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House_Management.exe~異世界で魔改造し放題の最強の家を手に入れた話~  作者: 嵐山 紙切
第一章 House_Management.exe

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8.初めての取引

 索敵装置のカメラを起動する。初めはまた騎士かと身構えたが、違う。

 「商人、か?」


 馬車を引き手綱をとっている。つば広帽をかぶった痩せた男。あごひげが特徴的で鼻が高い、目尻は垂れていて人好きのする顔だちをしている。商人には有利な風貌だ。


 彼は門の前までやってくると馬車から降りて、門を叩いた。


「すみません、ユキハル様はご在宅ですか?」


 なぜ名前を知っている? と勘ぐったが、おそらくマーラたちが教えたのだろう。獣人と取引する商人だ。危険を承知でなお取引しているのだから、それほど悪い人間ではないのかもしれない。

 俺は閂を上げて門を開いた。


「突然の訪問申し訳ありません。私ダニエルと申します。取引をしている獣人たちの暮らす村に行ったところ、マーラ様とレイ様が美しい着物をきていたものですから、興味を持って聞いてみたところユキハル様に頂いたとのことで、お話を伺いたく参ったのです」


 俺にはできないような営業スマイルでダニエルは言う。イケメンとまでは言わないが好感の持てる顔だ。


「ええと、じゃあ、どうぞ」

「ありがとうございます」


 ダニエルは荷馬車を門から入れて馬に待っているように告げた。頭のいい馬のようで一瞬頷いたように見えた。

 俺は閂をかけると、ダニエルを家の中へと案内した。その間ダニエルは俺の着ているジャージをじっと観察しているようだった。


 テーブルについてグラスで水を出すと、いきなり食いついてきた。

「なんですかこのコップは! ガラス? こんな均一に伸ばせるものなのですか」

「はあ」


 百均で買ったやつだし、知らないわ。


「それでお話というのは」

「ああすいません取り乱しました。折り入ってご相談があります。マーラ様とレイ様に差し上げた商品を私に売って頂けないでしょうか! あのような繊細な仕事を見たことがありません。そしてあの生地。貴族であれば銀貨90枚、いや出す人によっては金貨2枚はだすでしょう」


 金貨の価値がわからない俺は、はあ、としか言えなかった。


「実物を拝見したいのですが、今在庫はあるでしょうか?」

「ありますけど。ちょっとまっててください」

 俺は二階に上がり、PCを開いた。ポイントが50ポイントに増えている。誰かがダンジョンに入っているのだろうか。

 ま、服にポイントはかからないから別にいいのだけど。

 俺はマーラとレイに渡したものと同じワンピースを生成した。下着も必要だろうか。まあ一応持っていくか。



 ……商人は下着の方に興味を示した。

「なんですかこの下着は!」

 光に透かしたり伸ばしたりしている。はたから見たらただの変態だ。ワンピースの方も肌触りなどを確認している。


「これです。まさしくこれ! この商品が欲しかったのです。いくらで売って頂けますか? ワンピースは一着金貨1枚と銀貨50枚。いえ、銀貨の方を70枚にしましょう」

「あの、いくらでも構いませんが、そんなにいいものなんですか」

「いいに決まっているでしょう!!」


 いきなり大声を出されたので怒鳴られたと思って萎縮してしまった。ダニエルは、ああすみませんとおどおどし始めた。


「あの、先程の値段で構いません。一着金貨1枚と銀貨50枚で」

「本当によろしいのですか!!」

「ただ、あの、食料品を買いたいのですが何かありますか。森の中なのでどうしても食べられるものが少なくてですね」

「しょ、少々お待ちを!!」


 ダニエルは嬉々として立ち上がり、外に出ていった。荷馬車からこれでもかと言うほど箱を持って帰ってくる。


「これは上質な果実です。獣人の村の特産品なのですよ。それにこれは上質なオークの肉です焼いて食べるのもいいですが、この香辛料をかけると絶品ですよ。あとは……」

 と、到底一人でたべきれない量の食料を持ってきた。


「いくらですか?」

「お金など頂けません。あんな破格の値段で素晴らしい服を売ってくださったのですから」

 そういって、ダニエルは金貨を3枚取り出した。

「下着の方はいくらでお売り頂けますか」

 俺は食料を見て言った。

「下着はサービスします。これだけ頂いてしまいましたし」

「なっ」

 ダニエルは固まった。

「あ……ああ……これ以上お返しするものがない……ではこうしましょう次回こちらに訪れた際は更に上質な食料をご用意します。何ならシェフも連れてきましょう」

「あはは、助かります」


 多分後半は冗談だろう。俺は愛想笑いをしてそういった。


「あ、それと」

「何でしょう」

「街に連れて行ってもらえないでしょうか? いつでも構いませんが」

「ええ、ええ。お安い御用です」

 ダニエルは笑っていた。



「今後とも取引を行って頂けますでしょうか」

 外に送ると、馬車に乗る前にダニエルは言った。

「ええ、俺も食事に困っていたので大助かりです」

「他の商人に売らないでくださいよ」

 ニコニコと笑いながらそんなことを言う。

「ええ、売りませんよ」

 俺も笑い返す。


 ダニエルは何度も手を振って俺の家をあとにした。

 まだ商人を初めて間もないのだろうか。あんなにお人好しでこれからやっていけるのだろうか。心配だ。

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