現実世界における髭の有効活用法
重要でもない、どころかむしろ社会生活の上では「邪魔」でしかない髭。
伸ばしっぱなしだと悪い印象しか与えず、会社勤めをするなら間違いなく「剃れ」と言われる髭。
抜こうが剃り落とそうが、「私は滅びぬ、何度でも復活する!」と言わんばかりに生えてくる髭。
社会生活をする上では全く、何の役にも立たないどころかむしろ邪魔になる、存在価値の感じられないゴミ屑ではあるが、一応有効活用する方法がたった一つだけあったりする。
それは、眠気飛ばしに使う事。
髭をどうやって眠気飛ばしに使うのか?
誰もがそう思うだろう。
実際こんな物でどうやって眠気を飛ばすのかと思う人の方が多いはず。
答えは至極単純。眠くなったらひたすら髭を抜き続けるだけだ。
こうすると何故か眠気が軽減され、場合によっては眠る事無く起き続けることだってできる。
実際何度も試したが、夜勤の間眠くなったら髭を抜き、眠くなくなるまで続ける。たったこれだけで実際に一度も強制的に意識を失う事無く立哨し続けることができた。
人体における粗大ゴミとはとても思えない有用性であることは疑いようが無いだろう。
眠くなったら髭を抜き続けるだけで何故か意識が覚醒するのだから、お金だってかからない。
わざわざコーヒーを購入したりするよりよほど経済的である。
髭なんて生えてほしくなくても無限に生えてくるのだから、眠くなるたびに抜けばいいのだ。
口の上に生える毛と異なり、抜いても大して痛くないのもメリットであろう。
しかし、そうなると何で抜けばいいのかという問題が最初に付き纏う。
もっとも手っ取り早いのは爪で挟んで引っこ抜くやり方だ。
道具も必要とせず、すぐに行えるので即効性は高い。
だが、爪で髭をつまんで抜くやり方だと、場合によっては爪が痛くなるのでやりすぎに注意しなければいけない。
爪や指の一部が凹むことなど、この眠気対策を実行すれば日常茶飯事なのだ。無論、爪と爪の間にしっかり挟めば痛みや爪の変形とは無縁だが、毎回確実にそれを行える熟練者はいないだろう。
という事で、爪の事を考えた場合は、ピンセットを使って抜いた方が良い。
とはいえ、ピンセットにもデメリットはある。
髭と一緒に顎の肉まで掴んでしまうミスが無いとは言い切れないのだ。
厄介なことにこの髭、己の目で目視して捉える事が出来ない。
爪の場合だと指先の勘で探り当てればいいのだが、ピンセットは指ではないのでそうはいかないだろう。
間違えて肉をつまんで引っ張った場合はいくら感覚の鈍い顎でもさすがに痛い。
ただ、手鏡を持てばだいぶやりやすくなるので可能なら爪、ピンセット問わず、手鏡を持って実行したいところである。
次に問題になるのが抜いた髭の処分法。
その辺に捨てるのが一番だろうが、家が汚れるので家の中でそれをやるわけにはいかないだろう。
それに、外だからと言って髭を路上に捨てようと思っても、髭は異常な吸着力を誇り、一度指に挟まるとそう簡単には抜けない。
そして指同士を擦って落とそうとしてもしつこくへばりついてくる。
強引に落としたとしても、下手すると指に髭の根のカスが付着するのだ。
こんなところまで面倒なゴミである。袋に詰めて捨てられるだけプラスチックの方がマシではなかろうか。
次の対策としては、文字通り「抜いた髭を丸飲みする」やり方。
これなら地面に捨てることはない。
ただ、自分の髭を抜いて食べる姿は周囲から見ると異様な物にしか見えないことは間違いない。
間違っても人通りの多い所でやるべきではないだろう。
とはいえ、家の中なら遠慮なく実行しても問題ないはずである。
最後になるが、この方法を実践してその後どのような事が起きようと当方は一切責任はとらない。
眠気対策に髭を抜くのはあくまで当方がこの粗大ゴミを有効活用する方法として見出しただけなのだ。
ただ、どうしても寝てはいけない状況に陥った際、試してみるのも有効かもしれない。
こんな話を最後まで見て頂きありがとうございます。
眠気対策……そもそも興味を持っていれば要らないと思うんですけどねえ。
自分みたいな無関心人間にはこんな眠気対策が本当に必要と言う……。