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討魔戦鬼ブランク〜手名芽市神魔討伐譚〜  作者: 九頭龍
第四話 紅蓮の記憶と鬼師匠
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4-15



「ハハハッ、どうした。子供を喰われて怒ったのか、ブランク? だが、どうするつもりだ。多少強くはなったようだが、その程度の力で俺をどうこう出来るとでも思っているなら、これはもう……呆れを通り越してお笑いだなっ!」


 八本の腕で腹を抱えて笑うブギーマン。しかし、ブランクはブギーマンの挑発に応えようとしない。


『そうだ、冷静になれ、新っ! 確かに奴は、到底赦せぬ邪悪……しかし、熱くなってはどのみち勝機を逃すぞ!」


 動かないブランクの中、八葉が焦ったように叫ぶ。そんな八葉の言葉に、ブランクは静かに応えた。


「熱くなるな……か。ハハハ、不思議なんだ、八葉。心はお前の言う通り、火傷するくらい煮えたぎっているけれど、頭の中はまるで氷柱つららが刺さったように、キンと冷え切っていてね……今の俺はかつて無い程、冷静だよ」


『新……』


「ただ、まるで正反対な心も頭も……ブギーマン、こいつだけは存在しちゃいけない、その一点では寸分の違いなく一致している。それだけは確かだ……セーフティデバイス・リリース」


 ブランクの呟きに、全身の金属装甲が反応した。

 青い光沢を放つブランクの装甲が、パーツごとに素早く細かく移動し配置を変える。その動きが止まった時、身体中の装甲間に開きがある状態へと変化していた。


「むぅ……何だ?」


 ブランクの変化に、ブギーマンが飛び出した眼球を訝しげにクリクリと動かす。


『新、アレをやるのか?』


「ああ、ぶっつけ本番だが、奴を倒すにはやはりこれしか無いみたいだ。アンリミテッド・コネクトッ!!」


 その瞬間、ブランクの体から激しい白光が溢れ出た。その光の中、ブランクの仮面が音も無く変形していく。

 ブランクの目の位置に開いたスリットが、前方へと伸びながら上下に開き、スリットの奥、一筋の細いラインでしかなかった赤い光がその動きに合わせて大きく広がる。それはまるで、今にも獲物に喰らい付こうと大口を開けた狼の頭部に酷似していた。

 更に、周囲の光が収まるのと入れ替わるように、先程変形し開いた装甲間に白い光が流れ、血管のようにブランクの全身を巡る。


「ふんっ、それで? 多少見た目が変わったとこ……」


 そこまで言いかけてブギーマンは目をむいた。変化の終わったブランクが、構えたまま顔を上げたかと思うと、忽然と目の前から消えたのだ。


「ここだ……」


 聞こえた声にブギーマンが視線を下に向けるのと、瞬間的に懐深くへと飛び込んでいたブランクが、ブギーマンの顔面目掛け右拳を突き上げたのは同時だった。


「ぐふぇっ!」


 踏み潰された蛙のような声を漏らしブギーマンが真上へと吹き飛ぶ。その姿を見上げ、ブランクが右脚を後方へ引いた。


「チャージッ」


 ブランクの右脚に青と白の輝きが宿る。二色の光は互いに混ざり弾け、激しくスパークする。


「はぁっ!」


 その眼前へと落下するブギーマン。ブランクは鋭い声と共に、ブギーマンを輝く右脚で蹴り抜いた。


「ぐっ……!」


 ブギーマンは避ける事も出来ず、ブランクの蹴撃を受けると真横に飛ぶ。そのまま設置されていた子供用の学習机に激突し、粉砕しながら止まった……が、立ち上がれず倒れたままだ。


「くぅ……がぁっ……」


 倒れたまま、苦しげに呻くブギーマン。咄嗟にブランクの蹴りを防ごうとした八本の腕は五本が千切れ灰へと変わり、残りの三本も辛うじて繋がっているが使い物になりそうに無い。


「いくら我々神魔を狩る者とはいえ……たかが人間が、一体どうやってこんな力を……」


 ブギーマンが知る由も無かったが、結晶にプールされた魂を使う事で、着用者を保護するブランクギア……その安全装置を解除し、強力無比な力━━己の魂を無尽蔵に燃料へと変え、八葉の神としての力を引き出す……ただの子供が一撃で神魔であるサラマンダーを灰へと変えた討魔の力━━を上乗せ出来るようにしたのが、新の依頼で哲也が改造した今のブランクだ。

 もちろん、ブランクの安全装置を解除し自身の魂を際限なく捧げる以上、それは着用者である新にとっても諸刃の剣となる。だが、リスクを覚悟の上で、新は使用を決意した。

 そうして得たこの力こそ、夢幻門の中、新が椿との戦いを通して見つけたブランクの可能性だった。


「お前がそれを知る必要は無い」


 ブランクは倒れたブギーマンに近づくと、そのボロ布で出来た襟元を掴み、目の前へと無理矢理持ち上げる。


「所属する虹枝について、知っている事を全て話せ、ブギーマン。正直に洗いざらい吐けば、出来るだけ苦しまないように消してやる」


 静かに淡々と話すブランク。宙吊りにされたまま、ブギーマンが瞳を邪悪に歪め笑った。

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