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討魔戦鬼ブランク〜手名芽市神魔討伐譚〜  作者: 九頭龍
第七話 祈りより生まれしモノ、戦鬼ブランク復活
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7-10


 ブランクがアンリミテッドフォームへと変わる。

 装甲が移動し、生まれた間隙を光が流れる。その光をブーストギアによって新たなに増加された装甲が覆い隠した。


「これは……?」


 体を見下ろし呟くブランク。まるでその光景が見えているかのように、通信先の哲也が答える。


『それこそ、ブーストフォームの真骨頂さ、新。出力の高さ故に、抑え込めず放出し続けるしかなかった以前のアンリミテッドの問題点を、増加装甲によるコントロールで解消したのさ。ブーストギアそのものが予備タンクとしての役割も兼ねているから、出力と消費のバランスも大きく改善したはずだよ』


「よし、それならガス欠の心配もないな」


 ブランクが構えをとる。それを見たブライも、黒い光を揺らめかせ動く。


「ふん、準備は出来たようだな。行くぞ、ブランクッ!!」


「来いっ、ブライ!」


 ブライが力を込め道路を蹴る。爆破されたように宙を舞うアスファルト片を後に残し、弾丸のような速度でブランクに接近すると、勢いを乗せた右拳を打ち込んだ。


「ハッ!」


 ブライの剛腕に沿わせるように、ブランクが両腕を絡める。次の瞬間、投げの体勢を取るブランク。ブライは自身の力をブランクに利用され、ブンッと大きく宙を舞った。

 しかし、ブライは巨体に似合わない柔軟さで両脚を地に着けると、ブランクが掴んだままの腕を振り降ろし道路へと叩きつけた。


「……あぁ!?」


 凄まじい音と衝撃の中、ブライが怪訝な声をあげる。視線の先、腕には居るはずのブランクの姿が無かった。


「ハイチャージッ!」


 響く声にブライが空中を仰ぎ見る。叩きつけられる瞬間に空中へと跳んだブランク。その右脚を覆う装甲が、脚部をグルリと囲むリング状へと変わる。

 変形した装甲から、青い光が現れブランクの脚先に光の刃を形成した。


「ハァッ!」


 ブランクの背部から光を放出され、落下速度から更に加速しブライへ突撃する。ブライはその攻撃を防ごうと頭上で両腕を重ねた。


「オォォラァッ!」


 ぶつかり合い弾けスパークする二色の光。ブライは唸るように叫び、両腕を大きく振り払う事でブランクを弾き飛ばす。


「ハイチャージッ!!」


 対するブランクも、飛ばされた瞬間にクルリと身を捻り着地すると、すぐさま右拳に力を集める。瞬時の装甲が変形し拳を覆ったのと同時に、その拳をブライへと放つ。


「そう何度も喰らうかよっ!」


 ブライが広げた左手でブランクの右腕を受け止める……はずが、その手は虚しくも空を掴んだ。


「なっ、がっ!?」


 直後にブライの頭部を衝撃が襲う。左手を超スピードで搔い潜ったブランクが、ブライの腕を掴み跳び上がると、その頭部へ鋭い延髄蹴りを打ち込んだのだ。

 思わずグラリとフラつくブライ。下を向いたその顔面に、ブランクの右拳がめり込む。


「バガッ!?」


 獣を模した兜を大きく歪ませ、ブライが数歩後退りする。ブランクが畳み込もうと、距離を詰めたその時、ブライの胸部装甲がグニャリと動いた。


『むっ!? 避けよ、新っ!!』


 突然響く八葉の声に、頭で理解するより早く地に伏せるブランク。その頭上スレスレを四本の巨大な、象牙を思わせる乳白色の塊が通った。


「あっぶねぇ……なっ!」


「させるかっ!」


 トカゲのように這ったまま横移動したブランクが、ブライへと飛びかかる。ブライも体をグルリと回し、胴から伸びた特大サイズの牙で、ブランクを打ち据えようとした。

 避けようのない空中での攻撃に、しかしブランクは真っ向から向かい立つ。


「ハッ!!」


 小さな壁のように視界を埋める牙に向けて、チャージした右拳を打ち込んだ。


━━バガンッ!!━━


 ブランクの拳によって、ブライの牙が中程でボキリと折れ飛ぶ。その大きな破片を蹴ると、ブランクは牙に沿うように跳び、ブライの顔面を渾身の力で殴りつけた。


「グゥッ!」


 歪んだ兜を更に歪ませ、それでもブライは倒れない。自身の顔面を捉えたブランクの拳を、瞬時に万力のような力でギリギリと掴むと、アスファルトへと叩き付けた。


「かはっっっ!」


 全身の空気が絞り出されるような衝撃に、ブランクの体が硬直してしまう。伸びた牙をスルスルと胴へ戻したブライが、動けず倒れたままのブランクを踏み付けた。


「虫みたいに潰れろっ、ブランクッ!!」


「くっ……ハイチャージッ」


 あげた両手でブライの足を受け止め押し戻そうとするブランク。チャージによって四肢の装甲が変化し、徐々にブライの足を持ち上げると、一気に跳ね上げた。


「ブライッ!」


「ブランクァッ!」


 跳ね起きたブランクが、ブライへと拳を打ち込む。ブライもそれに呼応するように、重い拳でブランクの拳を迎撃した。

 ブランクとブライ、幾度もぶつかり合った拳が、再び正面から激突する。

 拮抗した両者の力は、衝撃で大気を震わせながら、互いの拳を弾く。その弾かれた反動を無理矢理力で抑えると、二人は再度拳を打ち合った。

 青と黒の光を軌跡として残し、繰り返し打ち合う拳と拳。しかし、それもすぐに終わりが訪れる。


「……くっ!」


 ブランクの拳に宿る光が消える。チャージした力を使いきったのだ。ブライの目が怪しく光る。


「終わりだ、ブランクッ!」


 ブライの左拳が迫る。避ける暇も、再チャージする暇もなく、ブランクも光を失った右拳で迎撃した。


「……なっ……!?」


 鈍い音の中でブライが驚きの声を上げる。光をまとった自身の腕が、ブランクの拳に砕かれ、肩口から先が千切れ飛んだのだ。


「俺の力より先に、お前の体が根をあげたみたいだな、ブライッ!」


 ブランクが右拳を引くと同時に、逆の拳を打ち込む。残った右腕で防ぐように受けたブライだが、その腕も力無くダラリと垂れた。

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