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旭日の西漸 第4部 ティルフィング・選挙篇  作者: 僕突全卯
第5章 クロスネルヤード帝国
34/57

ナフタリ族のエスルーグ

ここら辺はワンピースのbgmを頭の中に掛けながら書いてました。あちらもドレスローザ篇の後に描かれた、レヴェリーに向かう各国の描写にわくわくしましたね。

6月10日・夜 日本国 東京・千代田区 首相官邸


 この「テラルス星」に存在する世界で東端と呼ばれる場所に位置する国「日本国」、1億を超える人口を誇る国民の内の1000万人が住まい、目映い夜景を放つ首都に、行政の長たる内閣総理大臣の官邸がある。その総理執務室に、この国を率いる内閣のメンバーが数人集まっていた。

 現在の政権は、両院で最大議席を有する自由国民党と、宗教組織を母体とした正善党の2党から成る連立政権となっており、特に現内閣の第3次泉川内閣は、転移前の2023年に行われた衆議院選挙から8年に渡って、政権の座に在り続ける長期政権となっている。

 現首相である泉川耕次郎の通算在職日数は既に、それまでの最長記録保持者だった桂太郎の記録を抜いており、歴代最長の在職日数を誇っていた。


「衆参両院の投票日を8月3日に合わせる為、参議院選挙の公示を7月17日、衆議院選挙の公示を7月22日に行います。戦後3度目の同時選挙、気を引き締めて行きましょう」


 そう述べるのは、農林水産大臣の小森宏である。


「それは分かりきっているが・・・各国の視察団との調整は如何な具合になっているんでしょうかね?」


 財務大臣の浅野太吉は、同じ部屋の中に居た外務大臣の峰岸に問いかける。


「現在までの所、選挙の視察を申し出ている国家は既に21カ国に上っています。7月12日に“アルティーア帝国視察団”が来日するのを皮切りに、その後も続々と東京入りする予定になっています。

総理には選挙の前後で、希望する各国との会談に望んで頂きます。ただでさえお忙しい所を申し訳ありませんが・・・」


「それはかまいません。むしろ良い機会でしょう。世界各地の国々が一同に会すなんて、滅多に無い出来事なんですから・・・」


 申し訳なさそうな声色を発する峰岸に対して、首相の泉川は首を左右に振りながら、笑顔で答えた。


 選挙の視察を申し出ている国は、「アルティーア帝国」と「ショーテーリア=サン帝国」、「クロスネルヤード帝国」といった3つの大国を初めとして、その他もノーザロイア島の「イラマニア王国」と「ミスタニア王国」、極東洋の「ロバーニア王国」、ジュペリア大陸の「ヨハン共和国」、アナン大陸の「エルムスタシア帝国」などなど、計21カ国に上り、遠方の国々に関しては、海上自衛隊を主として各船舶企業が艦船を派遣し、視察団の護送に当たる事になっていた。


 参議院選挙の公示日まで残り約1ヶ月、巨大な政治イベントが間近に迫り、日本の政財界は何処か浮き足立った雰囲気に覆われていた。


〜〜〜〜〜


クロスネルヤード帝国 帝都リチアンドブルク 皇宮・御所


 世界最大の帝国の首都に、この国を統べるアングレム皇家が暮らす皇宮がある。御所と呼ばれる皇族の居住区域に、現27代皇帝のジェティス4世と皇后レヴィッカ=ホーエルツェレール・アングレム、そして皇帝から見れば腹違いの妹に当たる皇女テオファ=レー=アングレムの姿があった。


 彼らが今居るのは、御所の1階にある食堂だ。大理石製のテーブルに座り、並べられた昼食を取る3名の皇族の回りを、メイドや近衛兵たちが囲んでいる。この国の皇宮は日本の皇居に匹敵する広さを誇るが、暮らしている皇族は此処に居る3人だけしか居ないのである。


「・・・どうしたんだ、テオファ? この頃、やけに上機嫌じゃないか」


 上座に座るジェティス4世は、どこか楽しそうな表情を浮かべる妹に、その理由を尋ねる。テオファは口の中に入れていたものを急いで飲み込み、兄である皇帝の問いかけに喜々として答えた。


「兄上様! だって、あと3日後は出発の日・・・またニホン国へ行けるんですよ! 今から楽しみなんです!」


 クロスネルヤード帝国“皇帝領”政府から派遣される「選挙視察団」の代表は、ジェティスによって任命された新宰相の「フィロース=ホーエルツェレール公爵」が勤める事になっている。

 本来ならば、国の長たる皇族の人間が名を連ねるべきところだが、ジェティス4世は未だ混乱の中にある祖国から離れる訳にはいかず、皇后のレヴィッカは妊娠が発覚した為に長期の船旅が出来ず、加えて、簒奪者アルフォンによって引き起こされた“前皇帝一家暗殺事件”の為に、直系の皇族の数が足りないなどの理由が連なった結果として、この様な策を取るしか無かったのだ。

 その代わり、視察団の中核メンバーとして帝国皇女のテオファが名を連ねる予定になっている。再び日本へ行ける事となった彼女は、喜びを隠しきれないでいた。


(・・・未だその全容が知れぬ極東の大国、叶うものなら何時かこの目で直に見てみたいものだ)


 上機嫌になっている妹の姿を見て、皇帝のジェティスは自分が日本へ行けない事を残念に感じていた。


(私も行ってみたかったなあ・・・)


 皇后のレヴィッカも、まだ見ぬ新列強の姿に思いを馳せる。


〜〜〜〜〜


ジュペリア大陸北西部 ニアリア共和国 首都ジョーメッセン


 稚内市を超える高緯度地域、寒冷な気候からなるその地に「ニアリア共和国」の首都がある。この国は、クロスネルヤード帝国とイスラフェア帝国という2つの列強に挟まれる形で存在しており、これら両国を陸路で繋ぐ交通の要衝として栄えて来た。

 また、列強国に挟まれるという地理的条件により、この世界に存在する共和制国家の中では、ほぼ例外的に軍事的強国という認識を成されている。主要な生産食糧は主に大麦と魚介類だ。


 この国の政治体制は、行政府の長たる「主席」を元首として、各階級の国民が集まった「国民公会」が中心となり、国政の指針を決めている。

 そして、その主席が居を構える「公邸」の一室にて、2人の男が話をしていた。


「ニホン国への選挙視察団についてですが、ようやくメンバーが確定しました」


「やっとか・・・大分掛かったな」


 共和国主席のヴォルスフォイ=ベチュナジョワーは、外務局員が持って来た知らせにため息をついた。


「申し訳ありません。定員以上に渡航希望者が多く、局内でもかなり揉めまして・・・」


 局員の男は謝意を述べる。この国から日本へ渡るにはかなりの長旅になるにも関わらず、未知の国への興味からか、外務局の予想以上に視察団入りの希望者が集ってしまったのだ。


「・・・まあ良い、メンバーが決まったのならすぐに港街ラシュカへ向かわせるんだ。私から“天馬飛翔隊”の動員に許可が出たと軍務局へ伝えておけ。ニホンの船が視察団の迎えに来るまで、時間はそれほど残って無いんだからな」


「承知しました!」


 国家元首の指示を受けた局員は、はきはきとした声を上げながら頭を下げると、部屋を退出して行った。

 1人切りになり、静寂に包まれた執務室の中で、ヴォルスフォイは机の中から取り出した葉巻を口に咥える。


(・・・列強国を次々と打ち破り、悪魔の様な軍事力と並外れた技術力を持ちながら、自ら覇を唱えることの無い謎の国。その本質を見るのに、今回の視察団はまたとない機会だ。それに我が国にも普通選挙を導入する事が可能か否かを見極める転機にもなる・・・頼むぞ)


 ヴォルスフォイは1人葉巻を吸いながら、東の果てへの旅立ちを控えた視察団の成果を祈っていた。


〜〜〜〜〜


ウィレニア大陸 アルティーア帝国 首都クステファイ 宮廷学院


 日本との戦争に完膚無きまでに破れた挙げ句、属州・属国の独立を許し、長らく「総督府」の間接占領統治下にあった“元”七龍のアルティーア帝国は、2030年10月に締結された「福岡講和条約」によって独立国としての地位を取り戻していた。

 総督府が撤収し、自衛隊が完全撤退した首都クステファイは、既に戦争の爪痕は綺麗に消え去っており、日本企業の参入も有って、人々は活気有る毎日を過ごしている。


 そんな首都の中心街にある高等教育機関の「宮廷学院」では、今日も首都に住まう貴族や傍系の皇族、その他富裕層の子女が修学に励んでいる。

 此処で行われる教育は対日戦の前後で大きな変貌を遂げており、万が一にも反日的教育が行われない様に、総督府の指導に基づいた徹底的な教育改革が敢行されていた。

 戦後にこの学院に入学し、総督府主導で組まれた新たな教育を受ける世代は、それを何の疑問も無く受け入れている。富裕層に対する親日的教育は、現在のところ滞りなく、日本政府の目論見通りに進んでいた。


「・・・え〜、この様にして、ニホン国との戦争後、我が国でも国政議員の選挙が行われる事となったのです。今までの世襲制を廃し、元老院議員として相応しい優れた人物を男女関わらず選べる様になった事は、我が国にとって重要な進歩と言えるでしょう」


 壇上に立つ講師が、教室内に居る数多の学徒たちに向けて講義を行っている。彼が今説明しているのは、帝国の歴史上初めて行われる事となった元老院議員選挙についてだ。

 学徒たちは、曇りのない目で講師の話を聞いて居る。彼らの手には日本から輸入された鉛筆やシャープペンシルが握られており、同じく日本から輸入されたノートに、講師の言葉や板書を書き記していた。


(・・・ニホンって、やっぱり凄い国なんだなあ)


 講師の話を聞いていたとある男子学徒は心の中で、日本への憧れを吐露する。進んだ技術力に圧倒的な経済力、そして民主的な政治体制、日本の全てが彼らの憧れとなっていた。


「此処に居る学徒の中にも、投票権を持つ者が居るでしょう。戦前と同じ過ちを繰り返し、戦争の惨禍を再び招く様な事の無い聡明な人物を選ぶ事が重要と言えます・・・」


 講師が述べた言葉に、首を傾げる者は居ない。この様に帝国内の教育機関では、日本=アルティーア戦争の悲劇を招いた責任は、対外侵略を繰り返した当時の政府首脳と軍部に有ると、学徒たちに教えられているのである。


「良し、今日の講義はここまで」


 講義終了の合図と共に、学徒たちは次々と席を立ち、教室を退出していく。

 斯くして、将来のアルティーア帝国を担う世代の教育改革は、着々と進んでいるのだった。


・・・


首都 皇城


 この国の皇帝が住まう城の一画に、皇帝の執務室がある。かつて自衛隊が決行した「ダウンフォール作戦」にて戦場となったこの場所も、その後の修復によって戦跡は綺麗に無くなっていた。

 現在、この国の国家元首を勤めるのは、前皇帝ウヴァーリト4世の第三皇女だったサヴィーア=イリアムことサヴィーア1世である。彼女を中心とした新政府は今、日本への選挙視察団派遣へ向けて各国と同様に準備を進めていた。


(・・・またニホン国へ行けるのね。でも、今回はあのクロスネルヤード帝国の一団と顔を合わせる事になる・・・)


 視察団団長を勤めるサヴィーアは執務室で1人、約1ヶ月後に迫った日本入りの事を考えて緊張していた。あの異次元の街並みを再び目にする事が出来るのは願っても無いことだが、今回はあの世界最大の帝国からも視察団が来るとあって、そこはかとなく気が張っていたのである。


 この様に、世界各国の首脳たちも静かなざわつきを見せ始めているのは、東の果て・日本国で行われる最大の政治イベント「衆参両院同時選挙」の為である。

 「謎の強国」が今後取り得る指針・方策が1億の民によって決定されるこのイベントには、選挙の視察を表明していない各国の首脳陣も、ある国の君主は興味や尊崇の目で、ある国の君主は危機感と脅威を抱きながら、その行方を注視している。

 選挙に向けて準備をしているのは、日本だけではないのだ。


〜〜〜〜〜


6月11日 クロスネルヤード帝国 ボン辺境伯領 ワクリ村付近


 ベギンテリア市を出発して4日後、高機動車に乗って北西方向に進む神藤一行は、「ジェジューナム家」が治める地方である「ボン辺境伯領」に到達していた。地方の首都であるボン市で一泊した彼らは、次なる中継地点である「ノースケールト市」へ向けてひた走っていた。


「此処は今・・・マヌーガ平原か」


 助手席に乗る神藤は、地図を片手に現在地を確認していた。彼らの回りには乾いた平原が地平線の向こうまで広がっている。時々、同じ街道上を行く隊商や郵便馬車を追い抜いては、定期的に休憩し、次なる目的地への距離を着実に詰めていた。

 その時・・・


「・・・人だ」


 運転席でハンドルを握る崔川は、街道の上に倒れている人影を見つける。周りに民家も何も無い場所で、ぽつんと現れたそれに、崔川は首を傾げていた。このまま進む訳にも行かないので、ブレーキを踏んでスピードを落とす。


「どうしたぃ?」


 車が止まろうとしている事に気付いた神藤は、尻上がりの口調で何があったのか尋ねる。崔川は進行方向の先に倒れている人影を指差した。


「・・・あれは!」


 崔川の示す先を見た神藤は驚嘆の声を上げた。彼と崔川は高機動車が停車すると、すぐさま車を降りて倒れている人物の下へ駆け寄った。荷台に乗っている利能と開井手、リリーも心配そうに眺めている。


「おい! 大丈夫か、お前!?」


 神藤は俯せになって倒れているその人物の身体を仰向けにすると、その上半身を抱えて必死に呼びかける。倒れていたのは若い男だった。神藤は彼の手首に指を当てて脈が有る事を確認すると、再度大声で呼びかける。


「おい! しっかりしろ、おい!」


「う・・・」


 神藤の声が届いたのか、若い男は掠れた様な声を発する。どうやら目を覚ました様だ。


「・・・は・・・へっ・・・」


「ん? 何、何だって?」


 若い男は何やら言葉を伝えようとしている様子である。神藤は彼の口元に右耳を近づけた。

 その時、辺り一帯に響き渡る程の腹の虫が、彼の身体から聞こえて来た。聞いた事が無い様なその音に、神藤は目を丸くする。


「腹・・・減った・・・」


 若い男は神藤のスーツを掴みながら、虚ろな意識で空腹を訴える。


「おい・・・何か食わせてやれ」


「・・・わ、分かりました」


 神藤の指示を受けた崔川は、高機動車が引いているトレーラーへと向かい、乾パンを取って来る。


 数時間後、神藤らの善意によって水と食糧を与えられた青年は、完全に意識を取り戻していた。


「いや〜、本当に申し訳無い! 見ず知らずの旅のお方に助けていただけるとは!」


 彼はぺこぺこ頭を下げながら、助けて貰ったお礼を述べる。


「それは良いよ、それより何でこんな所に倒れていたんだ?」


 神藤はその青年に、行き倒れになっていた訳を尋ねた。


「いや〜、話すと結構長くなるんですがね・・・」


 青年は苦笑いを浮かべながら、2日ほど前に起こった出来事について語り始める。


 彼は自身の名を「エスルーグ・ナフタラン=エリシェヴァ」と名乗った。“西方の七龍”と呼ばれる列強「イスラフェア帝国」の出身で、自称フリーの魔法研究家をしているらしい。

 この国に暮らす「イスラフェア人」は、何故か日本人と同様、体内に魔力を持たない民とされている。故に彼は魔法に惹かれ、それについて知る為に閉鎖的な故郷を飛び出し、魔法を研究する旅に出たのである。

 だが、旅を続ける中でとうとう資金が底を突いてしまい、故郷へ帰る決心をした彼は、ベギンテリア市からクスデート市へ行く隊商に便乗させて貰っていた。しかし、金が無いのを隠していた事が途中でばれてしまい、荒野の真ん中で置いてけぼりを食らってしまったのである。


(イスラフェアって確か・・・)


 神藤はその国名に聞き覚えがあった。日本政府が現在、国交樹立交渉の真っ只中の国である。この世界で唯一、産業革命に達している国だ。


「クスデート市って言ったら、俺たちも行くところじゃないか。そこまで送ってやったらいい。食料は余分に持って来てただろ」


 いつの間にか車を降りていた開井手が、エスルーグを乗せていくことを提案する。助ける義理や義務は無いが、遭難者を置き去りにしていくのは気分が悪かったからだ。


「ほ、本当ですか!?」


 開井手の言葉を聞いたエスルーグの瞳が、期待の籠もった輝きを放つ。


「ま、良いか・・・乗れよ」


 部下の一言で期待させてしまった以上、今更駄目とは言えない神藤は、彼らの後ろに停まっている高機動車を指し示しながら、それに乗る様に促した。


「あれは・・・“自動車”ですか?」


 高機動車を目の当たりにしたエスルーグは、それが故郷にあった「蒸気自動車」と同種のものである事を悟る。


「ほう、分かるか・・・流石は産業革命に到達した国の出身者だ。でもあれは石炭が燃料じゃない、軽油って液体燃料を動力源に動いているんだ」


「我が国以外で外燃機関を使った自動車を見るとは、貴方方・・・噂に聞くニホン国の方ではないですか?」


 神藤が告げた言葉の全てを理解出来た訳では無いが、自国では為し得ない高度な技術力の断片を見たエスルーグは、彼らがあの“謎の国”の人間であることを理解する。


「いや、ディーゼルエンジンは内燃機関って言って・・・。まあ、良いや・・・そんな所だ。訳あってこの大陸を旅して・・・旅をせざるを得ない状況になっている。詳しく説明はしないが・・・」


「いえ・・・お構いなく。では・・・お邪魔しますね」


 エスルーグはそう言うと、神藤に促されるまま、高機動車の荷台へと乗り込んだ。自国が開発している自動車とは明らかに異なるその姿と内部構造を、彼は興味深く観察する。


(・・・な、何でエルフ族が此処に?)


 高機動車の荷台には、明らかに日本人とは異なる顔立ちをしている少女の姿があった。利能の隣に座るリリーを見て、エスルーグは首を傾げた。


「・・・」


 彼の視線に気付いたのか、リリーは新たな同行者であるエスルーグに向かって会釈をする。

 その後、開井手、神藤、崔川二曹の3人が再度車に乗り込む。全員が乗車した事を確認した運転手の崔川はエンジンキーを回した。


「では出発しますよ!」


 崔川はそう言うと、アクセルを踏み込む。

 斯くして、4人の日本人と2人のテラルス人を乗せた陸上自衛隊の高機動車は、次なる中継地点であるノースケールト辺境伯領の首都「ノースケールト市」へ向かうのだった。

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