表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/57

御伽話は灰色に変わる

4月16日・夜 沖縄県石垣市 石垣島天文台


 神藤たちが成田を出発した日の夜のこと、満天の星空の下、石垣島にある天文台にて天体観測を行う人々が居る。彼らの主な目的は、この惑星に最も近い“ある天体”を観測することだった。


「美しい星だ・・・“アレクサンドリア”」


 105cm望遠鏡が映し出すその天体の姿を、肉眼で覗いている1人の男が居る。彼の名は升脇慎吾、国立天文台に属するスタッフである。彼が眺めていたのはこの世界、すなわち「惑星テラルス」の“月”にあたる天体だ。転移したばかりの頃、テラルスには地球と同様に巨大な衛星が1つ確認されていた。

 しかし後の調査によって、それは“衛星”ではなく“連星”と呼ぶべきものであって、テラルスは二重連星を成している惑星であることが、JAXAの観測によって判明していた。

 JAXAはかつて、テラルスに対して便宜上の名称である「カウンターアース」という呼び名を与えていた様に、この連星に対しては「アレクサンドリア」という呼び名を与えている。ほぼ同等の大きさを持つ岩石惑星の二重連星が確認されたのは、天文学観測史上初めての事であり、日本の天文学者たちは皆、このアレクサンドリアに対して多大な興味を抱いていた。


「・・・あの星には生物が居るかも知れない」


 地上からの観測によって、アレクサンドリアには海と大陸が存在することが分かっている。スペクトル中の輝線や吸収線の観測により、大気組成がほぼ地球と相似であることも確認済みだ。但し地上の細かい様子については、雲が邪魔をして未だ十分な観測が出来ていない。

 海があり、大気の成分が地球と同じであるということは、当然生命が存在する可能性がある。もしかしたらテラルス世界と同様に、文明を育む知的生命体が住んでいるかも知れない。升脇を初めとして、天文学に携わる者たちがアレクサンドリアに向ける好奇心は尽きない。


〜〜〜〜〜


ほぼ同時刻 日本領・屋和半島 幕照市 幕照飛行場


 14時20分に成田空港を離陸した日の丸航空(HAL)119便は、約9時間近いフライト時間を経て目的地である幕照飛行場に到着した。この地は日本本土と3時間ほどの時差がある為、幕照市の現地時間は現在20時過ぎである。

 市街地から離れたところに設置されているこの空港は、軍民共同で用いているものであり、駐機場には民間航空機と並んで海自や陸自の航空機が駐機されていた。

 そんな空港の正面出入り口から、神藤と開井手、そして利能の3人が手荷物を持って出て来ていた。


「はぁ〜、やっと着いたか!」


 長時間のフライトに慣れていない神藤は、座りっぱなしで固まってしまった身体をほぐす為、大きな背伸びをする。利能と開井手は空港の周りを見渡していた。この街は稚内市を超える緯度に位置する為、4月だというのにまだ肌寒く、呼吸は白い吐息に変わる。さらにはあちこちに雪が残っていた。

 空港そのものは小さな地方空港といった感じだが、建物の周りは真っ暗で街灯も見つからない。まるで暗闇の世界に放り出された様な気分だ。尚、市街地と空港を行き来するシャトルバスが公営で運行されており、近くにあったバス停の時刻表を確認したところ、次のバスが来るまで10分ほど待たなければならない様だった。


「じゃあ、しばらく待つしかねぇェか・・・」


「ああ、そうだな」


 開井手が述べた言葉に、神藤は素っ気なく頷く。バス停の周りには、彼ら3名と同じ飛行機に乗っていた乗客たちが集まっていた。10分後、暗闇の中から2つの目映いライトが光る。ようやく現れたシャトルバスの姿を見て、乗客たちは笑みをこぼしていた。バスは彼らの目の前で止まり、プシューという音を立てながらその扉を開く。ハンドルを握っていた運転手の男が立ち上がり、バスから降りて客の前に姿を現す。


「幕照へようこそ! 大きな荷物は私がトランクへ積むので、こちらに置いてください」


 運転手はそう言うと、車体の下部にあるトランクルームを開ける。乗客たちはスーツケースやトランクをその場に置くと、バスの中へ次々と乗り込んで行った。神藤ら3名も、彼らに続いてバスに乗り込む。程なくして乗客と荷物を全て積み込んだバスは、“空港前バス停”を出発し、市街地へと向かう。


・・・


幕照市・東部 バスターミナル


 空港を出発したシャトルバスは、約15分後に幕照市街地の中心地にあるバスターミナルへ到着した。乗客たちは開いたドアから次々と降りて行く。日本本土から幕照へ訪れた彼らの目的は、主に移住した親族に会うか、仕事で派遣されたかのどちらかである事が多い。しかし、最後に降りてきた3名の目的はそのいずれとも異なるものである。運転手から荷物を受け取った彼らは、初めて訪れる街の様子へ目を向けた。


「ここが『外地』・・・」


 利能はバスターミナルの周りを見渡す。時間帯の為か住民の数は疎らであり、閑散とした印象を受ける。

 ちなみに「外地」とは、日本国がこの世界に来てから新たに手に入れた領土の総称である。対して、本土4島とその所属島嶼から成る日本固有の領土を「内地」と呼ぶ様になっていた。

 そしてここ、「ウィレニア大陸・屋和半島」も、そんな「外地」の1つである。元々、アルティーア帝国の領土だったヤワ半島は、日本=アルティーア戦争の結果、戦利品として日本へと割譲され、その東側の海岸沿いには4カ国の「在日外国人国家」が建国された。

 ヤワ半島、そして半島内に存在していた帝国主要都市の1つであるマックテーユは、日本への併合によって「屋和半島」、また「幕照」と改称され、日本人移民団第一陣の上陸と共に、屋和半島を統治する為の行政機関である「屋和西道庁」が設置された。これによって日本の都道府県は、1都1道2府43県から1都2道2府43県へと増加することとなる。


「どんな所かと思いきや、本土と大して変わらねェな・・・」


 開井手は幕照の市街地を見た印象を述べる。彼の言う通り、周りに広がる風景は日本国内の中小都市と変わらなかった。


「さぁ〜、宿でも探そうぜ」


 神藤はそう言うと、ボストンバッグを左肩に掛け、街中に向かって歩き出した。2人も彼の後に付いていく。利能が引き摺るスーツケースが、ガラガラと音を立てていた。


・・・


ホテル・1F


 彼らがこの日の宿泊先として選んだのは、とある全国的なホテルチェーンの支店だった。


「西縦イン幕照へようこそ!」


「・・・!」


 フロントに立つ2人の女性従業員が、ロビーに入って来た神藤らに頭を下げる。神藤はその姿を見て少し驚いていた。彼女らが着ている服こそ日本でよく見る同店舗の制服だったが、顔立ちが日本人では無かったからだ。彼女らは現地で雇われた“旧アルティーア帝国民”だったのである。この様に、新領土である幕照に進出した企業は、現地民を積極的に雇用しているのだ。


「シングルの部屋が3つ、空いてないか? 1泊したいんだ」


 フロントの前に立った神藤は右手でのジェスチャーを交えながら、部屋が開いているかどうかを尋ねる。


「ご宿泊ですね、大丈夫ですよ。シングルを3部屋、全て1泊で宜しかったでしょうか?」


「ああ」


「では此方にお名前とご住所、ご職業の記入をお願いします」


 従業員はそう言うと、神藤に宿帳を差し出した。彼を含む3人は脇に置いてあったボールペンを手に取り、それぞれ名前を記入する。その後、宿泊料金の精算を終えると、従業員は彼らに3本の鍵を手渡した。


「こちらが鍵になります。外出される際には鍵をフロントに預けられてから外出してください。チェックアウトの時刻は午前10時となります。それ以上のご利用は延長料金が発生しますのでご注意ください。朝食は無料ですので、是非ご利用ください」


 フロントの従業員は宿泊する上での注意点を述べる。彼女たちの接客態度は日本人のそれとほとんど変わらない様に見えた。


(社員教育が行き届いているんだなあ・・・)


 彼女らの様子を見ていた開井手は、ただただ感心していた。つい5年前程まで17世紀欧州レベルの生活を営んでいた旧アルティーア帝国民が、化学繊維で出来た衣類に身を包み、ビジネルホテルの従業員として日本式の接客を行う。かなり奇妙な光景であるが、そこに違和は感じられない。

 すなわち、目の前に立っている彼女たちは、本来であれば数百年の間が開くカルチャーギャップを5年程で埋めてしまったことになる。人間の適応力とはこれほどのものなのだろうか。


「1つ聞いて良いかい? 我々は警察の者なんだが・・・」


 神藤はフロントの女性に警察手帳を見せると、ポケットの中から5枚の写真を取り出した。


「国外へ失踪したこの5人を探している。半年程前に此処へ来ていないか確認して欲しい」


「?」


 宿泊客から告げられた突然のお願いに、フロントの2人はきょとんとしていた。彼女たちは“警察”という存在は知っていたものの、目の前に差し出された警察手帳が何なのか分からなかったのだ。


「・・・オーナーに確認を取って来ます!」


 従業員の1人がフロントの奥へと消えて行く。その数十秒後、事の重大さを知ったホテルのオーナーが3人の前に現れた。言うまでも無いが、オーナーは日本人であった。神藤は彼に捜査の詳細について説明し、失踪した5名の名前が宿泊者名簿に有るか否かを確認して欲しいと依頼した。その結果、5名の名前はいずれも確認出来なかった。

 神藤と開井手、そして利能の3人は、捜査協力に対する礼を述べてフロントを後にする。エレベーターへ向かう彼らの姿を、フロントの2人は笑顔で見送っていた。




4F 神藤の部屋


 シャワーを浴びた神藤がシングルベッドの上に座っている。髪を濡らしたままの彼の横には小さなケースが置かれていた。


「無事に持ち込めて良かったぜ・・・」


 神藤がケースの中から取り出したものは拳銃だった。成田空港のチェックインカウンターで実包と共に受託手荷物として預け、幕照空港にて空港職員から手渡しで受け渡されたものである。他の2人も同様にして、拳銃を持ち込んでいた。

 ちなみに彼の愛銃は「コルト・ローマンMkⅢ4インチモデル」。80年代頃の刑事ドラマで数多く登場した回転式拳銃である。一般には日本の警察で採用された記録は無いとされている代物であり、それがどういう経緯で実際に納入されることになったのかは、現在の使用者である神藤自身も知らない。さらに言えば、警察組織内に存在するローマンの数は神藤が持つものも含めてたったの数丁しか無いのだ。


「・・・」


 シリンダーを親指で回してみたり、薬室を覗いたりしながら、不具合が無いかどうかを確かめる。その後、彼ら3名は一度神藤の部屋に集まって明日の日程を確認し合い、それが終わった後は各自の部屋に戻って、長距離移動の疲れを癒す為に深い眠りに就いた。


〜〜〜〜〜


4月17日 翌朝 ホテル・1F


 翌朝、一足早く朝食を済ませた神藤と開井手は、ホテルのロビーで利能が朝食を済ませるのを待っていた。


「すみません! お待たせしました!」


 食事を終えた利能は食器を返した後、ベンチに座って待っていた2人の下へ駆け寄る。


「忘れ物、ねェだろうな?」


「無論です」


 神藤の問いかけに、利能はきっぱりと答える。


「じゃあ、行こうか」


 ホテルを後にした神藤一行は、幕照〜ノスペディ間をつなぐ民間フェリーが往来しているという幕照港のフェリー乗り場へ向かうため、再びバスターミナルに足を運ぶ。


・・・


バスターミナル


 太陽が昇った幕照の街は、夜間とは一転した活気ある姿を見せていた。スーツや洋服を着て街を歩く日本人移民の中に、日本人とは明らかに顔立ちが異なるアルティーア人の姿が見える。その多くはアルティーア風の衣装に身を包んでいたが、日本人と同様の服装をしている者も少なからず居た。

 一行は港へ向かうバスが来る“2番乗り場”へと向かう。すでにそこには数人の市民が並んでおり、その中にも現地民の姿があった。3人はその後ろへと並ぶ。数分後、バスがやってきた。それは列に並ぶ客の前で止まり、ドアが開く。


“ご乗車ありがとうございます。このバスは幕照港へ参ります”


 バスの行き先を告げるアナウンスが聞こえて来る。並んでいた人々は次々とバスへ乗り込んだ。日本人に混じって列の中に居たアルティーア人も、慣れた様子で整理券を受け取り、ステップを上がって行く。乗客を乗せたバスはバスターミナルを出発する。彼らは程なくして、港へと到着した。


・・・


幕照港


 本土や夢幻諸島から運ばれて来る石炭や石油の運搬船や物資を運ぶ輸送船、そして幕照へ移動となった海上自衛隊第12護衛隊の護衛艦が出入りしている。かつて、丸太と木の板で出来た桟橋が並んでいたマックテーユ港は、コンクリート造りの強靱な港へと変貌していた。

 神藤一行が訪れていたのは“フェリー乗り場”である。ここは、アルティーア帝国の都市「ノスペディ」へ向かう民間フェリーが出入りしている場所だ。チケット売り場へ足を運んだ神藤たちは、売り場の男に失踪した5名の写真と名前を見せて、半年程前に彼らがこの場所へ来ていないかどうかを尋ねた。


「ああ〜、確かに“出国許可証”を持っていない日本人が来ましたよ。確かに半年くらい前だったかなあ・・・。顔までは覚えていませんけど、確かに5人組でした。妙な事を言っていたので印象に残っています。日本と世界の為とか何とか・・・。許可証の無い日本人はフェリーに乗せられないと伝えたら、文句を言いながら帰って行きました」


「つまりフェリーには乗っていないのですね。何処へ行ったか分かりますか?」


 写真を眺める売り場の男に、利能は5名の足取りを尋ねた。しかし、彼は首を横に振る。


「さすがにそこまでは・・・。しかし、あくまでノスペディに向かったのならば、陸路で行ったのではないかと思います。国境警備なんて有って無い様なものですし・・・」


 アルティーア戦役の戦利品として屋和半島を割譲された日本国は、当然ながら、同地とアルティーア帝国を隔てる陸の国境線を有することとなった。両国の国境を横断する街道上には、日本政府によって国境検問所が置かれ、入国審査官と税関職員、そして国境警備の為の陸上自衛隊員が常駐しており、国境を横断しようとする両国民を監視している。しかし、国境全てに監視の目を行き渡らせることは出来ておらず、パスポートや出国許可証無しで密出入国を行おうと思えば、案外簡単に出来てしまうというのが現状だった。


「ご協力ありがとうございます」


 利能は写真を懐に仕舞うと、売り場の男に頭を下げる。その後、3人は正式に“出国許可証”と“パスポート”を提示した上で、ノスペディ行きのチケットを購入した。15分後、ノスペディ市と幕照市の間を往復する国際フェリーが乗り場の桟橋に現れる。船の到着を待っていた人々がタラップを超えて船に乗り込んで行く。乗客の数は少なく、そのほぼ全てがノスペディ市に支社を置いている貿易会社の社員たちである。

 その中に公安に属する人間が混じっていようとは、乗客の誰も想像すらしていないのだろう。尚、神藤らはフェリーを運行している船舶会社に拳銃を持ち込む許可を取っている為、船長や乗務員はその正体を知っている訳だが。


「さあ、今から“日本”を出る訳だけど・・・覚悟は良いかい?」


 タラップを踏む直前、神藤が開井手と利能に問いかける。彼ら3人にとって、この船で向かう先は未知の国だ。無事に帰って来られるかも分からない。その上でノスペディへ行く覚悟があるかと問うているのだ。2人はきょとんとした表情を浮かべて顔を見合わせると、再び神藤の方を向いて不敵な笑みを浮かべる。


「当然です」

「当たり前だ」


 開井手と利能はきっぱりと答えた。


「良し・・・じゃあ行こうか。アルティーア帝国とやらに」


 神藤は船に延びるタラップへと足を進める。2人もその後を付いていく様にフェリーへ乗り込んだ。


・・・


フェリー 甲板


 フェリーに乗り込んだ神藤と開井手、そして利能の3人は、甲板の手すりに身体を預けて遠ざかっていく幕照港を眺めていた。この時点で時刻は午前10時、目的地であるノスペディまでは15時間ほどかかる。


「失踪者の足取り、掴めるでしょうか?」


 利能は此度の捜査における一抹の不安を吐露した。


「神にでも祈るんだね。宿や港で聞き込みして・・・上手く情報を得られると良いけど」


 神藤が答える。彼は変わらず、飄々とした態度を崩すことは無かった。


「良いですね、気楽に考えられる人は!」


「焦る気持ちを持っても、結果は変わらないぜ」


 嫌みの混じった利能の台詞に神藤は諭す様に言い返す。その後、2人は船室へと戻って行った。




 その後、船は陸地からどんどん離れ、最終的に幕照の全景を視界に収めるまでに至る。開井手は1人甲板に残って、その様子を眺めていた。


「・・・すげェ!」


 彼は初めて見る幕照市の全景を目の当たりにし、その異様な様相に驚く。街にはコンクリート造りの建物が立ち並んでいる。その街並みは今まで見て来た通り、日本本土の中小都市と何ら変わらない。

 しかし、それは都市の東部だけ。西部は現地住民が暮らす旧来の街並みがそのまま残っており、幕照市は1つの街の中に日本人移民が暮らす現代都市と、旧アルティーア帝国民が暮らす中近世都市が混在するという様相を呈していた。すなわち、今まで彼らが見ていたのは、街の一面に過ぎなかったのだ。

 1つの街の中に現代と中近世が棲み分けている、否、現代の世界が中近世の世界を浸食していると称した方が良いだろう。ホテルやバスターミナルで見た通り、すでに現地民の生活には現代文明が染み渡っていた。街の全てが塗り替えられるのは時間の問題の様に思える。その頃には、あの街に暮らす旧アルティーア帝国民にとって、昔の生活など遠い過去の遺物と化してしまうのだろう。


「・・・」


 街の姿を眺める開井手は、あまりにも不自然な進化を遂げているその姿を目の当たりにして、複雑な気持ちになっていた。日本国の影響力はゆっくりと、だが着実にテラルス世界へと及んでいる。国によっては日本国内の民間企業と契約して、インフラ整備を行っているところもあると聞く。現代的な資本主義の中へ急激に組み込まれた旧アルティーア帝国民の姿は、この世界の数十年後を体現したモデルケースと言えるだろう。


「・・・先輩、風邪引くぜ」


 船室の中へ戻っていた神藤が、街の姿を眺める開井手に後ろから声を掛ける。


「ああ、一服したらそっち行く」


 開井手は紙煙草を口に咥えると、懐から取り出したターボライターで火を付ける。着火点の先から漂う白煙は、海風に吹かれて虚空へと消えて行くのだった。

神藤の所持する拳銃がローマンなのは、彼が警察官としてイレギュラーな存在である事を強調する為の設定で、作中で述べた通り、現実の警察が所有していない事は分かっています。一応、他にも大きな意味が有るんですけどね(ネタバレになるので言えませんが)・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ