1話
「とりあえずそのへんに座ってて。今お茶入れてくるから」
「はい、ありがとうございます」
リビングに彼女を招き入れてみた。
You○ubeみたいなタイトルだけど絶対なにもおもしろくない動画だろうな。
なんて現実逃避をしながらお茶の準備をする。
「一回あの仕事馬鹿に連絡とらんとなぁ」
俺の母親は仕事大好きキャリアウーマンである。
外資系の仕事をしていて家にいることはほとんどない。ほとんどいないが稼ぎは馬鹿みたいん多い。
この家も母の稼ぎで建てた一戸建てである。ちなみに父親は稼ぎまくる母親にプライドをズタズタにされたとかで家から出て行ってしまった。
俺も男だからその気持ちはわからなくはない。
「お待たせ。紅茶だけどどうぞ」
「ありがとうございます」
お茶を出して俺も腰を落ち着ける。
さて、話を聞こうじゃないか。
一口飲んで正面に目を向ける。
「ふー…ふー…」
カップを両手に持って息を吹きかけて冷ましていた。
両手に持っているため体が少し丸まっていて小動物的なかわいさを醸し出している。かわいいかよ。
「あ、ごめんね。熱かったか」
「いえ、大丈夫です。猫舌ってわけでもないので。ただ熱い飲み物がちょっと苦手でして」
それを猫舌というのではないだろうか。
「そっか。じゃあ改めて話を聞く前に自己紹介しとくよ。俺は結城蒼太。」
「私は立花那津といいます」
立花…立花…うん聞いた覚えがない。
「立花さんね。よろしく。んじゃ早速で悪いけど経緯とか教えてもらってもいいかな?」
「わかりました」
さて、どんな経緯でこんなことになったのだろうね。