……
僕は黒板にぶち当たり、頭はチョークの粉まみれだ。ドッキリ番組なら撮れ高はバッチリだろう。
それにしてもこんな人がたくさんいる教室の中で普通に殴ってくるなんて……
パンチの威力もなかなかだ。さすが空手部。でも、暴力に使うなんてご法度じゃないの?
次回はヒロインが登場して、ついにラブコメになる予定です。いや、後藤と鳥江ノ島のやり取りももう少し書こうかな。え?鳥江が可哀想で見ていらなれない?