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永遠の愛を刻み続ける  作者: 美雪
愛の日編

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レティシア視点 ④ 夕方

 お茶会といっても、妻達の滞在時間は三十分ほどだけだった。


 今回、ロディが青騎士になって初めての愛の日になる。去年の愛の日は青騎士ではなかった。そのため、このような行事があるとは知らなかった。


 青騎士であるロディの妻として、こういった行事をするというのは、とても緊張した。でも、いい経験になった。


 他の者達と宿舎に帰ると、妻達全員でお茶会になった。


 差し入れや舞踏会に関する話題を話しながらお菓子や軽食を取る。舞踏会に出席する前に、軽く食事をしておくのだ。


 お茶会が終わった後は、お風呂に入り、髪や体を入念に洗った。その後、舞踏会の支度をする。


 ロディは着替えを持って出勤しているため、宿舎には戻らない。


 私はベス達と一緒に王宮に行き、青騎士達が待機する部屋まで案内して貰い、挨拶をした後、舞踏会の会場に行くとことになっている。


 私は手早く身支度をすると、ベスの部屋へと向かった。


 ベスは召使の手を借りて身支度をしていた。


「レティ、早いわね」

「手伝おうと思ったのだけど、大丈夫そうね」

「ええ。でも、最終チェックはお願いしようかしら。おかしなところがあったら教えて頂戴」

「わかったわ」

「レティ、貴方のチェックを先にするわ。お化粧直しは必須よ。髪型も変えましょう。ハーフアップの方がいいわ」


 私は早速化粧に駄目だしを食らい、髪型も修正されることになった。


 準備が終わると、ベスは召使を下がらせた。


 流行の最先端のドレスはベスによく似合っていた。今年はスカート部分にフリルやドレープを重ねて、ボリューム感を出したものが流行っているらしい。


 ベスの赤いドレスはドレープ使いが印象的なドレスだ。ベアトップ部分にもドレープがあしらわれている。そして、腰から斜めにたっぷりとしたドレープがあり、逆側は大輪のバラの花のようなデザインになっている。更にその下にはフリルがたっぷりとあしらわれ、裾部分は少しだけ床につくような長さだ。


 素晴らしいのはドレスだけではない。宝飾品もだった。


 ダイヤモンドとルビーのティアラ、ネックレス、イヤリング、腕輪、ブローチ。


 今回はデコルテがあいているため、ネックレスのトップにブローチをつけ、より豪華なネックレスにしている。


 指には結婚指輪以外にも、大粒のルビーの指輪がはめられていた。


 髪飾りまでルビーとダイヤモンドがあしらわれた品だ。


「どうかしら? おかしいところはない?」

「あるわけがないわ。あまりにもベスが素敵過ぎて、ふさわしい褒め言葉が見つからない位よ」


 ベスはにっこりとほほ笑んだ。


「今年、サイモンから贈られたのが、髪飾りなの。後ろ側だから自慢しにくいのよね。毎年、違う場所に身につけるルビーの宝飾品を一つ贈ってくれるのだけど、段々と贈る場所がなくなって来たと言われたわ」


 ベスはそう言うと、今度は私のことについて言った。


「正直に言うわね。レティのドレスについては、後悔していたの」

「後悔?」

「レティはとても美人だわ。その美しさを存分に生かすドレスを着て欲しかった。でも、予算の都合や身分的なことを考えて、控えめなドレスにしたわよね。残念だと思ったわ。その分、豪華な宝飾品をつけて、補えばいいと思っていたのよ。でも、ロディはちゃんとわかっていたのね。豪華な宝飾品でなくても、凄くいいわ。レティがとても可愛らしく見えるわ!」


 私はベスの褒め言葉を以外に感じた。


「可愛いですって?」

「そうなの。可愛いのよ」


 私は美しい、綺麗、冷たいなどと言われたことはあるが、可愛いという褒め言葉は基本的に聞かない。子供の頃だけだった気がする。今はむしろ、可愛げがない、だろう。


「ハートのルビーがとってもキュートよ! いかにも愛の日って感じ。だから、後でロディに可愛く笑ってあげてね。いつものように、何事にも動じないような顔ばかりしていては駄目よ。装いだけでなく、態度や雰囲気も合わせないとね!」


 態度や雰囲気を合わせる。さすがお洒落にこだわるベスだ。なかなか大変な注文かもしれない。


「……努力するわ」


 私達は時間を見計らい、同じ馬車でいくイネスの元に行った。イネスの部屋にはメーガンがいた。


 二人とも豪華な赤いドレスだ。勿論、それにふさわしい豪華な宝飾品を身に着けている。イネスはルビー、メーガンはガーネットかもしれない。


 三人は早速ドレス談義を始めた。


「さすがベスね。とても素敵だわ」

「本当に。輝いているわ。お姫様という言葉がぴったりね。それとも、バラの妖精かしら」

「ありがとう。二人も素敵よ。やっぱりバラの飾りをいれたのね」

「今年は特に多いらしいわ。迷ったけれど、取り入れたの」

「私は去年、胸元に大きなバラの花をつけたから、今年は後ろにあしらったのよ」

「メーガンのドレスの後ろはとても優雅で女性的ね。素敵だわ」

「ありがとう」


 互いのドレスや宝飾品に関する話題が落ちつくと、三人は私に視線を変えた。


「レティは……いつもと雰囲気が違うわね」

「そうね。そのドレスはいかにもレティが選びそうだけど、ティアラがレティらしくないわ。でも、似合っているから不思議ね。髪型やお化粧を工夫して、全体を合わせているのね」

「そうね。可愛いわ。ハートの宝石はルビー? 結構大きいわね」


 イネスにも可愛いと言われてしまった。


「私もそう思うの。今夜は可愛いレティってわけ。ティアラに合うような髪型やお化粧に変えるよう助言したの」

「人妻というよりは、これから社交デビューする令嬢みたい」

「私もそう思ったわ。なんだか初々しいわね」

「私達、結婚しているけど、年齢的にはまだまだ若いものね。人妻らしい装いばかりをしなくてもいいとは思うのよ。子供もいないし余計だわ」

「確かにね。若い時にしか味わえない装いや雰囲気もあるもの」

「それは贈り物? それとも、借りたの?」

「ウィンスターズのものよ」


 ベスが代わりに答えてくれた。


「あら。そうだったのね」


 イネスとメーガンはすでに夫から愛の日の贈り物を貰っていた。二人とも、ウィンスターズの宝飾品だった。


「ベス、ウィンスターズがどんなお店か知っているかしら? 私は初めて聞いたのだけど」

「私もよ。あまり有名じゃないの? それとも、平民用のお店?」


イネスとメーガンの質問に、ベスは得意げに答えた。


「ウィンスターズは少し前にできたばかりの新しい店よ。ヴィンテージやアンティークの宝飾品、既製品のリフォームなどを扱っているの。厳密には宝飾品店ではないのよ。顧客の欲しい宝飾品を探したり、購入手続きをしたり、競売に出すようなことをしてくれる代理店みたい」

「そうなのね」

「ちなみに、会員制らしいわ。サイモンは会員だけど、妻である私は会員ではないから利用できないの。別に審査を受けて、会員にならないと利用できないらしいわ。でも、自分が働いているか、年金などの安定した収入がないと、会員にはなれないみたい」

「だとすると、夫は会員なのかしら。聞いて見るわ」

「どんなお店なのか、一度位は行ってみたいわ」


 イネスとメーガンは新しい店に興味があるようだった。


「ロディは見る目があるわね。レティのイメージからは、ハートは絶対に選ばなさそうなのに、ちゃんと似合っているわ。レティのことをよくわかっている証拠ね」 

「私もそう思うわ。さすがロディね」

「妻に夢中だから」

「そうね」

「確かに」


 三人は笑い出す。ロディを褒めてくれるのは嬉しい。とはいえ、私は微妙な気分になった。


「本当におかしくないかしら? ハートモチーフなんて、正直ちょっと恥ずかしいのだけど」


 私は本心からそう尋ねた。


「あら。大丈夫よ」

「気にしない気にしない」

「可愛いから安心して!」


 普段とは違う褒め言葉に不安を感じつつ、私達は王宮へと向かった。


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