再会
頭の中が真っ白だ・・・
成功するとは思ってなかったにしろ、長い付き合いの幼馴染に振られるのはキツイ。
「少し休憩しよ」
食堂横の自動販売機に行くことにする。
ゴトッ
自動販売機から黒い缶が落ちてくる。
ぼうっとしていて飲めもしないブラックコーヒーを買ってしまった。
捨てるのも勿体ないので飲むことにしよう。
「にっが」
やっぱり苦いさすがに買い直そうかなと思い財布の中身を見てみると10円しか無かった。今日は災難続きだ。
「はぁ」
「どうしたんですか?溜息ばかりついてると幸運も逃げていきますよ?」
「もう俺には逃げていく幸運なんて残っちゃいないよ」
「そんな事ないですよ!だって今こうして私と再会できたじゃないですか!」
ん?ちょっと待って。なんか普通に話してるけど誰?ていうか何この子?超可愛いんですけども。
胸元には、新入生の高校1年生を示す赤色のバッチがつけられていた。
しかも再会って何?自分にこんな美少女な知り合いなんていないんですけども。
「なんですか?その何かを疑うような目は?」
「いや、だって俺、君みたいなかわいい知り合いなんていないんでこれはどう考えてもなにかの罠だと思うんですけど」
とその子の顔を見てみると何故か顔を真っ赤にしていた。
「か、かわいい・・・」
なんか一人でぶつぶつ言ってた。
そして、いきなりハッと真顔に戻った。
「よく気づきましたね先輩!これが仕組まれた罠だということを!」
「やっぱ、そうだよな、じゃあ行くわ。」
まぁ俺は、ラノベ主人公じゃないしなんの脈絡もなくかわいい女の子なんて近寄ってこないか。
「ごめんなさい。嘘です嘘ですー!」
「そんな掌返しで信じるわけないだろ」
「本当に嘘ですって!信じてください!」
「じゃあ、君は誰?」
「本当に私の事覚えてませんか?」
覚えてるかなんて言われてももちろん記憶に無い。
「しょうがないですね。気づいて貰いたかったんですが。」
ネタばらしをするのなら最初に言って欲しかった。なんだったんだよ。このやり取り。
「で、だれなの?」
「わ、わたし瑠奈です。小学校の頃、家が隣だった。」
瑠奈?んーなんかそんなやつもいたようないなかったような・・・
「神野瑠奈ですよ。思い出しましたか?」
神野瑠奈?神野・・・
あ、小学校低学年の時いつも俺に着いてきてやつだったな。
そして小3ぐらいで引越してったやつだ。
あれ?
なんか目の前のやつと似てる気がするんだが?・・・
え?うーん、でもあいつ男だった気がするんだけどな・・・
「お、お前が神野・・・あん時の?」
「やっと思い出しましたか先輩!いや、れーちゃんかな?」
「恥ずかしいからその呼び方はやめて!」
そんな呼び方、学校で呼ばれたら俺生きていけない・・・